電気代267%値上がりしんど…データセンター建設の反対運動、アメリカで急増のワケ
AI時代到来で、急速に需要が高まるデータセンター。アメリカ国内ではデータセンター建設計画が数多く持ち上がっています。
が、クリーンエネルギーやデータセンターに関するプラットフォームの「Heatmap Pro」の調査によれば、2025年中に少なくとも25件のデータセンター建設計画が、地元コミュニティからの強い反対によって白紙となりました。
25という件数だけ見ると多くないものの、2024年の建設キャンセルが6件、2023年は2件だったこと、さらに2025年の25件中21件は年の後半に集中していたことから、建設白紙パターンは急増していると考えられます。
需要高まるデータセンター
建設中止の数が増えているのは、単純に建設計画自体も増えているから。それは、アメリカの経済成長や投資のニュースを見ても明らかです。
ただ、米全国調査をもとにした専門家の意見は、建設中止は単純に計画数の増加だけでなく、データセンターに対する批判的な意見、地元の反対が大きくなってきているからだといいます。
データセンターに関連した成長率では、建設中止率が他より高いとも専門家は指摘。例えば、データセンターの電力使用量は22%増で、今後10年で2倍から3倍になると言われていますが、地元からの反対による建設中止は過去1年で4倍になっています。
業界データベースのData Center Mapを見ると、アメリカ国内には、現在、3779箇所のデータセンターがあります(運用中、建設中、建設予定を含む)。Heatmapによれば、これら770件の建設計画のうち、少なくとも99件は現在地元民から反対されているとのこと。
電気代上昇、水不足、健康被害…
データセンター建設は、なぜ反対されるのか。
まず、データセンターはとんでもない量の電力を必要とします。BloombergNEFの予想では、2035年までにアメリカのデータセンターの電力需要は106ギガワットまで上昇。2025年キャンセルの25件がもし実現していたら、総電力需要は4.7ギガワット。
昨年9月のBloombergの報道によれば、データセンター近隣に住む人々の電気代は、5年前と比べ267%値上がりしたといいます。
電力だけでなく、水などのリソースも必要で、これらは建設地であるその地域から供給されるもの。データセンターがある地域からは、電気料金の値上げだけでなく、水不足というマイナスなニュースも聞こえてきます。
健康被害のリスクを懸念する声もあります。Environmental Data & Governance Initiativeによる研究では、米環境保護庁の定める基準のデータセンターから1マイル(約1.5キロ)圏内では、全国平均よりも高い大気汚染が見られることがわかりました。
電力高騰、水不足、大気汚染とネガティブなニュースが大きく報道されるようになれば、そりゃデータセンター誘致の話に不安になるのは当然。地元から反対の声が大きくなります。アメリカ国内の物価上昇による生活不安自体も、データセンター建設に賛成できない雰囲気を作りだしています。
最も地元民から不安視されるのが水不足で、4割以上の人が反対する理由にあげています。次にくるのが電力消費とそれによる電気代上昇。
専門家によれば、データセンターが地域の電力網に与える負担はキャパを超えてくる可能性があり、地域によっては冬場の大停電も考えられるといいます。2021年、テキサス州の大停電で約246人が死亡したことを思えば、データセンター建設が命取りになると心配する人の気持ちも理解できます。
Heatmapの調査では、データセンター建設計画で地元から反対運動が起きた場合、4割ほどが建設中止になります。
Heatmapにコメントを寄せたMetaの元エネルギー戦略担当者・Peter Freed氏は、現在計画されているデータセンター計画で完成までこぎつけるのは1割程度と予想。それほど地元からの反対は大きいのです。
政治的な動きも連動中
反対の声が大きくなると、政治も動きます。
ミネソタ州では、データセンターの電力・水消費量を制限する州法が通過。ニューヨークのキャシー・ホウクル州知事は、データセンター企業の電気料金を上げる「NYエネルギー開発プログラム」を提案中。
また、昨年12月には250を超える環境団体が、米議会に対して新たなデータセンター建設の一次停止を求める文書を提出。
政治的な観点で着目すべきは、AIとデータセンター賛成派のトランプ大統領を(2024年の大統領選挙時に)支持した共和党エリア(ケンタッキー州やインディアナ州など)で、建設中止が多く起きていること。昨年11月、ヴァージニア州ではデータセンターが争点となり、民主党が共和党の議席数を上回りました。これらの動きから、今後、トランプ政権も立場を変えてくるかもしれません。
今年に入って、トランプ大統領はTruth Mediaに「データセンターのせいでアメリカ国民が高い電気代を払うことは望んでいない」とポスト。その後、Microsoftが、データセンターによる地域への影響を最小限に抑えるプランを発表…。
データセンターの建設計画、建設反対、建設条件が、今、これまでにないほど大きな力を持っているのです。

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