女による女のためのR―18文学賞、贈呈式 水登マヤさん「心にズブズブと入る作品を」

大賞の水登マヤさん(右)と、友近賞の白木凛さん
第25回女による女のためのR―18文学賞(新潮社主催)は、大賞が水登マヤさん(27)の「水を得にゆく魚」、タレントの友近さんが選ぶ友近賞が、白木凛さん(37)の「曇る母へ」に決まった。贈呈式は1日に東京都内で開かれ、2人が喜びを語った。
「水を得にゆく魚」は、市役所で働く女性が主人公。住民税を滞納して窓口に来たベトナム人の女性や、叔父の妻でフィリピン出身の女性と関わる中で、主人公は思う。〈落ちてきた火の玉を右へ、左へ分配する。誰が悪いんだろう。なにがいけなかったんだろう〉
選考委員の窪美澄さんは、「たくさんの問題提起がある作品だが、読み手を置いていかないエンターテインメントとして見事に昇華している」と評した。
水登さんは、福島県生まれの会社員。「幼い頃から、自分が小説家になるということをなぜか疑っていなかった」。4年前から本気で執筆を始めたという。「賞を取ってからも、どんどん書きたいことが出てきている。どこかの誰かの心にズブズブと染み入っていけるような作品をなんとか頑張って書いていきたい」と覚悟を語った。
「曇る母へ」は、父と離婚し、心が陰っていく母と娘の関係性をつぶさに描いた。贈呈式にビデオメッセージを寄せた友近さんは、「派手な作品ではないが、家族や親子の関係を考えさせられた」と振り返った。
白木さんは、大阪府生まれの会社員。35歳の頃に、小説家になりたいと思ったという。「この年になっても、まだ夢をかなえることができるんだと驚いた。すごく夢がある世界だなと思いました」。そして、「感謝の気持ちを忘れずに、今後もいい作品を紡いでいけるように精進する」と誓った。(堀越理菜)=朝日新聞2026年6月10日掲載
