timelesz 公式YouTubeチャンネルより

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 2024年5月に始動した、timeleszの3人(佐藤勝利、菊池風磨、松島聡)による仲間探しオーディション『timelesz project -AUDITION-』(以下、『タイプロ』)。Netflixで昨年10月に配信がスタートしてから現在に至るまで、timeleszのファン以外の視聴者も巻き込みながら大きな注目を集め続けている。書類選考を経て、2次審査、3次審査、4次審査、5次審査と進んできたオーディションは、ついにファイナル審査へと突入。2月15日配信のエピソード18で、いよいよファイナル審査の結果が発表される予定だ。

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 他のオーディション番組とは異なる大きな特徴の一つが、オーディションを通して新しいグループを結成するのではなく、デビューして10年以上の歴史を持つグループに新しく加入する仲間を、メンバー3人自身が探し出すという点である。4次審査、5次審査、ファイナル審査では、Sexy Zone時代の楽曲、timeleszの楽曲(未発表曲を含む)が審査の課題曲となった。候補生たちは、これまで3人(そして、中島健人とマリウス葉)がパフォーマンスを重ねてきた大切な各楽曲に、自らの想いを重ね合わせながら、それぞれの審査に挑み続けてきた。

 言うまでもなく、アイドルグループにとって楽曲とは、そのグループの表現の真髄とも言える重要な要素であり、『タイプロ』を通してtimeleszがどのようなグループであるかを再確認した人、そして深く魅了された人はきっと多いと思う。本稿では、『タイプロ』を通して注目を集めている各楽曲にフォーカスを当てながら、今一度、彼らの歩みを振り返っていく。

「Anthem」

 timelesz始動の号砲であり、各話のオープニングテーマに起用されているため、『タイプロ』を最も強く象徴する1曲とも言える。プロデュース、および作詞を務めたのは、3人が敬愛する山下智久。特に鮮烈な印象をもたらすのが、サビでリフレインされる〈力 for us 力力 for us〉というパートだ。一見キャッチーでありながら、ここには3人が未来へ向けて自分たち自身を奮い立たせようとする切実な気迫が滲んでいる。

 なお、同曲は『タイプロ』の4次審査における全体ダンスの課題曲になった。リズムの縦のノリが強固な曲であり、それ故に、拍を早く取るのか、レイドバックするのかによって、パフォーマンスをする人の個性が滲み出やすい曲であると言える。18人がそれぞれの個性を爆発させた「Anthem」の披露は、数ある『タイプロ』の名シーンの中でも屈指のハイライトの一つとなった。

「人生遊戯」

 4次審査では、候補生18人が6人ずつの3チームに分かれて、それぞれのチームにSexy Zone時代の楽曲が課題曲として与えられた。その課題曲の一つとなった2023年12月リリースのシングル曲「人生遊戯」は、ファンキーなテイスト&歌謡性の高いメロディを前面に押し出した豪快なアップナンバー。この曲でのメンバーのパフォーマンスを一言で形容するならば、全身全霊。パワフルに躍動し続けるトラックを鮮やかに乗りこなし、遊び心も爆発させながら、自分たちの人生に懸ける想いを懸命に伝えていく展開に胸が熱くなる。「遊戯」というワードがタイトルに冠されているが、4次審査本番に向けた練習中に、佐藤が候補生に放った「遊戯じゃないから」という言葉が、この曲の本質を何よりも的確に物語っていたように思う。なお、同曲のラップ詞は菊池が担当。〈笑っていられんのは今のうち/こちとらまだまだ縦横無尽に/引き返す気ない一本道〉というラインには並々ならぬ気迫を感じるし、当時綴られたこのラインに込められた熱い気概は、そのままtimeleszとしての新しい歩みにも継承されている。

「RIGHT NEXT TO YOU」

 2021年3月リリースのデビュー10周年を記念したアルバム『SZ10TH』のリード曲にして、『タイプロ』4次審査における課題曲の一つ。特筆すべきは、全編英語詞であること。また、足し算ではなく引き算のアレンジによって極限まで洗練されたトラック(特に、サビでUKガラージからディープハウスへ移行する部分)に乗せて届けられる、一糸乱れぬしなやかなダンスパフォーマンス。緩急、および、ストップ&ゴーの鮮やかなコントラストが麗しき気品を感じさせる同曲は、リリース時、新境地を感じさせる渾身の勝負曲として大きな話題を集め、グループとして初の「Dance Practice Video」が公開されるに至った。音数の少なさ故に、ごまかしが一切利かない楽曲であり、team RIGHT NEXT TO YOUの候補生たちにとって大きな壁として立ちはだかったことも記憶に新しい。

「Purple Rain」

 4次審査における課題曲の一つ。2023年6月リリースのアルバム『ChapterⅡ』のリード曲であり、近年の彼らが帯びる大人な色気を前面に押し出した煌びやかなダンスナンバー。まるで万華鏡のように鮮やかに響き渡るイントロのシンセサウンドから一気に80年代の世界観に引き込まれ、そのまま流麗なトラックが、聴く者・観る者を華やかなエンターテインメントショーの世界に深く誘っていく。サビの直前で発せられるマイケル・ジャクソンを彷彿とさせるような発声に、稀代のポップスターに対するオマージュを感じ取る人も多いだろう。「人生遊戯」がエネルギッシュさ、「RIGHT NEXT TO YOU」が洗練さを大きくフィーチャーした楽曲だとしたら、「Purple Rain」はその2つの要素が美しく共存するナンバーであり、それ故にteam Purple Rainの候補生たちは、練習期間を通してこの楽曲に対する理解度を深めていくことが求められた。

「RUN」

 ファイナル審査における課題曲の一つが「RUN」であることが発表された時、深い納得感を抱いたファンはきっと多かったと思う。2020年8月にシングル曲としてリリースされた「RUN」は、2018年11月から約1年9カ月にわたり活動を休止していた松島が復帰を発表した際に5人体制で初めてテレビで披露した曲であり、歌詞には不思議と当時のメンバーの思いがそのまま乗っているようにも感じられる。2024年に行われたtimeleszとして初の全国アリーナツアー『We're timelesz LIVE TOUR 2024 episode0』で、この曲がライブのオープニングナンバーとして披露されたことも記憶に新しい。ファンにとってもメンバーにとっても非常に深い思い入れのある楽曲であり、『タイプロ』において、候補生が「RUN」と真正面から向き合うことは必然であったと言える。

 「RUN」はそのタイトルが示すように、熱い疾走感を感じさせるロックテイスト全開のナンバーであり、サビの勇壮なメロディに乗せて届けられる〈止まらないで 止まらないでよ 僕らはまだ始まったばかりさ〉という一節は、これまでそうだったように、きっとこれからも、3人を、新しく加入するメンバーの心を、強く奮い立たせる1曲であり続けていくはずだ。

 今回は、いくつかの楽曲をピックアップして紹介したが、他にも象徴的な楽曲は多い。5次審査では「SWEET」「革命のDancin' night」「New phase」という新曲が制作され、また、ファイナル審査では候補生が2チームに分かれ、新曲「Rock this Party」をtimeleszの3人とともにパフォーマンスする場が用意された。これまでの楽曲、そして、これから生まれる楽曲、その一つひとつの連なりが、グループの歩み、ひいては歴史になっていく。『タイプロ』は、そうしたプロセスの意義深さ、尊さを、現在進行形のものとして強く感じさせてくれるプロジェクトであると思う。『タイプロ』を通して、初めてtimeleszの楽曲に触れて心を動かされた人は、ぜひ他の楽曲も辿ってみてほしい。

(文=松本侃士)