新潟市の映画館で開かれた『AYAインクルーシブ映画上映会』

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映画館では静かに座って鑑賞するのが当たり前。そんな“常識”をとらわれない上映会が全国に広がっています。病気や障がいのある子どもたちが一緒に楽しめる上映会。そこには、『お互い様』でつくられるやさしい空間がありました。

「声出してOKです。立ち上がってもOKです。経管栄養だったりとか吸引してもらってもOKです。」

新潟市の映画館で開かれた『AYAインクルーシブ映画上映会』。病気や障がいのある子どもたちが、家族と一緒に映画を楽しめます。インクルーシブとは、全ての人を尊重し、平等に受け入れること。館内は通常より少し明るめ。子どもたちが映画の音に驚かないよう音量にも配慮しています。

■長岡市から
「子供が落ち着きがないので声とか出せたほうがうれしい。」
「(Q.何の映画を見るの?)ドラえもん新・のび太の海底鬼岩城。楽しみにしている。」

主催するのは『認定NPO法人AYA』。43人のメンバーと約1200人いるボランティアで活動しています。

■認定NPO法人AYA 中川悠樹代表理事
「いまの課題は、病気や障害があるがゆえに映画館にもそもそも行けない、スポーツ観戦に行けない、体験を選択すらできないことだと思う。全国の子どもたち家族に色々な体験ができるような環境を作っていきたい。」

インクルーシブ映画上映会はこれまでに全国で105回(3月末時点)、県内では2回目の開催です。メンバーやボランティアのなかには医師や看護師がいて、緊急時に対応できる態勢をとっています。

■看護師資格を持つ 相場彩香さん
「病院で見てきた子どもたちがずっとベッドのなかで過ごす形だったので、医療的ケアが必要とか人工呼吸器をつけていても外に出られるとか、その子も何か体験活動ができるところを整えることに携わっていきたい。」

■看護師資格を持つ 相場彩香さん
「人工呼吸器とか充電してもいいようにアンケートは取っていて、コンセントは前に2カ所。」

看護学生もボランティアで参加。学校の実習で病気や障がいのある人たちに接しています。

■新潟薬科大学看護学部4年 加藤愛莉さん
「いままで学校や実習では病院での姿しか見ることはなかったんですけど、普段の生活だったり、今日映画館に来るのが初めてという人が多かったので、すごく良い機会を得ている。」

親子で映画が見られることを楽しみにしている人がいました。

■山粼さん家族
「すごくうれしい。この子も初めての映画館なので。いまちょうど気持ち良くなって寝てしまっているけれど、起きてくれてよく見られるといい。」

山粼さんの息子・雄真くん(4)は、重度の脳性まひを患っています。生まれた直後、呼吸がうまくできずに救急搬送。低酸素状態が続いたことで脳に障がいが残りました。

■雄真くんの母・山粼亜美さん
「どういう暮らしになるのかすごく不安でしたね。最終的に医療的ケアも残るということで。」

生後11カ月までNICUに入院。離れての生活が続きました。

■雄真くんの母・山粼亜美さん
「家に帰ると子どもがいなくて、赤ちゃん産んだはずなのに私は全然お世話できていないのはつらかった。だから退院してからたくさんお世話できるのはすごくうれしい。不安になっても雄真の顔を見るとすごくかわいくて、守ってあげないとなって思う。」

窒息を防ぐため、10~30分に一度たんや鼻水を吸引します。

■雄真くんの母・山粼亜美さん
「どうしても吸引器は音が出てしまうので、光も出ますし。映画館は光と音にみんな厳しいと思うので、そういうところで迷惑をかけてしまうと思って。」

外出するときは、たんの吸引器や酸素ボンベ・オムツや着替えなどが必要です。この日は車いす優先の駐車場がある近くの公園まで。

■雄真くんの母・山粼亜美さん
「スロープとリクライニング車いすが入るくらいのスペースがないと駄目なので、どうしても普通の駐車場では難しい。」

通院やデイサービスで外出することはありますが、家族で出かけるのは年に5回程度。バリアフリーの公共施設などに限られます。

■雄真くんの母・山粼亜美さん
「よかったね、ゆうちゃん、外に出られてね。風が気持ちいいね。(雄真は)音もよく聞いているし、光や風もすごく好きな子なので、外に行って色々な経験をさせてあげたいと思っているけれど、なかなかバリアフリーなところがないので少し難しいと思いながらやっています。」

山粼さんは、同じ悩みを持つ友人の紹介で『インクルーシブ映画上映会』を知りました。雄真くんと映画館を訪れるのは初めてです。今回は、39家族129人が参加しました。

■看護師資格を持つ 相場彩香さん
「ここで1分のあいさつタイムを取ろうと思うので、前後左右の方に今日よろしくお願いしますとあいさつをお願いします。」

大切にしているのは『お互い様』の精神。声を出してもいい、立ち上がってもいい、上映会がスタートです。

■新発田市から
「この子いま11歳なんですけど、いままで1回も映画を見たことがなくて。やっぱり静かな映画館だとお客さんに迷惑かけてしまうかなと思って。」

■長岡市から
「周りの声も気にならなかったし、この子の声も気にしていない感じでみんな楽しく見られてすごく良かった。」

■長岡市から
「ドラえもんが『うわー!』ってなったみたいな感じで。」

■新発田市から
「感動した。2人とも大きい音が得意ではないのでとても良い、助かりました。これからも続けてほしいです。また来たいです。」

■山粼さん家族
「光と音がすごく画面から出てくるので、(雄真が)そのたびに目をパッと開けて楽しんでいた。映画のオープニング始まったときに『映画館に来られたんだ』と感動した。皆さん同じような感じで生活している方なので、あまり話さなくても気持ちが通じ合うみたいなところがある。また来たい。本当に楽しかったので。楽しかったね。」