2位に5打差をつけて圧勝のネリー・コルダ(C)ロイター/Imagn Images

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【羽川豊の視点 Weekly Watch】

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 優勝者が18番グリーン脇の池に飛び込むのが伝統儀式になっているシェブロン選手権。今年から男子ツアーの「ヒューストン・オープン」が開催されるメモリアルパークGCに会場が移りました。急ごしらえの池にダイブしたのが初日から首位を守ったネリー・コルダ。2位に5打差をつけての圧勝でした。

 会場は6811ヤード(パー72)と距離が長く、起伏の激しい砲台グリーンが特徴です。連日カップは手前か奥の左右の端に切られ、そこに強い風も吹きました。そんな難コースで戦う選手たちが不満を漏らしたのが、ソフトなフェアウエー(FW)の対応です。大会前3日間の雨で多量の水を吸い、ドライバーショットが着弾するとボールに泥がつく。FWの状態が悪いときに、無罰でボールを拾い上げて泥を拭き取り、所定の範囲内の良いライに置き直せる「プリファードライ」をなぜ適用しないのかというわけです。

 ボールに泥がつけば飛距離は落ちます。スピンもかからず、コントロールも難しい。今回は距離の長いコースですから、ドライバーショットのランが出ず、パー4では長いクラブを持たされるのでピンに寄せるのは難しい。

 競技委員が、「プリファードライ」のルールを認めなかった理由はわかりませんが、選手たちはFWの状態が悪ければ、このルールの適用が当たり前と思っているのでしょう。「臨時ルール」のもとでプレーすれば、18ホールで2、3ストロークは違います。

「プリファードライ」というローカルルールは昔からありました。しかし、ゴルフは「あるがままの状態で打つ」のが基本です。私がプロになった1980年ごろはあまり採用されませんでした。そのため、FWがぬかるんでいる時は練習ラウンドの際、ボールにわざわざ泥をつけて打っていました。例えば、ボールの左側に泥がついていればボールは右へ曲がります。どんな高さでどれだけ曲がるのか、実際に打って確認するのです。泥がつけば通常の弾道でグリーンを狙えません。わざと泥をつけ、低い球やかなり手前から転がして乗せてみる。芝の長いラフに入ると、見えない位置に泥がついていることもあるのでより慎重になったものです。

 ソフトなFWはランは出ません。そんな日はグリーンは止まりやすい。当然、飛距離が出る選手が有利です。今年の大会を制したネリーは平均飛距離が287ヤード(ツアー5位)。ショットがよく、パットもよく決まっていました。難コースで悪条件が重なり、勝つべくして勝ったと言えます。

 2024年のネリーは5連勝を含む、年間7勝を挙げ、年間最優秀選手にも輝きました。昨年はティーショットが曲がり、ミスパットも多く未勝利に終わって、世界ランク1位からも陥落。今年も不振が続くかと懸念しましたが、これで世界のトップに返り咲き、メジャーの複数回優勝もありそうです。

(羽川豊/プロゴルファー)