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サーキットで前輪駆動は少々不利

2022年完成と、まだ新しいMSサーキット。クルマの能力を引き出すのに理想的なレイアウトながら、メインストレートの先にはエスケープゾーンが殆どない。濡れたアスファルトには、落ち葉がチラホラ。5名の審査員も、このコースには不慣れだ。

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つまり、アストン マーティン・ヴァンキッシュではなく、アルピーヌA290 GTSから確かめるのが正解。だが、サーキットで前輪駆動は少々不利。220psも物足りない。


メルセデスAMG GT 43(英国仕様)

メルセデスAMG GT 43もブランドでは穏やかな側とはいえ、421psあり、アクセルペダルの加減で驚くほど自在に振り回せる。かたやA290は、正確なステアリングとアクセルオフでの、タックインに頼りがち。真の喜びまでは得難い。

軽すぎるステアリングと、全体的な活気の弱さをジェームス・ディスデイルは指摘する。マット・ソーンダースも、トラクションを褒めつつ、トルクベクタリング機能があれば、シャシーの実力を一層引き出せただろうと付け加える。

ミドシップへ近い敏捷性:タイカン・ターボ GT

路面が乾き始め、アウディRS3へ。パワーオン時以外、常にニュートラルな操縦性が惜しいと、ソーンダースは話す。秀でた敏捷性と、路面を問わない安定感を評価しつつ。

瞬間的にリア側の割合が増すパワー分配は、公道で有望。だが、広く安全なサーキットでは、横置きエンジンのA3がベースという素性を実感しがち。トラクションは望外に高く、サウンドも素晴らしいが、往年のスバル・インプレッサを超えてはいないだろう。


ポルシェ・タイカン・ターボGT(英国仕様)

「三菱ランエボの頃を思い出しますね」。とマット・プライヤーが表現するのは、1109psのポルシェ・タイカン・ターボ GT。「以前は、他のモデルと違う挙動を披露するクルマが、必ず1台はありましたから」

なるほど、ミドシップ・スーパーカーのような敏捷性でありつつ、フルスロットル時の振る舞いは電子的でやや不自然。信頼感を築きにくい。それでも、ダンパーの処理能力は素晴らしい。ステアリングも最高。順位をかき回せる能力は秘めている。

大げさな姿でも正真正銘のドライバーズカー

今回は、錚々たるスーパーカーも揃い踏み。「ひたすら野性的」だと誰かが口にした、ランボルギーニ・レヴエルトもある。安定性を求めてホイールベースは長く、重量物が中心に集まったミドシップにV12エンジンだから、面白いに決まっている。

実際、過去のモデルでは考えられないほど一体感に優れ、サーキットで魅力的。フロントのトルクベクタリングが機能しても、ステアリングには一切その事実が伝わらない。1015psのハイブリッドという、技術の磨き込みにも唸らされる。


ランボルギーニ・レヴエルトと、MSサーキットを開設した元ラリードライバーのマルコム・ウィルソン氏

濡れたアスファルトでも、大量の空気を押し避け、目を疑う速度でストレートを疾走できる。咆哮も凄まじい。スタイリングは大げさだが、正真正銘のドライバーズカーだ。

近年のM4にはない繊細さ:M2 CS

BMW M2 CSは、ミシュラン・パイロット・スポーツ5へ履き替え、コース上で本領を発揮する。「伝統的な小さなMモデルらしい、操縦性がファンタスティック。落ち着きや感覚的な濃さも」。ソーンダースが印象を振り返る。

確かに、近年のM4にはない繊細さを宿す。電子制御のLSDも自然。コーナーへ鋭く飛び込め、安定して脱出できる。ステアリングは重すぎるかもしれないが。


ブラックのBMW M2 CSと、レッドのアウディRS3 スポーツバック

プライヤーは、3シリーズ由来ではなく、独自のプラットフォームならM2 CSは一層良かったはずだと口にする。筆者は、そのお陰で高速域での安定性とバランスが、先代より向上したと考えている。

余りの流暢さでヴァンキッシュを霞める

ヴァンキッシュは、揺るぎないフロントのグリップ力と安定したステアリングで、公道以上に手腕を顕にした。相当な速度域でも、すべての操作を忠実に展開してくれる。

ただし、アクセルペダルを粗野に扱うと、835psものパワーで簡単にテールは外へ流れる。優れたバランスでパニック状態には至らないが、車重は1910kgと軽くない。


手前からフェラーリ12チリンドリと、アストン マーティン・ヴァンキッシュ

他方、フェラーリ12チリンドリは、余りの流暢さでヴァンキッシュを霞めた。V12エンジンは瞬で反応し、荷重移動は自然で、ターンインは鮮明。猛烈に速く、エンターテインメント性も出色だろう。M2以上にMモデル的、という表現は誤解を招きそうだが。

クイックすぎるステアリングを指摘する審査員もいたが、それは完璧へ近いから。弱点が目立ってしまう。明らかに、最終決戦へ進める仕上がりにある。

この続きは、BBDC 2025(5)にて。