イランの国旗=AP

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 【カイロ=吉形祐司】イランは米国との戦闘終結を宣言する覚書の交渉で、米国による多くの要求を退けた。

 イランが獲得した成果は、覚書に盛り込まれなかった米国の要求を並べれば一目瞭然だ。米国はイランを屈服させられなかった。

 「どうやら米国は、紙切れ1枚に『イランは核兵器を保有しない』と書かせることを望んでいるようだ」。米国とイスラエルがイランへの攻撃を開始する前の協議中、交渉にかかわるイランの政府当局者が、あきれ顔でつぶやいた。

 核問題は技術的な分野が多く、イランが核兵器を開発、保有しないことを真剣に求めれば、単なる誓約ではなく、その方策に合意させる必要がある。当局者が感じたトランプ米政権の意図は、専門的な措置ではなく、イランを「屈服」させることだった。

 戦闘中にトランプ米大統領が要求したのは、イランの無条件降伏や体制転換、民衆蜂起、そしてウラン濃縮を含む核開発計画や弾道ミサイル開発の放棄、代理勢力への支援停止などだ。

 イランの対米交渉でトップを務めるモハンマドバゲル・ガリバフ国会議長は17日、国営テレビのインタビューで、「イスラエルや米国が戦争を始めた時に口にした目的は何一つ達成されていない」と総括した。

 イランは戦闘開始当初から、「停戦は米国ではなくイラン側が決める」として抵抗を続けた。イラン・イラク戦争(1980〜88年)では、イラクのミサイルや化学兵器の攻撃を受けながら8年間、耐え抜いた経験があり、「降伏はあり得ない」としてトランプ氏の誤算を指摘し続けてきた。

 覚書では、両国が「双方の主権を尊重する」との文言が盛り込まれ、アッバス・アラグチ外相は「米国が(イラン革命以来)過去47年で初めて、イランの主権を文書で明確に認めた」として勝利を強調した。

 覚書では、イランが核兵器の調達や開発をしないことも明記された。ただ、これはイランが従来、繰り返し主張し、トランプ氏が一方的に離脱した2015年の核合意にも書かれていたことにすぎない。