JRT四国放送

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徳島大学発のベンチャー企業が、健康な歯を極力削らない治療を実現し、普及を目指しています。

一体どんな治療なのか?

そして、技術開発に込めた思いを取材しました。

削るイメージがつきものの、虫歯をはじめとする歯の治療。

しかし、健康な歯を極力削らない最新の治療法がある。

上の前歯6本が大きく欠けたこんな症例も、抜いたり大きく削ることなく修復することができた。

鍵となるのは、なんと型枠?

徳島大学発のスタートアップが生み出した最新歯科治療とは?

(徳島大学大学院・保坂啓一 教授)
「過去では考えられない治療」

(徳島大学・渡邉佳一郎 講師)
「常識を変えるようなことから始まっていますので」

歯科治療の最前線を直撃した。

徳島大学病院。

この日、その最新歯科医療を受ける患者が来ていた。

事故で前歯を抜いた後、別の歯を前歯として持ってくる矯正治療中だという。

治療を行うのは、最新技術の開発者の1人、徳島大学の渡邉佳一郎講師。

歯科矯正医でデジタルAIを専門とする。

この日は、2つの前歯の形を合わせるための治療。

治療する前歯に取り付けたのは、理想の歯の型枠。

「ピッ」

するとあっという間に歯が出来上がった。

この間、ものの10分。

(徳島大学・渡邉佳一郎 講師)
「反対と同じ形で全く同じ高さになった。この歯は一番目の上の歯として並べていく」

(患者)
「うれしい」
「正面なんで笑ったときとか気になっていた。これからは笑えます」

(徳島大学・渡邉佳一郎 講師)
「ちょっと常識を変えていくようなことから始まっている。患者さんとしては早くきれいにしてほしいという思いが非常に強いので」
「そこに非常にマッチした治療というのもある」

そして、最新歯科治療を開発したもう1人の立役者が、徳島大学の保坂啓一 教授。

接着修復が専門で、コンポジットレジン修復の「国内トップランナー」。

その活動は海外にも及び、講演や学会で飛び回る日々。

2人が共同で開発したのが・・・。

(徳島大学大学院・保坂啓一 教授)
「これが、われわれが開発した透明な型枠。健康な歯を削らない治療を標準化するための型枠になります」

2重の層でできた歯の型枠。

一般的な虫歯の治療では、削った場所へ詰め物や被せ物が使われてきた。

治療する部分が大きい場合、削った虫歯の形をそのままの形で埋めることは不可能で、一回り大きく削り、補綴物が正確にはまるようにする必要がある。

歯がない場合の治療は、周りの歯を削ってかぶせものをする必要があるなど、健康な歯も削る必要があった。

しかし、今回の技術は被せものをつくるのではなく、歯の周りを覆う型枠をつくり、その間を強度がある特殊なセラミック複合材料のコンポジットレジンで埋めるという発想。

(徳島大学大学院・保坂啓一 教授)
「もともと、歯の接着接着技術はすごく進んでいて、一度付いたら外そうにも外せない」
「白い詰め物詰めていく、相乗効果によって削らなくても済む」
「歯に優しい、白い詰め物治療ができるようになってきた」

上の前歯が削れた模型で、実践してもらった。

虫歯を丁寧に取り除いた歯に、歯の形にフィットする柔らかいシリコン層の型枠をつける。

それをしっかりと固定するための硬いプラスチック層の型枠をつける。

こうすることで…。

「最終的な形がシミュレーション通り再現できると」

そして、小さい穴にコンポジットレジンを流し込んでいくと型枠中に広がり、あっという間に欠けた歯が修復されることができた。

この治療法で、すり減った前歯が理想的な形を取り戻したり、下の歯が2本欠損したケースも、この治療法で修復ができた。

(徳島大学大学院・保坂啓一 教授)
「歯は、せいぜい1センチ、1センチしかないものを、これだけ大きくして見ているわけ」
「くびれている所、くびれていない所、歯の形は千差万別で、コンピューターの状況という口の中に持っていく」
「これまで匠の技術でしかできなかったものを、百発百中で実現する技術」

コンポジットレジン修復は復元する部分が大きいと、仕上がりが歯科医の技量に左右されることが大きい。

さらにかぶせものの場合は、時間経過で歯との間に隙間ができると虫歯が再発する可能性もあるが、この欠点も補えるという。

2023年、2人はスタートアップ「amidex」を設立、従業員数9人で徳島市内に会社を構えている。

歯科技工士が、全国の歯科医院から送られてくるデータをもとにデジタル技術を駆使し、一人一人にあった世界に1つだけの歯をデザインしていく。

「0.1ミリ0.2ミリの世界、もともと手作業でやっていたので」

歯科技工士にとってもメリットがある。

型枠は、従来の被せ物の半分の時間でつくることができるという。

型枠をつくるのは3Ⅾプリンターで行う。

2層の型枠は、2025年に特許を取得した。

歯の模型に再現した歯をさらにスキャンして、デジタル上で作成した歯とずれがないかチェックを重ねていく。

最新技術のため、こうしたチェックに重点を置いていて、量産はできない状態だ。

自由診療のため1本4、5万円~10万円以内、今後は、さらに高精度の型枠をつくる研究や、量産できる体制づくりを進めていこうと模索している。

健康な歯を削らない治療を、デジタル技術の活用で広めていくという2人の想い。

(徳島大学・渡邉佳一郎 講師)
「まだまだですね、世界までいかなきゃいけない」
「削らない選択肢を、歯医師にも患者にも与えられるような世界になったら達成できたと思う」

(徳島大学大学院・保坂啓一 教授)
「まだまだ改良だったり、よくするアイデアたくさんありますので」
「さらに上を目指して、世界中の患者さんたちが笑顔になれるように、そういう世界を目指していく」

県内だと現在、7つのクリニックでこの治療を受けられるということです。