●心が浄化される…「お裾分けを頂いた気持ちに」
元宝塚歌劇団星組トップスターの礼真琴が、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00〜 ※関東ローカル)で、本格的なナレーションに初挑戦した。担当したのは、26日に放送される「100億円男の人生相談 〜満たされない心の行方〜」。年商100億円超のIT企業経営者として富も名声も手にしながら、すべてを捨てて新たな人生へ踏み出した男性を追った作品だ。

収録を終え、主人公・小野龍光さん(51)の生き方に驚きながら、自身の“今”とも重ね合わせるように率直な思いを語った――。

『ザ・ノンフィクション』のナレーションを担当した礼真琴

○「どれだけお金を稼いでも、心が満たされない」

「ジモティー」「グルーポン・ジャパン」「17LIVE」…誰もが知る企業の経営や設立に関わってきた小野さん。地位もお金も手に入れ、誰もがうらやむような成功を収めながら、胸の中に抱える違和感は大きくなるばかりだった。「どれだけお金を稼いでも、心が満たされない」…勝ち続けてきた人生の末に下した決断。それは全ての仕事を手放し、IT長者としてのキャリアを捨て去ることだった。

4年前、小野さんが向かったのはインド。そこで頭を丸め、僧侶の見習いとなる。得度を経て、お金という数字から解放された彼は「残りの人生を他者の幸せのために尽くす」と決めた。そんな彼が始めたのが無料の人生相談。“成功者”として知られる小野さんのもとには、相談者が後を絶たない。仕事や人間関係の悩みなど、満たされない心の形は様々だ。

人間関係に悩み、変わりたいと願う30代の男性は、小野さんとともにインドへ渡ることに。現地には「少しでも前に進みたい」と願い、はるばるインドまでやってきた多くの日本人相談者たちの姿があった。お金もキャリアも全てを捨てた男と、相談者たちの心の交流を見つめていく。

作務衣姿で歌舞伎町に立つ小野龍光さん(右) (C)フジテレビ

○「人への影響力がものすごい方」

僧侶の道へ進んだ小野さんについて、「100億を捨ててまでそこに行く決断というのは、普通はできないと思います」と率直な驚きを述べる礼。それでも、人のために生きようとする姿勢に強く心を動かされたようで、「自分の人生には絶対にないような人生観を見ることができたのが、すごく刺激になりました。心が浄化されるような、そのお裾分けを頂いているような気持ちです」と振り返る。

彼の周囲に人が集まり、人生を変えていく連鎖も描かれており、「人への影響力がものすごい方だと思いました」と感心しながら、「企業経営をされていた頃も、人が集まってくるような人格者だったのではないでしょうか」と、“人を引き寄せる力”を想像。それは、宝塚のトップスターとして多くのファンを魅了してきた礼にもつながる部分を感じるが、「舞台に立つ身としては、お客さんが喜んでくれることをやっているだけなので」と謙虚に語った。

今回の映像を通して、仏教の道に対しても、「マイナスに捉えたり、前に進めないことは誰しもあると思うのですが、新たな道が切り開けて希望の光が見えたりするというのは、興味が湧きました」と、人生の行き詰まりや迷いにヒントを得る方法の一つと受け止めた。

●「宝塚というものにいつまでもすがりたくない」
インドで髪を切る日本人の若者 (C)フジテレビ

小野さんが新たな道に進んだように、礼自身も昨年、宝塚歌劇団を退団し、人生の大きな転機を迎えた。小野さんは「残りの人生を他者の幸せのために尽くす」と決めたが、礼はどんな思いで次のステージに臨んでいるのか。

「宝塚歌劇団を卒業した直後のコンサートで、あえて宝塚時代の楽曲を一曲も入れなかったんです。宝塚というものにいつまでもすがりたくないという決意を固めて第二のスタートを切ったつもりでした。もちろん、宝塚は大好きですし、見に行きますし、全力で応援はしていますが、自分の今後の活動においては、そこにおんぶに抱っこにならないように自分で立っていけたらいいなと思っています」

その意味でも、これまでのキャリアを手放し、新たな人生へ踏み出した主人公の姿は、礼にとって決して遠いものではなかったようで、「すっごく勉強させていただきました!」と大きな刺激になったことを語った。

○初めての本格ナレーション「もう本当に大変でした(笑)」

初めて本格的に挑んだナレーション収録には相当な緊張もあった様子で、「画面を見て龍光さんから勉強したいけど、合図が出たらしゃべらなきゃいけない。もう本当に大変でした(笑)」と吐露。

「普段から“大げさな芝居”というものに慣れている分、声だけで表現する難しさがありました」というが、「舞台とも映像とも全然違うジャンルのお仕事で、すごく楽しかったです」と充実の表情を見せた。

今回のサブタイトルにある“満たされない心”について、自身の現状を聞いてみると「どこまで行っても満足できないのですが、一方で“ちょっとは認めてあげよう”と思う自分もいるんです」と揺れる思いがあるのだそう。収録中には「あー!」「すいません! もう1回お願いします!」と悔しがりながら録り直しを志願する場面が何度もあり、根っからの向上心をうかがわせた。

『ザ・ノンフィクション』のファンだという礼は「母がもう大好きで、今回のお話が決まった時に、テーマ曲(「サンサーラ」)をルンルンで歌って歩いていました」と笑顔。それだけに、「今回は母と一緒に見たいと思います(笑)」と放送を心待ちにしていた。



●礼真琴東京都出身。2009年に宝塚歌劇団へ首席入団し、星組に配属。19年に星組トップスターに就任すると、圧倒的な歌唱力、キレのあるダンス、表現力で人気を集め、宝塚歌劇を代表する存在として活躍した。25年8月に退団しドラマ『DREAM STAGE』『3.11〜東日本大震災15年 福島第一原発事故 命の戦い〜』に出演。5月からは舞台『BOOP! The Musical』の上演が控える。