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シビックをクロスオーバーに仕立てたZR-V

新モデルのZR-Vは、ホンダにとって重要なポジションにあるに違いない。ヒョンデ・サンタフェなどの正当なライバルになるべく、新しいCR-Vはボディサイズがひと回り大きくなった。その隙間を埋め、他ブランドへユーザーが流れるのを防ぐ役割がある。

【画像】シビック譲りの優等生 ホンダZR-V e:HEV 同クラスのクロスオーバーと比較 シビックも 全157枚

「ディーラーでは、このクルマの登場へ非常に期待を寄せています」。と興奮気味に話すのは、英国向けモデルの責任者を務めるアンドリュー・ウィンドフィールド氏。「従来以上の売上げを見込んでいます」


ホンダZR-V e:HEV アドバンス(英国仕様)

CR-Vよりひと回り小さいZR-Vは、ざっくりいうならシビックをクロスオーバーに仕立てたモデル。全高は200mmほど増しているが、4568mmの全長はほぼ同じ。英国では9月から納車が始まり、ハイブリッドのみの提供となる。

実際、シャシーやハイブリッド・パワートレイン、ダッシュボードなどをシビックと共有する。英国仕様のボンネット内に収まるのは、最高出力143psの自然吸気2.0L 4気筒エンジンだ。

この内燃エンジンは、183psの駆動用モーターか、1.05kWhの駆動用バッテリーに電気を供給するのが主な役目。高速道路などエネルギー効率で有利な場面では、トランスアクスルのクラッチが繋がり、フロントタイヤを直接駆動することもある。

市街地など日常的な環境では、物理的にエンジンはタイヤと独立しており、ソフトウエアが自在に回転を制御する。必要なければ休止するし、ATで走行している時のような、回転数の変化を真似ることもある。充電のため、高い回転数を維持することもある。

シビックで見慣れた好印象なインテリア

好印象なインテリアも、シビックで見慣れたもの。エアコンの送風口が横方向に伸びる、シンプルなダッシュボードのデザインは同一といえる。クリック感のあるボタンが並ぶエアコンの操作パネルも共通しており、使い勝手に優れる。

インフォテインメント用に9.0インチのタッチモニターが据えられるが、グラフィックはもう少し鮮明に表示されてもいいだろう。ショートカット・メニューとワイヤレスでのスマートフォン・ミラーリング機能に対応し、機能性は悪くないが。


ホンダZR-V e:HEV アドバンス(英国仕様)

内装に用いられる素材は、シビックより1ランク上。ドアパネルでは、ソフトタッチ加工される領域が増え、センターコンソールの下には悪くない大きさの収納トレイも用意される。ZR-VにはMTがないため、より実用性を高めたデザインになっている。

ステアリングホイールの奥には金属製のパドルが配されるが、これはホンダとしてはハイブリッド・スーパーカーのNSX以来。ただし変速ではなく、回生ブレーキの強さを選ぶためのアイテムだけれど。

ZR-Vで少し違和感を感じたのが、ドライビングポジション。クロスオーバーらしく目線はやや高めながら、シビックのように背もたれは倒れ気味になる。

両足を前方へ投げ出し、調整域の広い快適なシートへ身を委ねる格好になり、一部のユーザーには喜ばれるかもしれない。だが、背もたれを起こしたSUVらしい姿勢を望むユーザーからは、共感を得にくいだろう。

乗り心地や操縦性で有利なマルチリンク・サス

リアシート側の空間は、膝前も頭上も広々。センタートンネルの膨らみは小さく、中央の席でも足の置き場には困らなそうだ。USBポートとエアコンの送風口があり、フロントシート側と同等の素材が用いられ、快適に過ごせる。

荷室は、このクラスのクロスオーバーとしては狭め。ライバルの日産キャシュカイ(旧デュアリス)は504Lあり、ハッチバックのシビックでも410L確保されているのに対し、390Lしかない。


ホンダZR-V e:HEV アドバンス(英国仕様)

床面は、部分的に立ち上げることで仕切りを作れ、実用性には配慮されている。しかし、もっと効率良く空間を生み出せたのではないだろうか。ボーズ社のサウンドシステムが載る英国のアドバンス・グレードでは、380Lへ更に狭まる。

ホンダ・フィットやヴェゼルからクラスアップするユーザーの場合は、リアシートの座面が跳ね上がらないことに不便を感じるかもしれない。大きな観葉植物など、背の高い荷物は倒して積む必要がある。

その理由が、乗り心地や操縦性で有利となる、マルチリンク式サスペンションをリアに採用したこと。小さくまとまるトーションビーム式とは異なり、一般的なモデルと同様に、ガソリンタンクをリアシートの下へ配置する必要が出てくるためだ。

秀でた実用性と、乗り心地や操縦性を天秤にかけた時、どちらを選ぶかはユーザーによって異なるだろう。だがファミリー・クロスオーバーとして、前者を優先した方が多くの支持を集めるのではないかと筆者は考える。

この続きは後編にて。