この記事をまとめると

■パンタジャッキはパンタグラフ型のジャッキを指す

■ほとんどのクルマの車載ジャッキはこのタイプ

■正しい使い方や注意点について解説する

他車種のパンタジャッキの使い回しはNG

 パンタジャッキというのは、車載ジャッキでもおなじみのパンタグラフ型のジャッキのこと。JIS規格では「自動車用ねじ式携行ジャッキ」と呼ばれていて、菱形の中心にあるねじ棒を、ジャッキハンドルバーとジャッキハンドルを組み合わせたクランク棒を回転させることで、車体を上げ下げできる仕組み。

 軽量かつコンパクトで省スペース性に優れ、シンプルで安価というメリットがあるので、ほとんどのクルマの車載ジャッキはこのタイプ。

 一方で、基底面が狭いため安定感が乏しく、最大使用荷重にも余裕がないという短所がある。そのため、クルマの取扱説明書の「ジャッキアップ及びタイヤ交換のしかた」の項には、「ジャッキは、タイヤ交換時に車両をジャッキアップする目的以外で使用しないでください」と注意書きが記されている。つまり、車載のパンタジャッキは、パンクしたときなどの応急用という設定だ。

 したがって、パンタジャッキを使ってタイヤ交換以外のメンテナンス作業、たとえばブレーキパッド交換やブレーキのエア抜き、車高調の車高調整やオイル交換などはNG。こうした作業を行なうときは、フロアジャッキで車体を上げて、ウマをかけてから行なうこと。

 とくにパンタジャッキで2輪同時に持ち上げてタイヤ交換しようとするのは、かなり危険なので厳禁だ。また、ふたつのパンタジャッキ使って、前輪と後輪あるいは左右両輪を同時に持ち上げるのも絶対NG。

 車載のパンタジャッキは、形は同じように見えても最大使用荷重はそれぞれ違うし、ジャッキの荷受の形や車体のジャッキアップポイントの形状も違うので、他車種のパンタジャッキを使い回しすることはできない。

 クルマの取扱説明書にも、「ジャッキは必ずこの車両専用のものを使い他車のジャッキは使わないでください。また、この車両専用のジャッキは他車に使わないでください」とはっきり明記されているはずだ。

 というわけで、パンタジャッキは「一輪しか持ち上げられない」ということは、よく覚えておこう。

サイドシルの下に外したタイヤを入れておくと安心

 そのパンタジャッキの使い方についても触れておこう。

 車載のパンタジャッキは、ラゲッジサイドボックスかトランクの床下に格納されている場合が多い。

 ジャッキを使うときは、平坦な硬い地面にクルマを止め、ジャッキをかける位置と対角線上にあるタイヤに輪止めをする。

 エンジンを止めて、人や荷物をクルマから降ろし、指定されたジャッキポイントに正しくジャッキを合せる。

 ジャッキを手で回し、荷受け(ジャッキの溝)がジャッキアップポイントの中央に入るまで上げ、タイヤが接地しているうちにホイールナットをゆるめる。

 ナットがゆるんだら、ジャッキにジャッキハンドルバーとジャッキハンドルをセットし、ゆっくり回して車体を上げる(必要以上の高さまで車両をジャッキアップしない)。

 タイヤが浮いたら、ホイールナットを取り外し、タイヤを取り外す。

 走行直後だと、ナットやホイール、ブレーキが熱を持っているので、やけどに注意。基本的にはタイヤ周辺が冷めているときに作業する。

 タイヤを外したら、ジャッキの横、サイドシルの下に外したタイヤを入れておく。これはジャッキが倒れたときの保険……。

 それぐらいパンタジャッキでのジャッキアップは安定感に欠けるので、パンタでのジャッキアップ中は絶対に車体の下に身体を入れないこと!

 余談だが車載ジャッキには、パンタジャッキのほかに、SUVやトラックなどに使われる垂直式の縦型のジャッキ「普通型」と、ベンツやBMWが採用する、ボディの側面に差しこんで回した上げるタイプ「ボディジャッキ」などもある。

 また社外品では、油圧式のパンタジャッキ、いわゆるシザースジャッキもあるし、ネジ式のパンタジャッキを電動ドライバーで上げ下げするような応用も。

 いずれにせよ、パンタジャッキは不安定で、一輪しか持ち上げられないものなので、使用時は取扱説明書をよく読んで、リスクを最小限にしたうえで使うこと。