商業界が発行していた書籍(帝国データバンク撮影)

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 (株)商業界(TDB企業コード:980229916、資本金6200万円、東京都港区麻布台2-4-9、代表中嶋正樹氏)は、4月2日に東京地裁へ自己破産を申請し、同日同地裁より破産手続き開始決定を受けた。

 申請代理人は久保田康史弁護士(東京都港区虎ノ門1-2-20、霞ヶ関総合法律事務所、電話03-3501-2651)ほか2名。

 破産管財人は高橋順一弁護士(東京都港区虎ノ門1-1-10、磯邊・高橋・八木法律事務所、電話03-3501-1938)が選任されている。

 当社は、1948年(昭和23年)8月に設立された出版社。外食や小売、流通各業界を対象とした出版、セミナー事業を手がけ、高い知名度を有していた。

 主力の出版事業では流通業界専門誌『商業界』をはじめ、『販売革新』『食品商業』『ファッション販売』などを発行し、飲食店やアパレルなど業界に特化した単行本も刊行していた。大手取次店を経由するほか、大手の居酒屋チェーンやコンビニエンスストア、流通業者などへも直接販売し、主力4誌の発行部数はそれぞれ8〜10万部となっていた。

 また、セミナー事業は毎年2月に開催される宿泊型の研修会「商業界ゼミナール」のほか、「トップ・マネジメント・スクール」「海外視察セミナー」などの企業別セミナーを開催。通信教育事業では食品関連業界の従事者向けに各種検定講座を開講し、そのほか広告収入も得ていた。

 ピークとなる2001年6月期には年売上高約20億円を計上していたが、大手資本による中小、個人商店の淘汰が進むなかで需要は減退、業績は下降線をたどり、2019年6月期の年売上高は約7億円にとどまっていた。出版不況下、ここ数年のうちに『飲食店経営』『ファッション販売』など主力誌のいくつかを他社へ譲渡していた。直近では2期連続の赤字が続き、金融機関に対して返済のリスケジュールを行っていたものの債務超過状態を脱することが出来ず、今回の措置となった。

 申請時の負債は債権者約3400名に対し約8億8000万円。