最後に決まったのはいつだろう。

 日本代表が、直接FKから得点を奪ったのは。

 しばらく考えたすえに思い浮かんだのは、カタールW杯アジア2次予選のキルギス戦だ。19年11月のアウェイゲームで、原口が右足で決めている。

 その後はどうだろう。そもそも、直接FKからゴールを狙う場面がほとんどない。ペナルティエリア付近で直接FKを獲得していないから、狙うことができていないのだ。

 言い換えれば、直接ゴールを狙える位置で、相手がファウルをせざるを得ないようなプレーが少ない、ということである。コンタクトプレーであっさりと倒れず、持ちこたえてプレーを続けているとも考えられるが、相手守備陣がファウルせざるを得ないような場所へ、なかなか侵入できていない姿がうかがえる。

 11月11日に行なわれたアジア最終予選のベトナム戦でも、直接FKからゴールを狙う機会はなかった。大迫勇也、南野拓実、伊東純也の3トップの関わりで先制点を奪い、その後もボール保持率では上回ったが、シュート数は日本が13本でベトナムは6本だ。一方的ではない。

 もっとシュートを打ってもいいのでは、と思う。中長距離から打つことで、相手守備陣を前へ引き出すことができる。シュートを打つというアクションを防ぐために、守備側の対応が厳しくなる。ファウルを誘う可能性が高まるのだ。

 ところで、いまの日本代表でキッカーを務めるのは誰なのか。レギュラー格では吉田麻也と南野が狙うのだろうか。ピッチに立っていれば柴崎岳、田中碧らも任されそうだが、率直に言って対戦相手への威圧感に欠ける。名波浩、中村俊輔、小野伸二、遠藤保仁、本田圭佑、清武弘嗣らに連なるキッカーは、残念ながら見当たらない。

 日本代表のユニフォームを着た中村らが、直接FKを山のように決めたわけではない。中村なら03年コンフェデレーションズカップのフランス戦、遠藤と本田なら10年南アフリカW杯のデンマーク戦のように、ビッグマッチで決めた記憶が彼らへの信頼感や期待感となり、対戦相手への威圧感となる。日本相手に不用意なファウルはできない、とのイメージを植えつける。

 そうしたなかで日本の選手が仕掛けてくると、守備側は困惑を深める。日本の突破を止めなければいけないが、反則を冒すことは避けたい──難しい対応を迫られる。

 ところが、現在の日本代表には「リスタートの威圧感」がない。

 日本代表ではなくJリーグを見渡しても、フリーキッカーを見つけるのは難しい。J1ですぐに思い浮かぶのは福森晃斗(北海道コンサドーレ札幌)で、原川力(セレッソ大阪)や初瀬亮(ヴィッセル神戸)らの名前もあがるが、彼らが日本代表に招集されてポジションをつかめるか、という疑問が残る。ゴールの可能性を感じさせる日本人フリーキッカーとしては、遠藤保仁(ジュビロ磐田)、藤本淳吾(SC相模原)、田口泰士(ジェフユナイテッド千葉)、馬渡和彰(大宮アルディージャ)、野津田岳人(ヴァンフォーレ甲府)、高橋大悟(ギラヴァンツ北九州)ら、J2のほうが多いかもしれない。彼らにしても日本代表入りは現実的でなく、国際舞台で再び直接FKが武器となる日は遠い印象だ。

 直接FKから直接ゴールを決めるのは難しくても、FKやCKを武器にすることは可能だ。田中碧や柴崎のようなキッカーがいて、吉田麻也、冨安健洋、酒井宏樹、大迫、遠藤航らの空中戦に強い選手がいるのだ。得点の気配が漂わないのはもったいないだろう。

 サウジアラビアとオーストラリアに対しては、勝点だけでなく得失点差や総得点でも劣っている。16日の試合では勝利はもちろん得点も求められ、そのためにもリスタートは有効に活用したい。複数得点と無失点をノルマに、オマーン戦に臨んでほしいのだ。