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高市首相が公約として掲げた、2年間の飲食料品の消費税率0%。政府内では今、1%とする案が浮上しています。背景にあるのは、レジ改修を巡るスピードの違い。店側のホンネはどうなのでしょうか? 政府にはジレンマがあり、今後も調整が続きそうです。

■首相「早期に実施できる方法も検討」

28日、国会内で開かれたのは、消費減税などを議論する各党の議員らによる社会保障国民会議の実務者会議です。27日、高市首相は参院予算委員会でこう述べました。

高市首相
「食料品の消費税率ゼロについては、さきの衆議院選挙における自民党の政権公約にも記載しております。時間を要するシステム変更をできる限り早期に実施できる方法も検討しつつ、その実現に向けて強い思いを持って取り組んでいくというのが今のスタンスです」

飲食料品の消費税率を年間0%にするという公約を巡り、今、政府内の一部では1%とする案が浮上しています。

■3つのパートに分けて議論する方針

28日の実務者会議では、今後の方針が確認されました。

自民党の小野寺税調会長
「今後食料品の消費税率ゼロにつきまして議論をする中で、今回課題として示されました、経済等への影響・(レジの)システム改修関係・農林水産業といった事業者への影響という3つのパートに分けて議論を深めていきたい」

消費減税について3つのパートで議論を進めるとしています。

小野寺会長
「システム改修の準備期間につきましては、大手スーパーマーケット等に導入されているターミナル型POS(レジ)の改修には1年程度が必要である」

レジのシステム改修を巡っては、メーカーへの聞き取りで税率を0%にする場合は1年程度、税率を1%にする場合は5〜6か月でできるとの意見が出ていました。

税率の変更に影響を受けるスーパーのレジ。1997年、消費税率が3%から5%に引き上げられる時の映像では「今のうちですよ。あと5分で5%になりますよ」と店員が呼びかけます。レジの設定を変えるなど、手作業で対応する姿が残っていました。

■スーパー側「費用や作業負担が発生」

今回はどうなのか。28日夜、横浜市内の「スーパーセルシオ和田町店」を訪ねました。焦点となっている、大手スーパーなどに導入されているターミナル型POSレジとはどのようなものなのでしょうか。

担当者は「リアルタイムに売り上げのデータや情報を管理できるシステムのレジです」と説明します。いつ何個売れたかというデータを瞬時に取り込めて、パソコンなどでリアルタイムに情報を収集できるといいます。

消費税率が変われば、このシステムに変更が必要になるといいます。「(メーカーの改修)作業が少なくとも数か月はかかるとは言われています」と担当者。レジが3台あるこの店の場合、改修作業には約20万円がかかるということです。

担当者
「消費者にとっては消費税が低税率になるのは喜ばしいことだと思うんですけども、現場で働く身としては、いろんな費用や作業負担が発生する。本当はなくても良いものが発生してしまうのは悩ましいなと感じてます」

ある全国に展開する大手スーパーの担当者も「システムが多岐にわたるので、連動するシステムの改修も必要になり、その分時間がかかる」と明かします。

■「1%でスムーズに」…買い物客の声

買い物客に話を聞いてみました。

大学院生(20代)
「(消費税率は)下がれば下がるだけうれしいですけど、税率を減らした分のお金をどうやって負担するのかなって正直ちょっと不安ではあるんですけど、現状の生活の物価高とかを考えると、期待の方が大きいですね」

会社員(50代)
「0%にするのには何年かかかるとおっしゃってたんで、1%でスムーズに減税していただいた方がいいなと」

高市首相が公約として掲げた、2年間の飲食料品の消費税率0%。0%と1%で、家計への恩恵はどう変わるのでしょうか。

■難しい扱い…要注意の「0%」なぜ

藤井貴彦キャスター
「高市首相が公約として掲げた2年間の飲食料品消費税ゼロパーセントですが、ここにきて政府内の一部から、税率を1%とする案が浮上しています。なぜ0ではなく1なのでしょうか?」

小栗泉・日本テレビ報道局特別解説委員
「1%という案が出てきた理由はスピードです。スーパーなどで使われるタイプのPOSレジの改修にかかる時間が、0%の場合だと1年程度という声が多い一方、1%なら5〜6か月でできるという声がメーカー側から出ています」

藤井キャスター
「意外ですが、0%の方が対応が大変なのですね」

小栗委員
「レジメーカー側からは、もともとシステムに0%の設定がないとか、レシートにも0%税率の印字が必要などという意見がありました。0%はシステムにとって扱いが難しく、要注意の数字だそうです。新たに設定が必要なため、改修に時間がかかるといいます」

藤井キャスター
「0%以外だったら時間は短縮できそうということなのですかね?」

小栗委員
「そうです。食料品はもともと軽減税率なので、5%や3%に変えるのであれば対応しやすいものの、0%は難しいということなのです」

■家計への恩恵はどう変わる?

小栗委員
「では、0%と1%の場合で、家計の恩恵はどう変わるのでしょうか?」

「野村総研エグゼクティブ・エコノミストの木内登英さんが試算しました。4人家族で食料品の消費税8%から0%に引き下げられた場合、1年間の負担減少額は6万7272円。これに対して1%になった場合は、1年間で5万8863円。その差は8409円という見積もりです」

「一方で、減税をするために政府が必要とする財源は、0%の場合には年間で約5兆円。1%になると年間で約4兆4000億円と、6000億円ほど減ります」

■ジレンマも…政府内で割れる意見

藤井キャスター
「政府はどちらにしようと思っているのですかね?」

小栗委員
「政府にはジレンマがあります。1%なら早く実現することができるけれども、高市首相が選挙前に公約として打ち出した飲食料品の0%は守れない」

「一方で、公約実現のために0%にこだわると、すでに物価高に苦しんでいる人がいるのに、負担軽減への対応が遅くなってしまうという中で意見も割れています」

「ある閣僚は『首相はできない理由を言うんじゃなくて、できるようにするためにどうするかを考えろという人だ。公約の通りやった方がいい』と主張しています」

「ある自民党の幹部は『1%にしても、長ければ半年ほどかかってしまうわけで、早いか遅いか、技術的な話で公約を変えるのはおかしい』と話していました」

「一方で政権幹部は『公約は確かに0%だけれど、1%なら早くやれますとなった時、世論がどう反応するか。いろいろな考え方があっていい』と柔軟な姿勢も示しています。まだそこまで熟した議論になっていないという声も聞かれます」

「焦点の税率を巡っては、今後も調整が続くことになります」

(2026年4月28日『news zero』より)