【便秘】油っぽい食事・お腹の張り・年齢・女性の不調 タイプ別原因と漢方の使い方

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便通は毎日あるのが健康な状態ですが、3日以上ない、便が硬い、量が少ない、気持ちよく排泄できず残便感があるなどの状態を便秘といいます。
便秘の原因はストレス、食生活の乱れ、運動不足、便意をがまんする、あるいは不規則な生活などの生活習慣、病気や薬の副作用など多岐にわたります。
便秘による腸内環境の悪化は、腹痛・腹部膨満感・ガス、口臭、肌トラブル、頭痛、肩こり、痔、さらに体重増加などさまざまな不調をうみだします。
 体質改善を図りながら便通を整え、便秘だけでなく関連症状にも対応できる漢方薬をみつけて健全な便通を心がけましょう。

①胃腸の実熱タイプ

【要因】濃厚な食物の継続的な摂取、のぼせ、からだに余っている熱などにより胃腸に熱が蓄積し、水分が少なくなって便秘となります。比較的体力のある人に多くみうけられます。
【対策】大腸を刺激する瀉下効果のある漢方薬を用います。

調胃承気湯(チョウイジョウキトウ) 
【主な症状】便秘を繰り返す、出ないとお腹が張って苦しい、油っぽもの・甘いものが好き、冷たい飲み物を好む、頭重、のぼせ、食欲不振、皮膚炎、痔
【効果】大腸の蠕動(せんどう)運動(消化管の筋肉が波打つように収縮と弛緩を繰り返し、食べ物や便などを送り出す自律的な動き)を促し、体にこもった余分な熱を冷ますことで便秘や便秘に伴う不快な症状をやわらげます。
【成分の効能】大黄(ダイオウ)、芒硝(ボウショウ)、甘草(カンゾウ)の3つの生薬で構成され、大黄が腸の蠕動運動を促進し、芒硝は腸管内に水分を引き込むことで便を軟らかくする効果、甘草は水分バランスを整え、胃を調え、過度な脱水を防ぐことで便通のコントロールを図ります。

防風通聖散(ボウフウツウショウサン) 
【主な症状】お腹周りに脂肪がつきやすい、食用旺盛だが便秘傾向、血圧が高い傾向、頭痛、肩こり、のぼせ、耳鳴り、むくみ、湿疹ができやすい
【効果】からだの余分な脂肪を分解・燃焼し、肥満を解消しながらむくみや排便を促す効果。
【成分の効能】麻黄(マオウ)と山梔子(サンシシ)で脂肪細胞を活性化することで脂肪を分解し、大黄、芒硝で便を軟らかく、防風(ボウフウ)、荊芥(ケイガイ)で発汗・発散、当帰(トウキ)、川芎(センキュウ)で血行促進し、からだ全体の巡りを改善することで便秘の解消につなげます。

漢方薬に用いられる甘草(左)と桂枝(右)

②胃や腎の虚弱タイプ――加齢にともなう胃腸機能の低下

【要因】虚弱体質、高齢に伴う胃腸機能の低下により内容物が長時間にわたり大腸内に停滞して便が乾燥して便秘となります。
【対策】胃の機能を高め、さらに腸を潤すなどにより便通を整えます。

麻子仁丸(マシニンガン) 
【主な症状】高齢・虚弱体質・産後などで便がコロコロしている、便が硬く排便しにくい常習性便秘、頭重、頭痛、のぼせ、しっしん、吹き出物、食欲不振、腹部膨満感、ガスが多い、痔
【効果】胃の機能を助け、腸の蠕動運動を助けながら、腸を潤して無理のない排便を整えます。
【成分の効能】麻子仁(マシニン)と桃仁(トウニン)で腸を潤し、大黄で蠕動運動を活発化し排便を促し、芍薬(シャクヤク)は腸の痙攣を緩和、枳実(キジツ)・厚朴(コウボク)は腸内の巡りを整えることで腹部の膨満感を改善します。

桂枝加芍薬湯(ケイシカシャクヤクトウ) 
【主な症状】胃腸が弱い、腹部膨満感、お腹が痛くなりやすい、下痢と便秘を交互に繰り返す(過敏性腸症候群)、便意を催すのに少ししか排便できない、ストレスを感じやすい
【効果】腹部を温めながら気血のバランスを整え、正常な便通へと導きます。
【成分の効能】桂枝(ケイシ)はからだを温めながら血行促進、芍薬は筋肉の緊張和らげることで痛みを去り、大棗(タウソウ)、生姜(ショウキョウ)、甘草で胃腸の機能を高め気血の巡りを整えることで便通を改善させるので下剤の生薬は含まれません。

③胃腸のエネルギー不足タイプ――ストレス、デスクワーク

【要因】精神的なストレスや長時間の座位での仕事により胃腸の働きが停滞して便秘になる、ガスが貯まる、過敏性腸症候群の便秘はこのタイプが多く見うけられます。
【対策】大黄を中心とした漢方薬を用います。

大黄甘草湯(ダイオウカンゾウトウ)
【主な症状】常習便秘、慢性便秘の基本処方、吐き気、胃痛を伴うこともあります
【効果】大腸粘膜を刺激して蠕動運動を亢進し、一方で腸管内の水分を保持してバランスをとりながら便通を整えます。緩やかな効果のため虚証から実証まで幅広く応用できます。
【成分の効能】大黄と甘草の二つの生薬で構成され、大黄は瀉下作用と同時に腸管を痙攣収縮させる作用があり、甘草はその痙攣を緩和し大黄の強い瀉下作用を調整することでバランスよく便通効果を発揮します。

桂枝加芍薬大黄湯(ケイシカシャクヤクダイオウトウ) 
【主な症状】比較的体力はなく、腹痛や腹部膨満感を伴う便秘、便意があるのにうまく排便できない、ストレスによる痙攣性の便秘
【効果】気血を温めながら、巡らせ、停滞している便を排泄させます。
【成分の効能】桂枝加芍薬湯に腸の蠕動運動を促す大黄が加わることですっきりとした便通効果が得られます。

④瘀血(血の滞り)タイプ――女性に多いタイプ

【要因】骨盤腔内に生じた瘀血は、腸の運動を阻害したり、腸を圧迫して下腹部の膨満感や便秘を起こしやすくします。特に女性は月経、妊娠、出産などにより瘀血を生じやすく、男性に比べ便秘に悩む人が多くみられます。
【対策】瘀血を改善することで便通を整えます。

桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)
【主な症状】比較的体力がある、下腹部の張り、硬い便、肩こり、腰痛、のぼせ、イライラなどの精神不安
【効果】基本処方は調胃承気湯で、血や気の巡りを整える生薬が加わることで症状を改善します。
【成分の効能】血の巡りを強力に改善する桃仁と気血の巡りをよくする桂枝、さらに大黄と芒硝で大腸の蠕動運動を促すことで便通を整えます。

加味逍遥散(カミショウヨウサン)
【主な症状】体力は中等度以下、疲れやすく、イライラ・めまい、不眠、頭痛など不定な症状が出やすい、手足の冷え、大黄の入った下剤で腹痛などを起こす。
男女共に更年期症状改善のファーストチョイスです。
【効果】自律神経の働きを改善しながら、血を巡らせ、さらに水分代謝を整えることで便通を整えます。
【成分の効能】柴胡や薄荷で気を発散させ、当帰、山梔子、牡丹皮(ボタンピ)で血を巡らせ、白朮(ビャクジュツ)、茯苓(ブクリョウ)、生姜で水はけを整え、気血水の巡りが整い、便通も改善します。

食事のバランスも重要

【ワンポイントアドバイス】
①1日3食を心がけ、特に朝食は腸の蠕動運動を活性化させます。
②適度な水分の摂取は、便がスムーズに移動しやすく、また便が膨らむため便意が起こりやすくなります。
③腸内環境を整える穀物、イモ類、豆類、ひじき、寒天、果物などの食物繊維、乳酸菌・納豆などの発酵食品、オリゴ糖、オレイン酸などの飲食物を取り入れる。
④無理なダイエットは避ける。

次回は「アトピー性皮膚炎」の漢方薬を紹介します。

『更年期の不調に効く自分漢方の見つけ方』斉藤明美 著