岡田晴恵さん

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長嶋一茂氏は快哉

 スポーツ報知(電子版)は5月22日、「岡田晴恵教授、夏の甲子園は『無観客ならやっていい…広い野外でうつるとは思えない』」の記事を掲載した。

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 この日に放送された「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日系列・平日・8:00)。コメンテーターの長嶋一茂氏(54)と、ゲスト出演していた元国立感染症研究所研究員で白鴎大教授の岡田晴恵氏のやり取りを紹介したのだ。

 5月20日、日本高校野球連盟(高野連)などは、夏の甲子園について開催中止を決定した。これは「戦後初の中止決定」(同日のNHK NEWS WEB)などと大きく報じられた。

岡田晴恵さん

 長嶋氏は番組で新型コロナの問題が取り上げられた際、かなり唐突に「甲子園はやってほしい」と発言し、自ら「岡田さんどうですか?」と見解を求めた。放送を再現しよう。

 甲子園の話題になったのは、午前8時46分ごろ。緊急事態宣言の解除手順、いわゆる東京都の“ロードマップ”についてコメントを求められていた長嶋氏が、かなり強引に、高校野球の話題に変えてしまったのだ。

 ちなみに番組MCを務める羽鳥慎一アナ(49)は、慌てた素振りを全く見せない。さすがだと言い添えて、引用を始めさせていただこう。

長嶋:ちょっとここで、羽鳥くんごめん、ちょっと時間を取るわけじゃないんだけど、プロ野球のところちょっと出してくれますか。無観客試合というところ、こっちごめん、グラフがないから見えないんだ。えっと、段階のステップ……

羽鳥:段階ですね。ロードマップ。

長嶋:ロードマップの……

羽鳥:ステップ1ですね。はい。無観客の場合はステップ1ですね。

長嶋:そうですね。そこ、あるじゃないですか。これね、ちょっと岡田先生に聞きたいんですけれども、先週、急にエンディングで、甲子園が中止って話になったんですよ。

岡田:はい、はい。

長嶋:プロ野球が無観客試合でできるんだったら、甲子園って屋外だし、まあ夏、暑い時だし、無観客でやるかやらないかはちょっと横へ置いておいて、試合自体は、僕はやってほしいなと。で、そうでなくとも今年の中学生、高校生、大学の各最終学年にあたる子たちは、春の春高バレーとか、例えば高校総体とか、色んなイベントがどんどん中止になっているわけじゃないですか。

羽鳥:野球以外もね……。

長嶋:野球以外も含めて。別に僕が野球出身だから、野球だけということではないんだけれども、甲子園って岡田さんどうですか? ごめんなさい、話がちょっと横に飛んじゃうんだけど、聞きたいんだ。

岡田:私、やっていいと思います。ぜひやればいいと思う。

長嶋:ほら! そうですよね。それ言いましょうよ。

紫外線がウイルスを殺す?

 番組は盛り上がっていく。

岡田:ですから、野外ですし、無観客ですし。で、もし心配だって言ったら、多分、宿舎の問題だと思うんですよ。

羽鳥:そうですね。多分、試合自体じゃなくて、移動とかそういうことですよね。

岡田:そこは例えば、バスの台数を増やすとか、応援の人は我慢していただいて、選手だけ。それで、お部屋も個室にするとか、今、空いてますよね? 工夫をしながら、試合は無観客ならやっていいと思うんですよ。で、私はあの試合を、あんなに広い野外でやっててうつるとはあんまり思えないですし、夏ですから感染伝播力は低いですし、野外ですからUVがいっぱい当たりますから、紫外線でウイルス死にますので、無観客でやることの合理性というのはウイルス学的にはあると思っているので、ぜひ高野連の先生方、見ていただけたらやってください。

長嶋:いや、本当ですよ。

羽鳥:試合自体は、ということですね。

岡田:はい。やっていただいて、テレビに映していただきたい。

長嶋:だから甲子園はやらないけども、各都道府県での大会は創意工夫してやってくださいみたいな、勝手なことを言っているわけですよ。日本高野連と朝日新聞かも分からないんですけども。まあ、ぜひ、今の岡田先生の話を聞いて、僕は、気持ち的にはやってもらいたい。

羽鳥:甲子園。

岡田:私もやってもらいたいです。

長嶋:専門の方が「やってもいい」って言うんだから、今の声、届いてほしいなあ。

羽鳥:そういう意見の方も、本当にね、多くいると思います。

 このやりとりにネット上は強く反応したのだ。しかし、それをご紹介する前に、岡田教授が「夏場は新型コロナの感染力が低下する」と指摘し続けてきたことに触れておこう。

 例えばスポニチアネックスは5月19日、「岡田晴恵教授 新型コロナは『高温多湿と紫外線が大嫌いですから、下火にはなって来る』」の記事を配信した。

 岡田教授が発言した番組は、同じ「羽鳥慎一モーニングショー」だった。内容は見出し通りのため割愛させていただく。

 ちなみにデイリー新潮も3月30日に「新型コロナ、4月終息説は本当か ウイルスを衰えさせる“湿度”と“紫外線”」という記事を配信した。週刊新潮4月2日号の記事を転載したものだ。

《これからの季節、もう一つ増えるのが紫外線の量である。これについて、長野保健医療大学の北村義浩教授は、次のように語る。

「コロナウイルスその他への実験で、紫外線を30分当てれば、ウイルスを無害化、除去できることが明らかになっています。理髪店にカミソリを殺菌する機械がありますが、あれはUVCという、紫外線のなかでも非常に強いものを当て、ほとんどすべての菌やウイルスを死滅させているのです」》

 ちなみに、日本における新型コロナウイルスの感染拡大は、3月27日にピークアウト、つまり減少傾向に転じたことが明らかになっている。

賛否両論によるカオス

 以上を踏まえて、ツイッターの反応をご紹介したい。賛否両論が入り乱れてカオスのようになっているが、賛否を「話題のツイート」から3つずつ、引用させていただく。

 まずは賛成派からご紹介しよう。岡田教授の発言に快哉を叫んだ方々、つまり甲子園の開催を希望する意見だ。(註:デイリー新潮の表記法に合わせ、一部のツイートは改行を省略したり、句読点を補ったりした、以下同)

《賛否両論あるけど岡田晴恵先生も甲子園はやったら良かったのに、やってもらいたいって。高野連、昨日の会見撤回すればいいのに。移動のバスの本数を増やして無観客ですればいいって言ってる。プロ野球も無観客で始まるのに。高校野球、インターハイとかもプロがやるんなら無観客でやればいいのにね》

《白鴎大学教授岡田晴恵氏は「私やっていいと思います。是非やればいいと思うんです。無観客でやる事の合理性はウイルス学的にはある。」と、涙が止まらなかった。新型コロナに立ち向かう姿勢を日本は甲子園で示すべきだ》

《一茂さんが、夏の甲子園について岡田晴恵先生に意見をきいたら、思わず笑顔っ(註:原文ママ)手を広げて『是非やってほしい』。こういうことはもしかしたら批判されたりするだろうけど、これだけの活動を続けて来られた専門家の一意見として私は希望を感じます。人間だもの。嬉しいことをききたいです》

 さて、次は反対派だ。岡田教授の発言に異議を唱えた方々、つまり夏の甲子園の開催に反対する意見だ。

《数試合やるだけなら良いかもしれないけど、地方予選だったり、スタッフだったりの問題を十分考えて、高野連が理由を発表してましたよ》

《彼女はあれほど2009年の新型インフルエンザを語るのに、あの時は夏になっても感染が続いたことや甲子園でベンチ入りメンバーに感染者が出たことは忘れてしまったのだろうか‥》

《俺も甲子園は開催し欲しいけど、それまでに予選があるし関わる人が多数居てるんや。もし選手関係者がコロナに感染したらどうするんや。その県は辞退させるのかそれでも予選を続ける事が出来るのか一番騒ぎ立てるのはマスコミやろ!野球も知らん奴が薄っぺらいコメントするな》

 他にも、甲子園の中止が決定した後の発言、という時系列を問題視する意見も目立った。つまり「後出しジャンケンは狡い」、「中止が決まった後なら何とでも言える」という見解だ。

 さらに、「小学生は我慢を強いられている」、「他の部活はとっくに中止。どうして野球だけ特別扱いにするのか」という意見も散見された。

 後者の「野球だけ特別扱い」ツイートは、春のセンバツを行うかどうか議論になった際にも浮上したことは記憶に新しい。実際、長嶋一茂氏も番組で「野球だけということではないんだけれども」と他のスポーツを気遣う発言をしていたのは先に見た通りだ。

「自粛厨」というネットスラング

 こうした“ネット世論”を考える際、実業家の堀江貴文氏(47)が5月15日にツイッターで行った発言が参考になりそうだ。

 中日スポーツ/東京中日スポーツ(電子版)は5月15日、「堀江貴文氏 夏の甲子園大会中止の方向に『ほんと馬鹿ばっか』 39県が正式解除に『ほんと意味のない緊急事態宣言だった』」の記事を配信した。

《今夏の第102回全国高校野球選手権大会が新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止する方向だという報道を引用して、つぶやいた。

「ほんと馬鹿ばっか」。このツイートにはフォロワーからのコメントが殺到。「恐ろしいまでの同調圧力ですね」「かわいそうすぎる」「彼らの人生を潰してしまう事になる」》

《また堀江氏は同日、緊急事態宣言の対象から39県が正式解除されたことに触れ「ほんと意味のない緊急事態宣言だった。自粛厨は認めないのだろうけど」とも吐露。堀江氏はこれまでも「だから緊急事態宣言なんか必要なかったんだよ、はやく集団ヒステリーから目覚めましょう」などと呼び掛け、過剰な外出自粛や緊急事態宣言の不要論を説いていた》

 ここで「自粛厨」という言葉が使われている。聞き慣れない方も、少なくないだろう。インターネット担当記者が解説する。

「インターネットには、『インターネットスラング』、『ネットジャーゴン』と呼ばれる言葉があります。ネット愛好家が自分たちだけに分かる隠語を使って一体感を味わうわけです。今では普通に使われている『炎上』も、かつてはネットスラングでした。そしてネット上で、あるグループを揶揄する時に登場する『厨』という漢字は、そもそも『中坊』という言葉が原点だと言われています」

 何を幼いことを得意気に書き込んでいるんだ。お前の精神年齢は「中学生=中坊」レベルだ――こうした非難のメッセージが、言葉遊びのプロセスを通じて、「厨房」や「厨坊」と表記されるようになり、最後は「厨」という漢字1文字が使われるようになったというわけだ。

「福島第一原子力発電所事故を巡る論争では、リスク回避を重視する一派が『危険厨』、原発の安全性を重視する一派が『安全厨』と、それぞれ揶揄されました。今般のコロナ禍では感染リスクの回避を最優先と考えるグループが『自粛厨』というレッテルを貼られているわけです」(同・記者)

 甲子園の開催を主張した著名人は、岡田教授だけではない。例えばデイリースポーツ(電子版)は5月3日、「張本氏、『秋でも冬でも』甲子園開催を主張」との記事を掲載した。

 同じ日に放送された「サンデーモーニング」(TBS系列・8:00)で、野球解説者の張本勲氏(79)が、開催を主張したことを伝えたものだ。発言内容を記事からご紹介する。

《「多少(開催が)遅れても、秋でもね。今暖冬だし、多少冬に入ってもやるように、2段、3段考えていただきたい」》

 甲子園の中止が決定される前だったという点は注意が必要だが、岡田教授の発言に比べると、ツイッターなどでの反応は少なかったようなのだ。

 やはり「岡田教授が甲子園の開催を主張した」という事実が大きかったと考えられる。そして発言がこれほどの議論を巻き起こしたのは、自粛厨の反発も影響を与えているようだ。

「岡田教授はPCR検査の不備や、発熱外来の整備を指摘したりするなど、一貫して日本における新型コロナ対策は手ぬるく、不充分であると訴えてきました。そうした主張は、自粛厨と相性がよかった。つまり自粛厨の理論的支柱になっていた側面があったでしょう。甲子園中止の決定に自粛厨が賛同するのも、開催中止は自分たちの主張が正しかったことを証明してくれるからです。ところがイメージに反して、岡田教授は甲子園の開催を主張した。この意外性が、ネット議論の活発化させたのは間違いないと思います」(同・記者)

週刊新潮WEB取材班

2020年5月25日 掲載