「自分は18年間しか生きていませんが、野球が自分にとってのかけがえのないもの、学校生活のすべてといってもいい存在でした」

【画像】「週刊誌において記事が掲載されました」学校側がHPに公開した声明文

 そう告白するのは九州国際大学付属高校での「暴力被害」を訴える生徒本人だ。


九州国際大学付属高校の校舎 ©︎文藝春秋

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顔面をスパイクで蹴られ…監督たちの“衝撃対応”

 今年2月に発生した疑いがある「野球部内暴力」。主力選手A君から被害を受けたと語るのが冒頭の生徒B君だ。「週刊文春」が4月2日発売号で事案を報道後、B君と両親が独占インタビューに応じた。

「今回の件で転校することになってしまい、大好きな野球から離れることになってしまった。本当に悔しいです」(B君)

 同校は今春のセンバツで16強に進出。開幕2日前、警察が実況見分を行っていたのは既報の通りだ。

 発端は2月28日、グラウンドで紅白戦があった。B君は寮内で物を盗まれるなどイジメを受けており、この日も異変に気付いたという。B君が言う。

「1塁側ベンチに戻ると自分の荷物が散乱していました。荷物を元に戻してその場を離れた。自分の荷物の近くにはチームメートAのグローブなどが置いてあった。またその場に戻ると、自分の荷物がまたぐちゃぐちゃになっていた。それでAに抗議したのですが、Aは認めなかったのです」

 B君は怒りを感じて、A君の荷物を払い除けた。

「Aは自分の身体を押してきて、自分はAの練習着のお腹あたりを掴んだのですが、そのまま倒れてしまった。起き上がろうとしたところをAに顔面をスパイクで蹴られました」

 B君は監督に「Aに蹴られた」と申告。傷が大きく救急車を別室で待った。監督は部員を集合させてB君のいないまま事情を聞いたという。B君は後日その様子を聞き、耳を疑った。

「別の部員Cが『Bさんが胸ぐらを掴んだりして、Aさんが助けようとしていた』と説明をしていた。事実とは違います。Cに『なんでそんなことを話した?』と聞くと、『正直よく見てなくて、分からないです』と」(同前)

病院に来た監督から「まさかの発言」が…

 B君は緊急搬送され、全治1カ月。目の周辺に傷があり、失明の危険性すらあった。B君の母が言う。

「病院には監督らが来ていました。そこで監督から、『BがAの荷物をぶちまけた後にBがふらついたところをAが支えようとした。その際に足の踏み場がなくてAの足がBの顔面に当たってしまった』と説明を受けました。どう考えても偶然の事故で負った傷ではなく、信じられませんでした」

 B君は入院。部に残るか辞めるかと気持ちが揺れる中、監督に電話した。

「『辞めようと思っています』と伝えると、『ああ、そうか』と。監督さんに『自分はチームに必要ですかね』とも聞きました。ところが、引き留められることもなく、自分はチームに必要ないんだなと思ったんです」(B君)

 B君は母にこう告げた。

「おれ、やっぱり辞めるわ。あの監督から学ぶことは何もないから――」

「学校側からまともに事情を聞かれたことはない」

 現在も精神的に不安定な生活を送っているという。

「今も眠れない日々が続いています。入院先で睡眠薬を処方されました」(同前)

 学校は「週刊文春」報道後の声明で「ご心配とご迷惑をおかけしている」と陳謝。ただ「事実関係、言動の趣旨等について相異なる情報」があるとし、調査中だという。B君の父が憤る。

「実は、学校側から私たちがまともに事情を聞かれたことは、これまでありません。まずケガを負ったB本人に事情を聞くのが筋でしょう。こちらの話を聞かない調査に何の意味があるんでしょうか」

 学校のそうした姿勢もあり、B君側は学校に主張を記した通知書を送付したという。学校に質問すると、「我々が(B君側に)連絡しないということではなくBさん側からは弁護士さんを通じて主張をいただいており、文春さんの記事もあってそれがBさんのおっしゃっていることと受け止めています」と答えた。

 母が涙ながらに語る。

「Bは少年野球からずっと目を輝かせて野球をやってきました。高校野球って、そういう子たちが輝ける場であってほしい」

 対応の誠実さが問われる。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2026年4月16日号)