将棋の伊藤園お〜いお茶杯第67期王位戦挑戦者決定戦が5月28日、東京・千駄ケ谷の将棋会館で行われ、伊藤匠二冠(叡王、王座、23)が羽生善治九段(55)に90手で勝利した。この結果、伊藤二冠が藤井聡太王位(竜王、名人、棋聖、棋王、王将、23)への挑戦権を獲得。同世代の“宿命のライバル”と、王位戦の舞台で激突することとなった。

【映像】伊藤二冠が王位挑戦権を獲得した瞬間

 藤井王位への挑戦権を懸けた大注目の一戦は、振り駒で羽生九段の先手番に決定。戦型は角換わりが志向され、先手の早繰り銀に対して後手の伊藤二冠も早繰り銀で対抗した。

 序盤から緊張感が高まる中、羽生九段は手持ちの角を投入し、早くも勝負に出る決断を下す。これに対し、伊藤二冠も56分の長考の末に羽生九段の角に角を合わせる堂々の決断を見せた。一手一手が重く長い中盤戦が続いたが、羽生九段が駒損をいとわぬ「角成」と強攻に出て、対局は一気に激戦へと展開していく。

 盤を前に何度も深いため息をつき、悩ましい表情を浮かべる羽生九段。先手からスピード勝負を挑み、息もつかせぬ攻め合いへと突入した。両者の読みが交錯する高難度の終盤戦となったが、伊藤二冠は最後まで冷静さを失わなかった。最終盤での勝負強さが光り、一瞬の隙を突いて先手陣へと鋭く切り込むと、一気に優位に立ちそのまま着実にリードを押し広げて見事な白星を飾った。

 王位戦初挑戦を決めた伊藤二冠だが、現在は斎藤慎太郎八段(33)の挑戦を受ける叡王戦の防衛戦とも掛け持ちする過酷なスケジュールに身を置いている。同シリーズは連勝の後に連敗を喫しており、5月31日には千葉県柏市で行われる最終第5局を控える真っ只中だ。

 そして今回挑戦を決めた藤井王位とは、同学年のまさに“ライバル”。2023年10月に藤井王位が全八冠制覇を達成した際の竜王戦七番勝負でタイトル戦に初登場した伊藤二冠だったが、その際は4連敗。続く2024年の棋王戦五番勝負でも、開幕局の持将棋の後に3連敗と高い壁に跳ね返された。しかし、同年の叡王戦、そして翌2025年の王座戦の五番勝負では、いずれも3勝2敗のフルセットの末に藤井王位を破り、立て続けにタイトルを奪取している。

 王位初挑戦を決めた伊藤二冠は、藤井王位との番勝負へ「開幕まで時間があるので、どういう風に戦うか考えて臨みたい」とコメント。「2日制はなかなか指せない舞台なので、一局一局大事に指したい」と意気込みを語った。

 近年、将棋界の頂点を争う両者。注目の藤井王位との王位戦七番勝負は、7月4・5日に静岡県浜松市の「浜松八幡宮楠倶楽部」で開幕する。七番勝負の長丁場で二人が激突するのは、あの竜王戦以来。真夏の将棋界をさらに熱くする黄金カードから、ますます目が離せない。

<伊藤園お〜いお茶杯第67期王位戦七番勝負 日程・対局場>

第1局 7月4・5日(土・日)静岡県浜松市「浜松八幡宮楠倶楽部」
第2局 7月15・16日(水・木)兵庫県神戸市「中の坊瑞苑」
第3局 7月29・30日(水・木)北海道登別市「祝いの宿 登別グランドホテル」
第4局 8月18・19日(火・水)長崎県長崎市「ガーデンテラス長崎ホテル&リゾート」
第5局 8月26・27日(水・木)徳島県徳島市「渭水苑」
第6局 9月8・9日(火・水)神奈川県秦野市「元湯陣屋」
第7局 9月28・29日(月・火)山梨県甲府市「常磐ホテル」

(ABEMA/将棋チャンネルより)