待望の2L直列4気筒 ロータス・エミーラ 英国で乗ってきた
史上最強の4気筒を得たロータス
先頃開催されたグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードにおいて一般に初めて公開されたロータス・エミーラの直列4気筒エンジン搭載モデル、その名も「エミーラ」。イベントの直後、プレスへの試乗貸し出しがはじまったタイミングで筆者(吉田拓生)はノーウィッチを訪れ、そのステアリングを握ることができた。
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エミーラは発表当初からV型6気筒と直列4気筒という2つのパワートレインが用意されるとアナウンスされていたが、第一弾としていち早くデビューしたのはV6モデルの方だった。

ロータス・エミーラ・ファーストエディション ロータス
フロントエンジンのモデルで複数のエンジン形式が用意されることはあるが、ミドシップのスポーツカーでは珍しい。エミーラ以外ではポルシェが718ケイマンに4気筒と6気筒を載せていることくらいだろう。
エミーラが搭載するメルセデスAMG製の2L直列4気筒ターボ・エンジンは、4気筒世界最高の出力を誇るM139型。メルセデスAMG A 45 S 4マティックのパワーユニットと言えばわかるだろうか。
421psを発生するA 45用に対し、ロータスがエミーラ用にリセッティングしたユニットの最高出力は365psに設定されている。若干控えめな数値ではあるが、それでもロータス史上最強の4気筒という肩書がついている。
一方MTとトルコンATが選べるV6に対し、直4モデルは8速ATのみ。ついにロータスがアルピーヌA110やアルファ・ロメオ4Cと同じくDCT(デュアルクラッチトランスミッション)を手に入れたのである。
静か なめらか V6との違い
新しくなったロータスのファクトリー前に止められたセネカブルーのエミーラ。外観から直4モデルとわかる箇所はエンブレムも含めて皆無といっていい。リアウインドウ越しにエンジンのカバーを確認しなければグレードの特定はできないのである。
3種類が用意されているエミーラ用のホイールも、全てのタイプがV6と直4で選択可能なのでグレード判別の材料にならない。

外観から直4モデルとわかる箇所はエンブレムも含めて皆無といっていい。 ロータス
筆者が試乗したエミーラはスポーツ・シャシーがインストールされていた。具体的にはアップレートされたアイバッハのコイルスプリングとビルシュタインのショックアブソーバー、タイヤはミシュランのパイロット・スポーツカップ2LTSが装着されている。
運転席からの眺めはV6モデルと同じといっていい。個人的にはAT用のシフトレバーは初めて目にする。ツアーモードを選び、ヘセルのテストトラックにコースインした。
ATモードのまま流して走る限り、、直4モデルの室内は非常に静かで洗練された乗り物に感じられる。ツアーモードではシフトアップも早めかつ滑らかで、「史上最強の4気筒」の片鱗も伺えない。
少し硬めになっているはずの「スポーツ・シャシー」だが、以前走った時よりはるかに平滑な路面になったヘセルのおかげで違和感も全くない。
直4モデルはトヨタ・ロータスの3.5L V6の鋭い吹け上がりと音による主張が強めなV6モデルの第一印象とははっきりと異なるのだ。
1粒で2度! 作り分けの妙
高速トラックのヘセルをゆったりと2周した後、スロットルを強めに踏み込み、7000rpm付近のリミット(スポーツモード)まで回してみる。排気音が野太さを増し、拍車がかかったように急激にスピードが伸びていく。
連続する高速コーナーで感じたのはロータスらしい軽快なハンドリングと、前後のタイヤがしっかりと結ばれているような一体感だった。直4モデルの前に比較用にドライブしたV6と比べると、その違いは顕著だ。

直列4気筒とV型6気筒ではサブフレームの材質と構造が異なる。 ロータス
V6はブレーキングからターンインに向けた一連の動きが少しだけゆったりとしていて、リアが重く倒れ込むようにロールする。直4モデルにはそれがなく、まるでエリーゼを彷彿とさせるような軽快な身のこなしでコーナーをすっきりとやり過ごしていく。
カタログ数値の車重はV6の方が4kg重いだけ。しかしリアのサブフレームは、構造と材質が異なる。V6はエヴォーラの流れをくむ鋼板溶接だが、直4モデルはアルミ鋳造になっている。またリアサスのアーム長も直4モデルの方が少しだけ長い。構造的な違いと、エンジンの重心の低さが、両者の走りに違いをもたらしているのだろう。
V6エンジンの強刺激はエキシージSやエヴォーラを彷彿とさせ、一方直4モデルの軽快なドライバビリティはエリーゼ譲りの伝統的なロータスらしさが薫る。
現在のロータスのガソリン車のラインナップはエミーラのみだが、そこには往年のモデルからキャラクターを受け継いだかのような、はっきりとした棲み分けが存在していたのである。
