台湾製糖、ラム酒製造を始動 国際競争力ある商品を開発へ 2026年販売開始目指す=写真は同社提供

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(台北中央社)台湾製糖(台糖)は利益が得られにくくなっている製糖事業の苦境を脱しようと、砂糖と同じくサトウキビを原料とするラム酒の開発に乗り出している。国際競争力を有する中高価格帯のラム酒を生産し、2026年の販売開始を目指す。

台糖研究所の黄怡仁所長によれば、製糖工場と酒の関係は密接で、台糖もかつては砂糖の製造過程でできる糖蜜を使い、アルコールを生産していたこともある。昨年、台糖の陳昭義董事長(会長)が製糖業の衰退を鑑み、一部のサトウキビをラム酒の製造に回す構想を提案したことで、ラム酒の開発が始まった。

台糖はサトウキビの絞り汁を原料とする高価格帯の「アグリコール」と、糖蜜を原料とする「トラディショナル」の2つの製造方式でラム酒を開発する予定。アグリコールには台湾在来種のサトウキビを使用する方針で、将来的には国賓を招いた食事会で振る舞うことができればと黄所長は期待を寄せる。

高品質なラム酒の製造に向け、台糖はラム酒のテイスティングを担当する人材の育成を進めている。メーカーや学校と連携して授業を受けさせ、訓練を行っているという。また、酒類メーカーの台湾煙酒を退職した専門家からの技術指導も受け、今後は2カ月ごとに全従業員を対象にした試飲も実施する。最終的にはアグリコールを2種類、トラディショナルを4酒類選び、商品化する予定。年間売上高は3500万台湾元(約1億5800万円)を見込む。

若者をターゲットに、ラム酒を使った低アルコール飲料やパイナップルなどの台湾産果物とサトウキビジュースを調合した飲料の開発も計画しているという。

(曽智怡/編集:名切千絵)