「40歳でも自信満々」はただのバカである…心理学者「自分は平均以上と考える人は周囲から笑いものにされる」
※本稿は、内藤誼人『タモリさんに学ぶ「人生のたたみ方」』(廣済堂出版)の一部を再編集したものです。

■自分は「幸運な人間なのだ」と思い込む
不思議なもので、「私はラッキーな人間なのだ」と思っていると、本当に幸運がやってきます。逆に、「うまくいかなそうだな」とネガティブなことを想像していると、本当にうまくいかなくなります。
ですので、自分自身のことは、できるだけ「ラッキーな人間」だと思い込むようにしてください。くり返し「私はラッキーな人」と自分に声をかけて自己暗示をかけてしまうのがポイントです。
タモリさんも、自分がラッキーな人間であると思っているようです。
(『週刊明星』 1988年3月31日号 p65)

タモリさんが芸能界にデビューできたのも、赤塚不二夫さんを始めとするいろいろな人がタモリさんを助けてくれたから。
タモリさん自身にもちろん才能があったことは間違いありませんが、タモリさんの成功の裏には、「幸運に恵まれた」という大きな理由があったことはたしかでしょう。
■幸運を信じ込むと、ゴルフのパッティングの成功率が上がる
ちなみに「私はラッキー」だと思っていると、なぜか本当にパフォーマンスも向上することが実験的に確認されています。
ドイツにあるケルン大学のライサン・ダミッシュは、ゴルフ未経験の参加者にカップから1メートルの距離のパッティングを10回やってもらいました。
なお、半数の人には、ゴルフボールを手渡すときに「いやあ、このボールはこれまでの参加者にも使ってもらっているんだけどね、パッティングが成功しやすい、とても幸運なボールなんだ」と告げました。幸運の暗示をかけたわけです(幸運条件)。
残りの半数には、「参加者全員に同じボールを使ってもらっている」とだけ告げました(コントロール条件)。
それから10回のパッティングでカップインした回数を測定すると、前ページのグラフ(図表1)のようになりました。
幸運を信じ込むと、ゴルフのパッティングの成功率が上がることがわかりますね。

「私はツイている」「私はラッキー」だと自己暗示をかけておけば、いろいろとパフォーマンスが向上し、それによって本当に幸運が舞い込んでくる可能性が高まるのです。
自分は「ラッキーな人間」と思い込むと、本当に幸せになれる
■さんまが評したタモリの凄み
「笑っていいとも!」のレギュラーとしてタモリさんとずっと仕事をしてきた明石家さんまさんは、タモリさんについてこう評しています。
(『ザテレビジョン』 1990年7月13日号 p154)
さんまさんは意外に気にするところがあるらしく、お客にウケないと意気消沈し、それをグズグズと引きずってしまうタイプだというのです。さんまさんには、そんなイメージはないので驚きますが。
ところが、タモリさんはというと、せいぜい数分間のCMの時間にパッと気持ちを切り替えてしまう。その思考の切り替えがまことに見事だとさんまさんは述べています。
反省なんてする必要はありません。
反省したところで、気分が滅入るだけで何のトクもないからです。
ノース・カロライナ大学のV・B・スコット・Jrは、反省しがちな人(昔のこと、やりそびれたこと、失敗したことをいつまでも考えてしまう人)ほど、未来を暗く感じてしまうこと、金銭的な不安も抱えやすいこと、また無能感も高まってしまうことをあきらかにしています。
すでに起きてしまったことは、どうにもなりません。タイムマシーンが発明されれば別ですが、過ぎたことをやり直すことはできませんし、反省したところで状況が変わるということもないのです。
「過つは人の常」という言葉がありますが、人間ならだれだって失敗をすることは避けられません。何でも完ぺきにこなせる人などいないのですから。
■気分を一発で変える古典的な手法
したがって、かりにたまたまうまくいかないことが起きても、
「まあ、そういうことだってあるだろう、人間だもの」
と軽く受け止め、さっさと気分を切り替えたほうがいいのです。

「でも、どうやって気分を切り替えるのか、わかりませんし……」という人もいるでしょうから、ひとつアドバイスをしておきます。
気分を変えるには、「ゴムバンド法」といわれる古典的な方法が有効です。
手首に輪ゴム(ゴムバンド)をつけておき、それを引っ張ってパンッと離しながら、自分に声をかけるのです。「よし、もうネガティブに考えるのはオシマイ!」と。
オランダにあるマーストリヒト大学のエルク・スミーツは、実験参加者にブレスレットを渡し、1週間身につけてもらいました。
もしネガティブな思考が浮かんだら、そのたびにブレスレットを片方の手首からもう片方の手首に変え、「はい、ネガティブ思考はもうオシマイ」と自分に言い聞かせるように求めました。
これをしばらくやっていると、私たちは自分を愛せるようになり、それほど悩まなくなることをスミーツは突き止めました。
反省や後悔ばかりして、重い気分を引きずりやすい人は、こういうやり方があることも覚えておくとよいでしょう。
気が滅入るだけの反省や後悔は、する必要はない
■40歳過ぎたら、テメエのバカさ加減が見えてきた
私たちは、自分のことがかわいいので自分に高い得点をつけがちです。自分の才能、容姿、学力、自動車の運転技術など、何でも「私は少なくとも平均以上だろう」と思い込んでいることが少なくありません。
若いうちならいざ知らず、ある程度の年齢がきたら、自分に対する評価を厳しくしましょう。「あの人ってうぬぼれているよね」と周囲の人に悪い噂を流されることのないよう身を律することが大切です。
(『アサヒ芸能』 1990年8月9日号 p70)
タモリさんも例にもれず、若いうちには自意識が過剰でした。自分のことを厳しく見つめるようになったのは、40歳を過ぎてからだそうですが、40歳で自分の考え方を改めることができたのですから遅くはありません。
ウィスコンシン大学のエイプリル・ブレスク・レチェックは、50名の男性と49名の女性に写真を撮らせてもらい、「あなたの魅力の自己評価は何点ですか?」と聞いてみました。また、ナルシズムを測定する心理テストも受けてもらいました。
それから7名の男性と17名の別の判定者に写真を見せて、「この人の魅力は何点ですか?」と聞いてみました。
その結果、心理テストでナルシストとされた人は自分の魅力に高い点数をつけましたが、ほかの判定者から見れば、それほど魅力的でもないことがわかりました。
■あえて、自分の評価を少し下げる
ナルシストの人は、特に自分に高い得点をつけがちですので、さらに気をつけなければなりません。「私はとても魅力的」などとうぬぼれていると、周囲の人の笑いものになるので注意が必要です。

自己評価については、少し厳しいくらいでちょうどいいのかもしれませんね。
自己評価があまりにも低すぎることは問題ですが、謙虚な評価をしていたほうが、笑いものになりませんし、謙虚であるということで周囲の人からはむしろ高い評価をしてもらえるものです。
「私なんて、ごくごく普通ですよ。○○だなんてとんでもない!」
と謙遜してみせたほうが、ほかの人の目には好ましく見えるものですから。
自己評価を低くしておくと、むしろまわりから高評価してもらえる
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内藤 誼人(ないとう・よしひと)
心理学者
慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。立正大学客員教授。有限会社アンギルド代表。社会心理学の知見をベースに、心理学の応用に力を注ぎ、ビジネスを中心とした実践的なアドバイスに定評がある。『心理学BEST100』(総合法令出版)、『人も自分も操れる!暗示大全』(すばる舎)、『気にしない習慣』(明日香出版社)、『人に好かれる最強の心理学』(青春出版社)など、著書多数。
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(心理学者 内藤 誼人)
