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2023年にはスウェーデンなどで販売開始

今回試乗した電動サルーンのシャオペンP7は、中国本土では2020年に販売がスタートした。同社のベストセラーなだけでなく、大型SUVのG9とともに、欧州市場へ進出するうえで重要な先鋒を担っている。

【画像】歴史の浅さを感じさせない シャオペンP7とG9 競合する電動サルーンと写真で比較 全137枚

ノルウェーでは2021年に発売されており、2023年からはスウェーデンやデンマークでも買えるようになる。英国での展開も計画にはあるが、右ハンドル仕様の準備には時間がかかり、具体的な時期は決まっていないそうだ。


シャオペンP7 ロングレンジ(欧州仕様)

P7のスペックシートを確認すると、なかなか訴求力のある数字が並ぶ。メルセデス・ベンツEQEやBMW i4といった、プレミアム・ブランドのバッテリーEV(BEV)とも引けを取らない。

P7の寸法は、全長が4888mm、全幅が1896mm、全高が1450mm。ちなみにi4は、4783mmと1852mm、1448mmとひと回り小さい。

ベースとするプラットフォームは、自社開発のエドワード・アーキテクチャ。SUVのG9とも共有している。シングルモーターの後輪駆動と、ツインモーターの四輪駆動が用意されるが、今回試乗したのは276psと44.8kg-mを発揮する前者となる。

駆動用バッテリーは、実容量で82.7kWh。航続距離は576kmと不足なく、0-100km/h加速を6.7秒でこなす活発さを備える。

ツインモーター版は、システム総合で472psを発揮。0-100km/hは4.1秒とさらに鋭い。駆動用バッテリーは同じものが積まれ、電動パワートレインの電圧は400V。急速充電能力は175kWまで対応する。

スリークなスタイリング 電費は5.9km/kWh

P7の特徴といえるスリークなスタイリングは空力特性にも優れ、エネルギー効率を高めている。従来的なサルーンと、ハッチバックのグランクーペの中間のようなシルエットで、空気抵抗を示すCd値は0.236に抑えたという。電費は5.9km/kWhだ。

引きで見るとテスラ・モデルSと似ているように感じるが、シャープなヘッドライトのおかげで、ロボットのような個性も得ている。驚いたことに、オプションでフロント側にガルウイングドアも指定できるという。


シャオペンP7 ロングレンジ(欧州仕様)

インテリアは、シャオペンがVIPラウンジと表現するデザイン・コンセプトで仕立てられている。ダッシュボードの上部に、メーター用モニターと繋がったタッチモニターが据えられている。内装の製造品質は悪くない。

車載機能の殆どはタッチモニターを介して操作することになるが、もっと実際に押せるハードボタンが欲しいと感じてしまう。テスラに乗り慣れているドライバーなら、違和感はないと思うが。

ドライブモードと回生ブレーキの効きを変更するには、タッチモニターからメニューを2段階掘り下げる必要がある。構造としてはわかりやすいものの、正直なところ手間だ。

アリングホイールには、タッチセンサーの他に、親指でスクロールできるスイッチが備わる。エアコンの温度やステレオの音量を調整できるのだが、ユーザーの好みで機能を割り当てられれば便利だろう。筆者なら、ドライブモードのセレクターにしたい。

シャープでスムーズなステアリング

インフォテインメント・システムは、シャオペンが力を注ぐ部分。直感的に操作でき、反応は素早く、表示はクリアだ。必要に応じて画面の構成を変更したり、アプリをダウンロードして追加できる。スポティファイは標準で実装される。

音声アシスタントも備わるが、アップル・カープレイとアンドロイド・オートには非対応。シャオペンは、追って利用できるようになる可能性を示唆する。中国における、スマートフォン業界の緊張感の高まりも匂わせる。


シャオペンP7 ロングレンジ(欧州仕様)

車内空間はボディサイズなりに広い。フロントシート側はゆったりしており、リアシート側も妥当といえる。荷室容量は440L。ハッチバックとは異なり開口部がやや狭く、大きな荷物は少々載せにくい。

P7を発進させてみると、その質感に感心する。ステアリングには、中国車としては珍しく適度なシャープさとスムーズさが備わる。手の動きへダイレクトに反応し、フィードバックも伝わってくる。

アクセルペダルの角度に対する反応は鋭い。瞬間的にトルクが立ち上がり、キビキビと軽快に速度調整が可能。ドライブモードによって、サスペンションの硬さや回生ブレーキの効きが変化する。ドライバーズカーとはいえないものの、運転はしやすい。

サスペンションは、フロントがダブルウイッシュボーン式で、リアがマルチリンク式。乗り心地は全般的に良好ながら、路面が荒れると少々硬さも目立つ。とはいえ、車重が嵩むBEVとしては落ち着いている方ではある。

歴史の浅さを感じさせない訴求力

アクセルペダルだけで発進から停止までまかなえる、ワンペダルドライブ機能が備わるものの、完璧ではない。完全に停止するには、稀にブレーキペダルを踏む必要があった。

車線維持支援やアダプティブ・クルーズコントロールなど、運転支援システムは多機能。ナビゲーション・ガイデッド・プロという、レベル2に対応した自律運転システムも中国では利用できるそうだが、欧州では規制が異なり一部の機能が制限されるという。


シャオペンP7 ロングレンジ(欧州仕様)

肝心のP7の英国価格だが、4万3500ポンド(約700万円)前後になると考えられる。テスラ・モデル3 ロングレンジよりお手頃といえ、一定の競争力は備わるだろう。BEVを考える際、候補に加えたいと考える人もいるはず。

欧州では聞き慣れない中国ブランドではあるが、10年前には存在しなかったという歴史の浅さをP7は感じさせない。シャオペンは、大型SUVのG9が同社のベストセラーの地位を奪うと予想している。とはいえ、このサルーンの仕上がりも決して低くはない。

シャオペンP7 ロングレンジ(欧州仕様)のスペック

北米価格:4万3500ポンド(約700万円/予想)
全長:4888mm
全幅:1896mm
全高:1450mm
最高速度:199km/h
0-100km/h加速:6.7秒
航続距離:576km
電費:5.9km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:2020kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
バッテリー:82.7kWh(実容量)
最高出力:276ps
最大トルク:44.8kg-m
ギアボックス:シングルスピード・リダクション