この記事をまとめると

■インドネシアではBEVに限れば中国系ブランドの存在感が大きい

■中国系ブランドが人気な理由は買い得感の高い価格設定にある

■ただし日本車のシェアが脅かされるような雰囲気はない

買い得感の高い価格を武器にシェアを延ばすBYD

 2025暦年(2025年1〜12月)締めでのインドネシアでの新車販売台数は80万3679台となっている。そのうちBEV(バッテリー電気自動車)の販売台数は10万3930台となり、新車販売台数全体の12.9%となっている。

 そのBEV販売では圧倒的に中国系ブランドの存在が大きなものとなっているが、そのなかでブランド別販売首位となっているのがBYDオート(比亜迪汽車)である。そのBYDオートでは、2025年7月に日本で販売されているドルフィンよりもコンパクトなBEVとしてATTO 1(地域によってはシーガルという車名などでも販売されている)をインドネシア市場に投入したのだが、現地報道では、2025暦年締め年間販売台数2万2582台で、インドネシア国内でのBEV販売第1位となっている。

 その人気の理由のひとつは、買い得感の高い価格設定ある。航続距離で標準レンジと長距離レンジの2タイプがあるのだが、標準レンジモデルの車両価格は1億9900万ルピア(約184万円)となっている。インドネシアで数年前にまさに大ヒットしたマイクロBEVとなるウーリン(上海通用五菱汽車)のエアEVでも2憶1400万ルピア(約198万円)なのだから、その価格の割安感は誰が見ても明らかといえるだろう。

 ジャカルタ市内で某ライドシェアサービスにて車両のマッチングを試みると、結構な確率でATTO 1がマッチングした。これについて現地事情通は、「BYDが積極的にライドシェアドライバーへアプローチしているのではなく、手ごろ感からそれぞれドライバーが選んでいるのではないか」と語ってくれた。実際ドライバープラス3名で乗車しても広々とはさすがに表現できないものの不満のないレベルであるし、走行中の様子も静粛性も含め、「このサイズと価格でこれか?」と満足レベルの高いものとなっていた。

 ちなみに2025暦年締めでの車名別BEV年間新車販売台数では、2位がBYDのMPVタイプBEVとなるM6、そして3位は日本でもおなじみのシーライオン7となり、トップ3をBYDが独占する形となっている。ほかにBYDは、インドネシアではドルフィン、シール、ATTO 3をラインアップしているが、いずれもATTO 1ほどではないものの、街なかでよく見かけることができた。

BYDを猛追するウーリン

 BYD以外は前述したエアEVをラインアップするウーリンのBEVもよく見かけた。エアEVはすでにブームは去っており、そのなかウーリンではエアEVの上級車種ともいえるBYDドルフィンクラスのコンパクトBEVとなるビンゴEVへ販売の主力を移行することに成功させている。ビンゴEVよりひとまわり大きいクラウドEVも、ビンゴEVほどではないものの見かけることができた。

 BYDブランドはインドネシア国内ではいまのところBEVのみとなっているが、ウーリンはBEVのほかPHEV(プラグインハイブリッド車)、HEV(ハイブリッド車)、そして純ガソリン車もラインアップしており、インドネシアではBYDと並んで中国系ブランドの代表格のような存在となっている。

 ジャカルタ市内で走っているクルマを定点観測すると、日本車ではトヨタbZ4Xをやたら見かけることができる。じつはbZ4Xはインドネシア国内での生産が始まっており、それもあって以前訪れた(2025年7月)時よりも見かけるようになったのかもしれないと考えている。さらに、相変わらずトヨタ・アルファードが街なかに溢れているのだが、それに負けないぐらいレクサスLMも走っている。7人乗り(350h)と4人乗りがあり、4人乗りには350hのほかハイパワー版の500hもあり、価格は21億ルピア(約1950万円)から33億ルピア(約3065万円)となっている。

 ジャカルタ市内で見る限りは日本車がまだまだ圧倒的に高い販売シェアを維持していることがよくわかる。それに中国車が迫っていると続けたいところであるが、インドネシアでもBEV販売は中国系ブランドに限れば車種やブランドが増えている割には足踏み状態のようにも見え、そのなかbZ4Xが目立つようになり、IIMS(インドネシア国際モーターショー)ではスズキがeビターラを発表している。

 BEVのラインアップも積極姿勢を見せ中国系ブランドに対し日系ブランドが余裕を見せているように感じている。