転職が決まり、年収は「320万円→420万円」にアップします。家族に「額面ほど生活は変わらないかも」と言われたのですが、手取りはどのくらい増えるのでしょうか?

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家計を管理するためには、「手取り額」を正確に知ることが欠かせません。年収が上がれば、自由に使えるお金が増えると期待する人も多いでしょう。   しかし、額面から差し引かれる項目は多く、年収の伸びがそのまま手取り額の増加につながるとは限りません。所得が増加した場合には、基本的に所得税や住民税といった負担もあわせて増えることとなります。その結果として、手取り額の伸びが想定よりも小さくなり、生活面でのゆとりが必ずしも大きくは感じられない可能性がある点に留意が必要です。   今回は、年収320万円と420万円を例に挙げて、実際の手元に残る金額にどのような違いが生じるのかについて解説します。

手取り額とは?

手取り額とは、給与から実際に受け取れる金額を指すことが一般的です。会社員として勤務している場合、額面の全額を受け取れるケースは限定的です。
給与は所得税や住民税、社会保険料などがあらかじめ差し引かれたうえで支給されるのが一般的です。総支給金額から各種控除の合計を差し引いた残りが手取り額です。一般にこの手取り額は給与明細の「差引支給額」という項目に記載されており、実際に口座へ振り込まれる金額もこの差引支給額と一致します。

年収320万円と年収420万円の手取り額の違いは?

手取り額は、住んでいる自治体や家族構成などによって異なります。ここでは、東京都に住んでいる40歳の独身の方と仮定して、手取り額の目安について解説します。
東京都に住んでいる40歳以上の方であれば、令和8年度(2026年度)から適用される保険料率に基づき、標準報酬月額に応じた健康保険料(介護保険料込)と厚生年金保険料、雇用保険料、そして4月から新たに「子ども・子育て支援金」が毎月の給与から天引きされる仕組みです。
税金については、額面収入から給与所得控除や社会保険料控除、基礎控除などを差し引いた課税所得に対して所得税が計算され、さらに一律10%の住民税(所得割)と均等割が合算されます。
表1は年収320万円と420万円の場合の手取り額の違いを表にしたものです。
なお、保険料額は全国健康保険協会の「令和8年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表」を参照し、報酬月額は年収を12で割ったものとします。賞与は考慮しません。
また、保険料率や控除額などは令和8年度のものを使用し、給与所得控除、社会保険料控除、基礎控除以外の控除は考慮しません。
表1

年収320万円 年収420万円 所得税 3万9800円 6万8550円 住民税(所得割10%+均等割5000円) 12万9600円 18万7100円 健康保険料(介護保険料込) 17万8932円 24万7752円 厚生年金保険料 28万5480円 39万5280円 子ども・子育て支援金 3588円 4968円 雇用保険料 1万6000円 2万1000円 手取り額目安(年間) 254万6600円 327万5350円

※筆者作成
年収が320万円から420万円にアップすると、実際の手取り額は年間で72万8750円増える計算になります。額面が100万円増えても、そのすべてが手元に残らないのは、収入が増えるほど税金や社会保険料の負担が段階的に重くなるためといえるでしょう。
特に所得税については、給料から各種控除された残りの金額に対して税率が適用されるため、年収が上がるほど原則として税負担も増える仕組みとなっています。
さらに健康保険や厚生年金などの社会保険料も、等級が上がることで天引き額が増えます。
こうした手取り額の実態を給与明細や年収の変化をもとに具体的に把握しておくことが、無理のない支出計画を立てるための重要なポイントとなります。

年収が320万円から420万円に増えると、約73万円手取り額があがる可能性がある

東京都で働く40歳以上の単身者が年収320万円から420万円へと年収が上がった場合、今回の試算では、増える可能性のある手取り額は72万8750円となりました。額面の年収が100万円アップしても、そのすべてを自由に使えるというケースは少ないでしょう。
これは、所得税の累進課税によって年収が上がるにつれて税負担が増加することに加え、健康保険や厚生年金の標準報酬月額が引き上げられ、社会保険料の負担も増えるためです。さらに、令和8年度からは「子ども・子育て支援金」の徴収も開始するため、これまで以上に手取り額は減る可能性があります。
額面の数字だけに注目せず、天引き額が及ぼす影響を具体的に把握しておくことが大切です。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー