かつてフィリップ・トルシエは、ピッチの上で緻密な戦術を編み上げる指揮者であった。だがいま、彼が向き合うのは芝生ではなく葡萄畑である。来日したトルシエ氏は、自身がフランスで手がけるワイン造りについて、静かな情熱をもって語った。「サッカーもワインも、本質は同じです」その言葉は自然に口をついて出たというより、長年の経験から滲み出た実感そのものだった。トルシエ氏にとってワイン造りは単なるセカンドキャリアで