この記事は以下の動画を基に、動画投稿者の承諾を得た上で、AIライターが執筆しております

赤字企業や実体経済から大きく乖離した企業に、なぜ巨額の評価額がつくのか。実業家のマイキー佐野氏は、その構造を「錬金術」と表現し、金融工学・心理的操作・制度的歪みという三つの要素から丁寧に解き明かしている。

核心にあるのは「マルチプル・アービトラージ」と呼ばれる手法だ。市場では業界ごとに評価倍率が異なり、成熟した産業には低い倍率が、高成長が期待されるトレンド産業には極めて高い倍率が適用される。M&Aや企業統合によって両者が組み合わさった際、合算した利益に対して高い方の倍率を一括適用することで、帳簿上の価値が単純計算の数倍以上に膨張する。評価倍率というレバーを操作するだけで、実体を伴わない含み益が大量に発生する仕組みだ。

こうした評価の歪みが市場で黙認される背景には、複数の利害が絡み合っている。取引を仲介する投資銀行は取引総額に連動した成功報酬を得るため、評価額を高めるインセンティブが構造的に組み込まれている。また、早期に株式を取得した投資家は評価操作によって価格が引き上げられた段階で売却することで利益を得られるため、不合理な評価水準を積極的に否定する動機が働きにくい。ストーリーテリングが次の投資家を呼び込み、連鎖的に高評価が維持されるのだ。

佐野氏はさらに、企業が行う自社株買いの本質にも踏み込む。市場から発行済み株式を買い戻して消却するこの手法は、残った株主の持ち分比率を高め、一株当たりの利益指標を押し上げる。配当が全株主への均等な現金配分であるのに対し、自社株買いは実体のキャッシュを流出させながら指標を操作する側面があり、量的緩和による低金利環境がこれを一層後押ししてきた。借入によって自己資本利益率を高める動機が強く働く構造が定着したのだ。

合弁や統合の失敗事例として歴史的に繰り返されてきたパターンも、佐野氏は詳細に取り上げている。楽観的な成長シナリオを掲げながら、企業文化や実態の摩擦によって価値が大きく毀損した事例は、ストーリーテリングがいかに評価を実体から切り離すかを如実に示している。

佐野氏は「金融工学とは延命する計算式だ」と断言する。評価額の表面に惑わされず、その裏側で機能する仕組みを理解することが、投資において最も問われる能力だと指摘している。

チャンネル情報

現在はアカデミズム関係者・経営者・投資家・学生が参加するビジネススクールも運営