静かに骨が死んで激痛が…山口達也が公表した「大腿骨頭壊死症」アルコール依存が招く”恐ろしい代償”
《大腿骨の骨が腐ってます》
《このまま痛くなったら人工関節になる。これは治らないそうです。レントゲン見たら黒くなってました》
自らのアルコール依存症の経験をもとに、「依存症の怖さ」や「依存症からの社会復帰」をテーマとした講演会を全国各地の地方自治体等で開催している元『TOKIO』の山口達也(54)。ここ最近、講演の中で右股関節の「大腿骨頭壊死症」を発症したことに触れるようになり、各地で話題を集めている。
現在、山口は日常生活を何とか維持しているというものの、強い痛みが出現すれば人工関節置換術が必要になる。あまり耳慣れないこの病気は、(厚生労働省の)指定難病にも含まれる重篤な疾患である。
近年、この「人工関節置換術」を受ける患者が増えている。その背景に「見過ごされがちな問題が潜んでいる」と札幌中央整形外科クリニック院長の亀田和利先生は指摘する(以下、「」は亀田氏)。
「問題」とは、アルコール依存症だ。山口自身、大腿骨頭壊死を「酒由来」と説明している。
骨が静かに崩れていく
「大腿骨頭壊死症は、血流障害によって骨が静かに死んでいく病気です。太ももの付け根にある大腿骨頭は、体重を支える極めて重要な部位。この部分に血液が届かなくなると、骨の細胞は壊死します。しかし、壊死しただけでは痛みを感じないことが多い。本当に恐ろしいのは、壊死した骨頭が体重を支えきれずに陥没すること。そうなって初めて、激しい痛みが生じます」
“骨が死んでいく”――。その強烈な言葉とは裏腹に、この病気は驚くほど静かに進行する。気づかぬうちに、関節は確実に壊れていく。
アルコールと骨。一見無関係に思えるこの関係は、すでに医学的に明らかになっている。
「特発性大腿骨頭壊死症の診断基準や研究では、
・純アルコール換算で週320g以上を6ヵ月以上継続
・日本酒換算で1日2合(純アルコール約40g)以上の飲酒を長期間継続
これらが明確なリスク因子として挙げられています。毎日ビール350mlを3缶以上飲む人は発症リスクが約10倍に上昇するという報告もあります」
“該当者”は少なくないのではないだろうか!?
長期間の多量飲酒は、依存症だけの問題では終わらない。
「アルコールは血流障害や脂質代謝異常を引き起こします。骨の中の細い血管が詰まって大腿骨頭への血流が途絶えるだけではなく、骨細胞への直接的な毒性も関与していると考えられます。こうして骨が内側から崩れていくのです」
アルコール依存症は脳や肝臓だけでなく、骨すらも蝕む全身病なのである。
手術をしても終わらない
この病気の本当の恐ろしさは、初期症状がほとんどないこと。どうしても発見が遅れがちになることにある。
「初期にはほとんど症状がありません。違和感や軽い痛み程度で見過ごされることが多く、痛みが強くなった時点では、すでに壊死が進行し、骨頭の陥没が始まっているケースも少なくありません。
アルコール依存症といえば、肝硬変や認知症が知られていますが、大腿骨頭壊死症という形で表れるケースも決して珍しくありません。いわば、見えにくい合併症です」
壊死が進行して骨頭の陥没が生じた場合、残された選択肢は人工関節置換術しかない。
「壊れてしまった骨を人工の関節に置き換えることで、痛みの軽減や歩行機能の回復が期待できます」
しかし、手術をすればすべて解決、というわけではない。
「近年の人工関節は素材やデザインの改良が進み、20年以上の耐久性が期待できるようになりましたが、人工関節には寿命があります。 特に比較的若くして手術を受けた場合、
・将来的な再手術の可能性
・感染や脱臼などの合併症
・過度の負荷を避けるといった生活上の制限
といった現実も理解しておく必要性があります。激しい運動や過度な負荷は避ける必要があり、長期的なフォローも不可欠です。つまり、身体が元通りになるわけではないのです」
アルコール依存症の代償は、あまりにも大きい。脳萎縮、認知機能低下、肝硬変、そして骨の壊死。いずれも、取り返しのつかない不可逆的なダメージである。
アルコール依存症を克服し、現在は啓発活動に取り組んでいる元TOKIOの山口達也。大腿骨頭壊死症という現実に直面して、改めてアルコールの怖さを痛感しているのではないだろうか。

