-現在は家庭用ロボットの開発を進めていますね。
 「今後数年で家庭のIoT(モノのインターネット)化が急速に進むと思います。その中でロボットはインターフェースとして大きな役割を果たせるはずです。人間の視界が及ばない所までロボットや家電製品のネットワークが構築されることで、生活環境を守ったり家の中の状況を外に伝えたりすることも可能になります」

 「今開発しているロボットは、周辺の状況を認識して自律的に動き回るのが特徴です。例えば見守りや空気清浄など、必要に応じてさまざまな機能を搭載できるようにします。この“機能が動き回る”仕組みをデザインする中で、製品のふさわしい姿は決まります。大事なのは製品自体の主張は極力抑え、ユーザーが家庭の中で自然に使えるようにすることです。ロボットを主役として位置付けるのはナンセンスです。人間が目的に到達する過程のどこでロボットが役に立つかという観点でデザインしないと、その製品はすぐに飽きられてしまいます」

 -ロボットと共生する時代では、どんなデザイン人材が求められますか。
 「机や椅子といった製品を生み出してきたこれまでの時代から大きく変わることはありません。大事なのは人の生活にとって何が必要かです。生活の中の課題を“発見する力”が、今後も求められるのではないでしょうか」

【略歴】
松井龍哉(まつい・たつや)1969年生まれ。1991年日本大学芸術学部卒業後、丹下健三・都市・建築設計研究所を経て渡仏。科学技術振興事業団にてヒューマノイドロボット「PINO」などのデザインに携わる。2001年フラワー・ロボティクス社を設立。ヒューマノイドロボット「Posy」「Palette」などを自社開発。現在、自律移動型家庭用ロボット「Patin」を開発中。東京都出身。