見てるこっちが「うわ〜」と思うような人だったのに、凄い的確に案内。凄い…。

約6000人から選ばれた12人の接遇

「これ見て。俺ダイヤ(ANAマイレージクラブ会員の最上級のステイタスであるダイヤモンドサービス会員のこと。旅客役はこのステータスを見せる)。10年以上俺ANA乗ってるけど、こんな仕打ち初めて。飛行機遅延すると到着地で電車もバスも乗れないよね?どうしてくれるの?」

 これは2022年12月に実施された、ANA(全日空)の地上係員たちの接客スキルを評価する「空港カスタマーサービス スキルコンテスト」の出場者が、スタッフが扮(ふん)する旅客役に“開口一番”で浴びせられた一言です。


ANA「空港カスタマーサービス スキルコンテスト」の様子(乗りものニュース編集部撮影)。

 今回の出場者は国内と海外あわせ94空港の地上係員約6000人から集められた12人。この最終審査はANAの訓練施設で実施され、1人5分程度実演審査を実施します。そのなかでは、たとえば「ヤモリを機内に持ち込みたい」など、突飛なものを含むさまざまな問い合わせにアドリブで対応していきます。

 冒頭のケースは、「中部→仙台の国内線で機材整備のために飛行機が遅延し、到着空港から目的地まで公共交通に乗れないケース」での旅客対応。この出場者は、臨時バスの手配、タクシー代の補償を提案し、その具体的な手順について説明したほか、中部空港での待機時間の過ごし方など答えました。

頂点にたったANA地上係員の接遇、どのようなもの?

 このなかでグランプリを獲得し、ANA地上係員の頂点となったのは、成田空港の野原まりなさん。ANAが保有する超巨大旅客機、エアバスA380「フライングホヌ」のビジネスクラスを用いてハワイ・ホノルルに旅行へいく旅客の対応にあたるというシチュエーションでした。

 問い合わせ内容は、このフライトで提供される機内食の内容について、空港ラウンジのおすすめの食べ物についてなど。審査中には、突如旅客のひとりに英語での会話を求められ、英語で「『フライングホヌ』のおすすめポイント」「ひまわりを機内に持ち込んでいいか」などの問い合わせに回答。ひまわりの件では「(アメリカでは種子類の持ち込みが禁じられているため)私の方から検疫所に持ち込みができるか確認を取るので、15分後にカウンターにお越しいただけますでしょうか」といった具体的な応対を実施しました。

 このコンテストはANAの井上慎一社長などが審査員として参加。同氏は出場者のスキルに「素晴らしい!世界に誇れますよ!」と評価したうえ、「このスキルをどうやってビジネスとして展開していくかは私の仕事です。オンラインチェックインが進む中、こういった高いレベルの接遇スキルはデジタルでは、簡単にマネができません。他社との差別化において、大きな原動力になります」としています。

 野原さんは「コロナ禍で、ここにいる社員は厳しい2年間を過ごしてきました。あのころ(コロナ禍前の賑わい)をもう一度……という熱い気持ちがあったから、いまにここにいるんだと思います」とコメント。

 同氏は普段の接遇の際に気をつけているポイントとして「聞くことに注力することです。成田空港では、日本語・英語も使わない多国籍のお客様がいらっしゃいます。そういった方々のリクエストや意見を聞き、正確なアプローチや期待を上回るサービス提供を心がけています」としています。

【動画】スキル凄ッ! 6000人の頂点に立った「ANA地上係員」の神対応