Microsoftが展開するクラウドサービスであるMicrosoft Azureのコアエンジニアだったアクセル・リーチン氏が、内部から見たMicrosoftの問題点をブログで告発しています。

How Microsoft Vaporized a Trillion Dollars

https://isolveproblems.substack.com/p/how-microsoft-vaporized-a-trillion



リーチン氏は2013年1月1日からMicrosoftに勤務しており、コアOSチームでカーネルの改良に取り組んだほか、DockerやAzure Kubernetesなどのコンテナプラットフォームの開発に携わってきたとのこと。リーチン氏は2023年5月1日にAzureチームに参加し、Azure Boostで使用するOverlake研究開発チームの上級メンバーとして働くことになりました。

そしてチームに参加した初日の会議で、チームがWindowsベースで膨大なコンポーネントを含むAzureの管理用ソフトウェアをOverlakeアクセラレータに移植しようとしていることを知りました。

Overlakeアクセラレータで使用されているチップは非力で小さいLinuxベースのものであり、電力もメモリも極めて限定的でした。サーバー用のCPUでさえ動作が重くなるほど肥大化した管理用ソフトウェアが動くはずもなく、リーチン氏はあまりの無謀さに「イーロン・マスクが火星植民地化について語っているようだった」と述べています。

122人のチーム全体が実現不可能に思える構想に没頭していることを知り、リーチン氏は「新しい役職に就いて最初の1時間は、奇妙な感情、呆然とした気持ち、そして信じられない気持ちが入り混じったものだった」と当時の感情を記しています。



リーチン氏はその後の調査で合計173個のエージェントの移植が計画されていることを確認。リーチン氏はもっと少ない数のエージェントで十分Azureの管理を行えると考えていたため、いったいなぜ173個ものエージェントが必要とされたのかを調べることに。すると、「173個のエージェントが必要な理由」「どのように連携するのか」「それぞれのエージェントにはどんな機能があるのか」などを説明できる人は居ませんでした。

その他、現場では月間数百万件のクラッシュが発生していたものの大半が原因不明で処理されていたり、開発環境を構築してローカルでビルドを行えるエンジニアが少なかったり、自動テストのカバレッジが40%を割っていたりするなど、スムーズに開発を進められる状況ではありませんでした。

リーチン氏は経営層に対し、Azureノードスタックにおける主要な問題点と組織的な課題について簡潔にまとめ、「適切な役割を与えられれば再構築を主導する用意がある」とメッセージを何度か送信しましたが、何の音沙汰もなかったとのこと。

これまでMicrosoftはOpenAIに対し、2019年から複数回に分けて巨額の出資を行っており、コンピューティングプロバイダーについての優先交渉権を保有していました。しかし、OpenAIは2025年1月にOracleなど別の企業との契約を発表。

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リーチン氏は現場の混乱が続いていたことを踏まえ、「MicrosoftがOpenAIの厳しい要求を満たすのは難しかったのだろう」と述べています。その後、Microsoftは2025年10月にOpenAIとの優先交渉権を放棄しました。

Microsoftのクラウド事業の伸び率が悪いことをうけ、2026年1月に行われた第2四半期決算発表では株価が急落。一時は4兆ドル(約640兆円)を突破していた時価総額は、2026年4月時点で2.8兆ドル(約447兆円)付近まで縮小してしまっています。

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