セールスプロモーションやアウトソーシングなど、多彩な人材サービス事業を展開する株式会社マーキュリー。

同社の従業員数を数年で900名から5,000名超へと拡大させたのは、取締役社長の秋間剛さんです。通信業界を主力とした人材サービスを基盤に、新宿のエンタメ発信地「シアターマーキュリー新宿」の運営や、ホテル・空港・ITサポートなどの分野にも事業を拡大し、社員が輝けるフィールドを多角的に広げてきました。

現在も若手人材の採用に注力しているという秋間さんに、キャリア選択に悩むビジネスパーソンへ向けたメッセージを伺いました。前編では、マーキュリーの人材採用・定着戦略をひもときながら、若手の可能性を広げるヒントを探ります。

株式会社マーキュリー 取締役社長/秋間剛

1975年神奈川県生まれ。1997年に住宅メーカーの施工管理としてキャリアをスタート。その後、資産運用の営業を経て、人材・教育・IT分野でマネジメントを経験する。2016年5月に株式会社マーキュリーに入社。新卒採用目標を7年連続で達成し、従業員数900名規模だった会社を5,000名超へと拡大させる。2024年5月に取締役社長に就任。

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やりたいことがないって、良いことだ

――マーキュリーが、若手ビジネスパーソンを積極採用している理由を教えてください。

やりたいことがなくても働ける今の時代と、マーキュリーが掲げる「社会と人をつなぎ『すべての人』の可能性を広げる」というミッションがマッチしているからです。

私たちは、組織運営を支える人材サービス業を展開しています。携帯電話の販売促進やITソリューション、さらに劇場やイベントスペース、子ども向けテーマパークの運営など、事業内容は一つのジャンルでくくることができません。

「若手ビジネスパーソンには、ぜひマーキュリーの豊富な活躍フィールドを活用して、自分のやりたいことを発見してほしい」。そんな思いで採用の門戸を広げてきた結果、説明会や面接に多くの若手が訪れてくれるようになりました。

<シアターマーキュリー(ご提供)>

――やりたいことがなくてもいいとはいえ、面接では「志望動機」という高い壁がありますよね。

マーキュリーの面接では、志望動機を語る必要はありません。

私はそもそも、入社理由の良し悪しで合否を決めることに違和感を抱いているタイプです。特に、マーキュリーのように事業領域が幅広い会社に対して、「なぜこの会社なのか」を最初から明確に言語化するのは難しいと思います。

実際に私は、採用担当者に対して「志望動機を聞く時間があるなら、その分こちらから企業の魅力を伝えてほしい。つまり、若手を口説いてほしい!」と話しています。

やりたいことが見つかっていない人は、言い換えれば無限大の可能性を秘めているといえます。 キャリアに迷っている若手こそ、多様なチャレンジができるマーキュリーの環境を活かしてほしいと思っています。

転職こそ、戻ってこられる余白が必要だ

――採用した若手社員のキャリア形成について意識していることはありますか?

ずばり、働く選択肢を広げることです。
マーキュリーが多岐にわたる事業を展開しているのは、単に規模を追いかけているからではありません。入社時にやりたいことがなくても、仕事をするなかで発見していける。その前提に立って、“社内"でチャレンジできる場所を増やし続けているのです。

例えば、日々の業務をこなすうち「好き」や「得意」に気づくケースは多くあります。販売促進の売り込みは苦手でも、接客が好きならホテルのフロントへ。そんなふうに、自らの適性を探りながらキャリアを築いていける点がマーキュリーの特徴だと思います。

――転職しなくても、社内で挑戦できる環境が増えることで選択肢が増えるのですね。ほかの企業のいわゆる「社内転職」とは、どのような点が異なるのでしょうか。

二つあります。一つ目は「入社時にはなかった新たな可能性を提供できる」点です。

例えば2024年には、親子3世代でお仕事体験を楽しめるテーマパーク「カンドゥー新利府」の運営がスタートしました。これは同時に、若手社員が新しいキャリアに挑戦できる機会が増えたということでもあります。

人材サービスを軸とするマーキュリーだからこそ、既存事業の枠を超えたプロジェクトに挑戦できる。そうした環境が、キャリアの可能性につながっているのだと思います。

<カンドゥー新利府(ご提供)>

――もう一つの違いも教えてください。

二つ目は、「元の場所へ戻れる」ことを大切にしている点です。

業務の適性って、実際に働いてみないとわからないことも多いですよね。ただキャリアに迷っている人ほど「あの仕事は、自分に合っているに違いない」と思い込み、外へ飛び出してしまうケースも少なくありません。

しかし実際に働いてみると、「以前の仕事のほうが合っていた」と感じることもあるでしょう。その気付きもキャリアの大切な経験です。だからこそマーキュリーでは、異動後に「やっぱり戻りたい」と思ったときに戻れる環境づくりを大切にしています。

さらに、円満退職した社員が当時と同じ条件で復職できる「カムバック制度」もあります。「戻ってこられる転職」という考え方は、これからの時代にもっと広がっていってもいいのではないかと思っています。

面接で知りたいのは「自分らしさ」

――最近だと「推し活採用」が話題を呼びましたね。

はい。自己PRやガクチカ(学生時代に力を入れたこと)を求めず、ハマっていることや好きなことを自由に語ってもらう選考方式が「推し活採用」です。応募者の“自分らしさ”に焦点を当て、これまでにないマッチングの形を目指しています。

<YouTube マーキュリーチャンネル「【推し活採用】推しへの愛が面接の武器に!?|vol.214 」より>

実施後はメディアから大きな注目を集めたことに加え、内定承諾率が4倍に向上するなどの成果も生まれました。

実はこの取り組みは社員からの提案でスタートしたものなんです。私は「また新しいことを始めたんだなあ」といったスタンスで、静かに動向を見守っていました。

2026年度はいよいよ推し活採用の内定者が入社します。新しい採用手法で仲間になる社員が、どのような化学反応を起こしてくれるのか。私も楽しみにしています。

<「マーキュリー 採用特設サイト 」より>

プロフィール

秋間剛(あきまごう)

株式会社マーキュリー 取締役社長

1975年神奈川県生まれ。1997年に住宅メーカーの施工管理としてキャリアをスタート。その後、資産運用の営業を経て、人材・教育・IT分野でマネジメントを経験する。2016年5月に株式会社マーキュリーに入社。新卒採用目標を7年連続で達成し、従業員数900名規模だった会社を5,000名超へと拡大させる。2024年5月に取締役社長に就任。

取材・文:川上良樹
撮影:川戸健治
編集:内藤瑠那