鏡に映った自分の姿を見て自分だとわかる能力は「ミラーテスト」と呼ばれており、動物の知能の高さを測る尺度の一つとして使われています。イルカはミラーテストをパスする動物のひとつですが、なんと人間の赤ちゃんよりも早い時期から鏡の中の自分を理解できることが研究から明らかになりました。

Mirror self-recognition in the bottlenose dolphin: A case of cognitive convergence

http://www.pnas.org/content/98/10/5937.full

Dolphins Show Self-Recognition Earlier Than Children - The New York Times

https://www.nytimes.com/2018/01/10/science/dolphins-self-recognition.html

ミラーテストにクリアする動物は、人間のほかにチンパンジー、ゾウ、カササギなどが知られています。ミラーテストをクリアしたからといって必ずしも知性があるとは言えませんが、知性の目安にする科学者は多く、高い知能をもつと考えられるイルカもミラーテストをクリアします。



ハンター大学の心理学者のディナ・レス博士は、ボルチモア国立水族館の2頭のイルカを3年間観察することで、イルカがミラーテストに合格する時期がいつかを調べました。なお、人間の子どもは生後約1年で、チンパンジーは生後約2年で鏡の中の自分の姿を認識し始めることが知られています。



テストされたメスのベイリーとオスのフォスター



水槽の中に入れられた大きな鏡を使って実験が行われたころ、すでに生後14か月になっていたオスのベイリーは、鏡の前で逆さまになったり、泡を出して遊んだりすることが確認でき、鏡の中の自分を認識していることがわかりました。また、もう1頭のメスのベイリーは生後7カ月になるころに、鏡の前で旋回したり、普段は見せない仕草を見せるなど、自分を認識し始めることが確認できました。



さらに、フォスターの体に「マーク」を入れて、マークに注意を払うかという実験が行われました。フォスターは生後24カ月になるころ、見事にマーク試験もクリア。なお、人間の赤ちゃんがマーク試験をクリアするのは18カ月から24カ月ごろなので、やはりイルカは人間並みに早い段階で、自己認識能力を示し始めるといえそうです。



今回の実験を行ったレス博士とともにゾウのミラーテストの研究を一緒に行ったエモリー大学のフラン・ド・ワール博士は、「人間ではミラーテストに合格する時期が環境要因によって変化することが知られており、今回のイルカのミラーテストは、環境が自己認識能力に与える影響を突き止める上でも非常に価値のある実験です」と述べています。



ベイリーとフォスターが鏡の前で自分を認識し、ダンスしたり、バブルゲームをしたり、ダンスしたりする様子は、以下のムービーで確認できます。

Dolphins Show Self-Recognition Earlier Than Children - The New York Times -