不満と失望の顧客が低評価と調査、世論調査やアンケートの負のフィードバックを与えます。サービスの質についてのレビューを与える悲しいと不満の男。

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テレビや雑誌などさまざまなメディアで発信を続ける国際政治学者の三浦瑠麗氏。なかでも政治や文化について一段深い議論を展開するのがプレジデント社の公式メールマガジン「三浦瑠麗の『自分で考えるための政治の話』」(毎週水曜日配信)だ。同メールマガジンから抜粋・再編集した記事をお届けする。
写真=iStock.com/Tero Vesalainen
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Tero Vesalainen

■モンスタークレーマーへのベストな対応は「無視」

最近、言論の自由がとみに縮小している。ごく少数の人たちが、SNS上で少数であるにもかかわらずクレーマーとして影響力を持ってしまう。そのような状況における適切な振舞い方とは、どのようなものだろうか。

例えば、芸人のほんこんさんの言動に対して、レッテル貼りをして反対・嫌悪をSNS上で煽り立てようとする運動が現れる。こうした運動に対してベストな振舞いは、おそらくガン無視。ごく少数のクレーマーに噛みついても得るところがないからだ。むしろ、叩かれるということは叩く側が弱点をさらけ出していることを意味するから、放っておくに限る。

それでも傷つくという方もおられるだろう。例えば、伊藤詩織さんの裁判。彼女が名誉感情を傷つけられたとして杉田水脈衆議院議員を訴えている件では、裁判をすること自体によって(勝敗はともかく)次なる攻撃の「抑止」効果を持つという見方もできる。今回のケースでは、議員が他人のツイートに「いいね」を押したことが名誉感情を傷つけたかどうかが問われているから、さらに訴訟対象の幅を広げるという試みもある。

ただし、その場合に言論空間が狭まってしまうことも考えに入れておくべきだ。また、杉田議員にしても、彼女自身が他人を中傷してきたとはいえ、彼女への憎悪感情も寄せられていることは留意しておくべきだろう。とりわけ容貌をあげつらったり、異性関係をほのめかしたりするものは彼女の名誉感情を傷つけるだろう。

■常に自分の言いたいことを言い続ける

伊藤詩織さんご自身の件については、ご本人が自由に訴訟をすればよいと思う。名誉感情を傷つけた人に訴訟を起こすことが、彼女自身の癒やしになる可能性もある。けれども、今回の意欲的な裁判で仮に勝利し、杉田議員から数十万円のお金を取れたとしても、匿名のアカウントによる誹謗中傷はなくならないだろう。

著名人に訴訟リスクを負わせることで発言を中傷度合いの少ないものに誘導できても、相変わらず匿名アカウントは誹謗中傷をし続けるだろうし、他人が何を言っているかを“エゴサーチ”で探して見に行けば、言われている本人も傷つき続けることになるだろう。

私自身、今まで訴訟を考えたことが全くないというわけではない。しかし、人前に顔と名前を晒して言論人として生きていくということは、基本的には外野が言いたい放題言う環境に身を置くということだ。極端な左右のモンスタークレーマーに一つ一つかまうことは、むしろ私の発したい中心的なメッセージから遠ざかることになる。言論の機会があれば、相手の憎しみに対するリアクションではなく、常に自分の言いたいことを言い続けるべきだと思うのだ。ステイ・オン・メッセージ。私が特段、自らについて多くを語らなくとも、読者の皆様にはお察しいただけることと思う。

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三浦 瑠麗(みうら・るり)
国際政治学者
1980年、神奈川県生まれ。神奈川県立湘南高校、東京大学農学部卒業。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。著書に『21世紀の戦争と平和』(新潮社)、『私の考え』(新潮新書)など。
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(国際政治学者 三浦 瑠麗)