【前川 亜紀】難関中高一貫校を転校して芸能界へ。朝ドラ俳優・寺本莉緒が5年ぶりのグラビアに復帰した理由
NHK連続テレビ小説『おむすび』など話題作に出演し、主演映画『東京逃避行』も先日上演され、4月20日スタートの連続ドラマ『share』(フジテレビ系)にも出演、俳優としてキャリアを重ねる寺本莉緒さん。寺本さんが5年ぶりにグラビアに復帰したことが話題となった2冊目の写真集『RIO』が刊行された。彼女のデビュー10年の記念碑的な作品ということもあり、大ヒットした2018年刊行の1st写真集『CURIOSITY』以上の反響を巻き起こしている。寺本さんはここ数年、俳優業に専念しており、満を持してのグラビア復帰となる。
寺本さんはグラビアで注目されているが、中学受験で広島県内トップクラスのバカロレアの名門校に合格、しかし14歳で広島から上京して転校、仕事をしながら大学を受験して卒業している。
寺本さんにインタビューした前編では、グラビア復帰の理由と俳優の仕事について聞いていく。
5年ぶりだからこそ「おお」と驚いてほしい
――寺本さんのグラビアは、とにかくパワフル。ページをめくるうちに「私も頑張ろう」と前向きな気持ちになりました。
寺本「生命力は強い方だと思うので、そのパワーが写真に出ているのかもしれません。『RIO』の撮影にあたり、6年前の前作『CURIOSITY』を見返しました。当時、“大迫力ボディ”とキャッチコピーをいただき、そのときは『そうかな?』と思ったのです。でも、24歳になった今見ると、思春期特有のムチッとした量感があるボディが眩しく、『確かに、これは“大迫力”だ』とうなずいてしまいました。
だからこそ、過去の自分には負けたくない。今回、5年ぶりのグラビア撮影だからこそ、見た方に『おお』と驚いてほしいし、ドキドキしてほしい。そのためにまず、体作りから取り組むことにしました。私は自宅では特別なケアなどはせず過ごしているのですが、撮影が決まった日から家でもブラジャーを着けてバスト位置をキープ。同時にバストアップの筋トレも始めました。
重視したのは増量です。私は太りにくく痩せやすい体質なので、意識していないと体重が減ってしまう。ご飯やお餅をたくさん食べ、ボリュームがある体に整えていきました。ラーメンが大好きなのですが、ラーメンでは太ることができない体質のため、ラーメン断ちをしました。
我ながらグラビアの才能があると思うのは、体重が増えていくにつれ、胸とお尻が豊かになっていくこと。ウエストや二の腕にはほとんどつかないのです。ただ、それだとアンバランスになってしまうので、せめて腕もセクシーになるように、5キロを目標に増量しました」
自分の武器としてグラビアをやる
――寺本さんのグラビアを見ていて元気になるのは、堂々と心から楽しんでいるのが伝わってくるからですね。グラビアで「やらされている」雰囲気が伝わってくると、性の搾取なのではと感じさせられてしまう。でも『RIO』からは、自分の武器として体を魅せ、被写体の人間そのものを出したい! という思いが伝わります。
寺本「言われてみると、私は撮影中、心底楽しく取り組んでいると思います。芸能界を目指した理由も、人から見られること、注目されることが大好きだから。グラビアは皆が見てくれるので、本当に楽しく、気持ちがいいのです。
このことに気づいたのは、小学生の頃に2人の兄とともに公園や野球場に遊びに行くと、兄の友人から『妹、かわいいね』とよく言われたあたりから。学校でも目立っていましたが、それだけでは全く足りない。もっと多くの人から『かわいい』と言われたいと思い、芸能界を意識するようになりました。
グラビアは、まさにその真骨頂というか、多くの人が『かわいい』と見てくれる。また現場も、私が中心です。私が気持ちを解放し、自分らしさを発揮するほどいい写真が撮れるので、皆が盛り上げてくれます。
一方、お芝居は、俳優さん全員の状況を読みながらどう動くか考え、監督の意図する世界を作っていきます。この仕事もすごく楽しいですし、ワクワクすることばかり。今回の写真集『RIO』は俳優の経験を積んだからこそ作ることができたと思っています」
坂東龍汰さんと河合優実さんとのお芝居で知った「不思議な感覚」
――自分をかわいく見せたいということを堂々と語り、そこに全力で挑む。それが見る側にも伝わってくるんですね。それほどグラビアの仕事について前向きなのに5年も離れていたのは何故でしょうか。
寺本「やはり、俳優の仕事をいただくことが増えていったことと、所属していた事務所が『グラビアの仕事を控えた方がいい』と判断したことが重なったのです。私自身もテレビドラマ、舞台、映画の仕事は楽しいだけでなく、学ぶことだらけで、その面白さにのめり込んでいました。
また、俳優は性格的にも合っているのです。まずオーディションで役を得ることから始まるのですが、私は勝負が好きなので、オーディションそのものを楽しむことができる。合格すれば嬉しいですし、ダメだったときは『よし、次は頑張ろう』と闘志が湧いてくる。現場に入ると、本当に上には上がいる厳しい世界だということを、毎回痛感します。だからこそ、自分を高めていこうというモチベーションが湧いてきます」
――俳優の仕事で影響を受けた方はいらっしゃいますか。
寺本「多くの俳優さんと一つの作品を作るから、人から力を引き出していただくこともあります。特に印象に残っているのは、テレビドラマ『RoOT / ルート』(テレビ東京・2024年)。主演の河合優実さんと坂東龍汰さんとお芝居をしたとき、おふたりに誘われるかのように、自然に“役の人物になる”という経験をしました。あれはとても不思議な感覚で、あの経験から私のお芝居への向き合い方が変わったような気がしています」
オーディション不合格も「いい経験」
――オーディションに落ちることも楽しめるのはなかなかできることではありません。小児精神科医の内田舞さんが、FRaUでも「ラジカルアクセプタンス(Radical Acceptance:根本的受容)」について何度も執筆しています。変えられない現実や過去、否定的な感情を「ありのまま」に受け入れることで前に進むことができるという意味なのですが、寺本さんは自然とそれが身についていたのでしょうか。
寺本「言われてみれば、そうかもしれません。昔から、『今日は今日、明日は明日』と切り替えは早いです。また、苦しいこと、辛いことがあっても『よし、これはいい経験になる』と考える性格だと思います。
この背景には、常に応援してくれる家族、友達に囲まれて育ったことが大きいと思います。前作の写真集『CURIOSITY』は高校3年生の卒業に合わせて出したのですが、家族はもちろん、友達もわざわざ予約し、中には何冊も買ってくれる人もいました。そういう話を聞くと、応援されているパワーを感じますし“もっと頑張ろう”とやる気が出ます。
だから、今回、『RIO』を出すことができて、感無量です。熱意あふれる編集者の方と、最高のカメラマンさん、スタイリストさん、ヘアメイクさんと作り上げました。私自身、自分のチャームポイントである胸のセクシーさを意識し、衣装を選び、ギリギリまでポージングを考えました」
いわゆる「安定した人生」であれば、せっかく必死で中学受験をして合格したバカロレア指定の中高一貫校から大学を受験し、大企業の就職を目指すほうがわかりやすいかもしれない。しかし寺本さんは目の前の安定や目の前の安心より、「自分のやりたいこと」に挑みつづけてきた。「かわいくみられたい」という思いを堂々と口にし、自分の最大の武器を使う。オーディションに不合格というつらい現状もそのまま受け止め、自分の糧にする。自分の能力にリミットをつけず、そして言葉とともに行動し、自分の頭で考え、努力し続けてきたからこそ今があるのだなと納得させられる。
しかし名門中高一貫校を「捨てる選択」は簡単ではなかったのではないか。後編「「グラビアをしながら大学受験勉強」朝ドラ俳優・寺本莉緒が難関中高一貫校から芸能界に入るためにやってきたこと」では、さらに受験の話も聞いていく。
寺本莉緒(てらもと・りお)2001年広島県生まれ。2016年にデビューし、2018年「ミスヤングマガジン」受賞をきっかけにグラビアなどで活躍。20年に初写真集『CURIOSITY』を発売。予約時点で重版が決定し、書泉・女性タレント写真集売上ランキングの1位を獲得。同年、映画『別に、友達とかじゃない』で映画初出演・主演。2023年Netflix配信ドラマ『サンクチュアリ -聖域-』、2024年NHK連続テレビ小説『おむすび』ほか出演作品多数。主演映画『東京逃避行』が公開中。
寺本莉緒写真集『RIO』
撮影/菊地泰久
「大迫力ボディ」を惜しげもなく披露した、最新写真集。オーストラリア西部のパースの雄大な自然の中での水着ショット、ホテルでのランジェリー姿、ノーブラやヌーディーショットにも挑んだ意欲作。
