JR那加駅前の交流拠点「まちの交民館TEN」=2026年3月、岐阜県各務原市

 岐阜県各務原市のJR那加駅前に、リノベーションされた一軒の古民家がたたずむ。交流拠点「まちの交民館TEN」は、通常の喫茶営業に加え、ワークショップ、音楽ライブなどさまざまな催しを開催。訪れた人同士の出会いや活動の輪が広がる。運営組織の共同代表葉山瑛介さん(28)は「『やってみたい』と思ったことを誰もが試せる場にしたい」と話す。(共同通信=樋口華)

 運営するのは、古材や古道具の再活用に取り組む有志のグループ「PEP UP CIRCLE」。葉山さんを含め、建築士やグラフィックデザイナーら6人が中心となって活動する。

 駅前の古民家は100年以上前に建てられた木造家屋。一帯では、都市計画による建て替えが進められたが、通りから外れていたため、一軒だけが昔ながらの姿のまま、空き家となっていた。葉山さんは「地域の記憶が残る建物を壊してしまうのはもったいない」と考え、活用を決意した。

 賃貸契約を結び、リノベーションを進めていた2024年1月に能登半島地震が発生。被災地の役に立ちたいとして、建物を支援物資の受け入れ拠点として開放した。交流サイト(SNS)をきっかけに県北部の高山市、名古屋市など遠方からも人が訪れ、衣類や食料、紙おむつなど多くの物資が持ち寄られた。葉山さんは「この場所は、人をつなぐ力を持っている」と手応えを感じた。

 リノベーションの完了後、昨年2月に本格オープン。現在は、喫茶営業を軸にジャンルを限定しない催しを開く。作家のトークイベント、陶芸家の個展に加え、写経体験や「こん棒」を手作りするワークショップなどを開催。訪れた人同士の会話から足湯の出張サービスといった新しい企画が生まれることもある。

 拠点名の「まちの交民館TEN」には、一つの「点」として、人や物、出来事が交わる場所にしたいという意味が込められている。葉山さんは「ここでの出会いが、町での新しい活動や店の開店につながるといい」と期待を込める。

「まちの交民館TEN」の運営組織で共同代表を務める葉山瑛介さん=2026年3月、岐阜県各務原市