万博イタリア館はなぜ行列？新展示復活のキリストとは？

動画「【万博】復活のキリストとは？ミケランジェロ《十字架を持つキリスト》が未完成な理由」では、発言者のアートテラー・らち氏が、ルネサンスの巨匠ミケランジェロによる未完の彫刻《十字架を持つキリスト》について語った。らち氏は「ミケランジェロが手掛けたにも関わらず、なぜ未完成で作品を手放したのか」に迫っている。

今回万博・イタリア館で新たに展示されるこの作品は、美術界でも大きな注目を集めていると説明。ミケランジェロが依頼を受け、巨大な大理石から彫り出したこのキリスト像には、制作途中で大きな転機が訪れる。「この彫像には、まるで漫画の主人公のような大きな傷が残っていた」とし、その傷が制作断念の理由だったことを解説した。

らち氏によれば、「ミケランジェロは彫っていくうちにキリストの顔に黒い筋が入っているのを発見しました。アニメのキャラクターのように絶妙な位置に入っていて、現代人的には『かっこいい』と思えるかもしれません。しかしミケランジェロにとってイエス・キリストの顔は魂そのもの。不純な線が入るなどもってのほかで、これが制作をやめてしまった理由でした」と当時の巨匠のこだわりに言及。

一方で「私はこの傷、すっごいかっこいいと思う」と自身の見解も披露し、「頬に傷があるからこそ魅力があるという感覚、日本人ならではかもしれません。ミケランジェロの迷いや決断、そして人間の祈りの形がそのまま残っている」と加えた。

本作の技術的な魅力についても、「胸板の反りや腹筋の陰影など、リアルな肉体表現も注目ポイント」だと解説。「キリストは少し下を向いていて、観賞者との視線が交わらないことで神聖で内静的な雰囲気が生まれています」と述べ、細部まで作品の見方を伝えた。

動画の結びとしてらち氏は、「この像は完璧ではないかもしれない。だけど、ミケランジェロの迷いや決断、そして人間の祈りの形がそのまま残っているんです」と締めくくり、視聴者に「ぜひ万博で本物を見て、その魅力や芸術家のこだわりを感じてほしい」と呼びかけた。