星間空間を高速移動する探査機ボイジャーを描いたイメージ図/JPL-Caltech/NASA

CNN)地球から最も遠く離れた米航空宇宙局(NASA)の深宇宙探査機「ボイジャー1号」は、未踏の星間空間を探索する中で、また一つ科学観測装置の電源を停止した。この措置により、同探査機の驚異的な寿命をさらに延ばすという野心的な試みに向けた時間を確保できる可能性がある。

ボイジャー1号が日々地球から遠ざかる中、NASAは先ごろ電力を節約するため探査機の「低エネルギー荷電粒子観測装置(LECP)」を停止する指令を送った。恒星間の空間の構造を測定するこの観測装置は、ボイジャー1号の双子の探査機であるボイジャー2号でも2025年3月に停止されていた。

1977年に数週間の間隔を置いて打ち上げられた両探査機は、それぞれ木星、土星、天王星、海王星のフライバイ(接近通過)観測を支援するための10種類の科学観測機器を搭載している。現在、ボイジャー1号は地球から約254億キロ、ボイジャー2号は約213億5000万キロの距離にある。

冥王星の軌道の遙(はる)か遠く、太陽の磁場や粒子が届くヘリオスフィア(太陽圏)のさらに外で運用中の宇宙探査機はこの2機のみだ。当初の予定寿命の5年を大幅に超えて探査機を稼働させ続けるため、時間の経過とともに様々な観測機器を停止することで、限られた電力供給を維持している。

科学観測機器の停止は誰にとっても望ましいことではないが、現時点で最善の選択肢だ」と、カリフォルニア州パサデナにあるNASAジェット推進研究所のボイジャー計画責任者、カリーム・バダルディン氏は述べた。

「ボイジャー1号では、現在も二つの科学観測機器が稼働している。一つはプラズマ波を検知する装置、もう一つは磁場を測定する装置だ。これらは依然として順調に機能しており、これまで人類が送り込んだどの探査機も到達したことのない宇宙の領域から、データを送り続けている。チームは、両方のボイジャー探査機を可能な限り長く稼働させ続けることに注力している」(バダルディン氏)

ボイジャー2号では、三つの科学観測機器が稼働している。

技術者たちは今回の「犠牲的な措置」によってボイジャー1号の稼働を十分に長く維持し、アップグレードの実施が可能になることに期待を寄せる。チームが「ビッグバン」の愛称で呼ぶこのアップグレードにより、記録を塗り替えたこの探査機は宇宙のさらに深部への探査を継続できるだけでなく、一部の科学観測機器を再起動できる可能性さえある。

ビッグバン」改修の準備

両方のボイジャー探査機は、放射性同位体熱電発電機(RTG)で稼働している。これは、プルトニウムの崩壊によって生じる熱を電気に変換する装置。探査機が約半世紀前に飛行を開始して以来、年間推定4ワットの電力が失われ続けている。

ゆっくりとだが着実に進む電力の消耗に対処するため、技術者たちは極めて困難なバランス感覚が求められる状況に追い込まれている。星間空間の極寒の中で観測機器やヒーターを停止させれば、探査機が修復不可能なほど冷え切ってしまうリスクがある。燃料ラインが凍結すれば、探査機はアンテナを地球に向けておくことができなくなり、NASAのチームは探査機との連絡を絶たれる。それは事実上のミッション終了を意味する。

技術者たちは前出のLECPの大部分を停止させることで、ボイジャー1号が二つの観測機器を稼働させたまま、約1年間飛行し続けられるようになると考えている。探査機の寿命をそれだけ長く延ばすことができれば、ボイジャー1号は50周年の節目を迎えることになる。

今後チームはボイジャー探査機において大規模な切り替えを試みる。具体的には一部の電源装置をオフにしつつ消費電力の少ない代替装置をオンにすることで、各探査機の熱を保ちながら科学データの収集を継続する。

バランスの維持が求められるこの改修作業、通称「ビッグバン」は1機ずつ行われることになる。まず電力にやや余裕があり、地球に比較的近いボイジャー2号が5月から6月にかけて最初の試験対象となる。

ボイジャー2号での「ビッグバン」が成功すれば、チームは7月にボイジャー1号でも同様の操作を試みる予定だ。そしてそれが成功すれば、LECPは星間空間における重要なデータ収集を継続する2度目のチャンスを得ることになるかもしれない。

「LECPによって、我々は宇宙線や太陽粒子の特性と影響を発見した。そしてボイジャーがいつ太陽系から星間空間へと移行したかを決定づける周囲領域の変化を『感知』することができた」と、ジョンズ・ホプキンス応用物理研究所のLECP主任研究員を務めるマット・ヒル氏はメールで述べた。

「ボイジャーのエンジニアたちが最新の計画でボイジャー1号のLECPを再び稼働させるのを期待する。それによって我々は、宇宙の遥か彼方の領域でボイジャーを待ち受けるであろうあらゆる驚きについて、引き続き解明できるようになる」と、ヒル氏は言い添えた。