横浜Leaf献血ルーム(公式)のXより

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X(旧Twitter)上でアニメグッズ目当ての献血行為が物議を醸している。先月1日から、神奈川県赤十字血液センター(横浜市港北区)は、劇場版「僕の心のヤバイやつ」との献血コラボキャンペーンを実施。

これに「迷惑」とする投稿に対して、医師で小説家の知念実希人氏や輸血経験患者らが強く擁護。また、献血経験者の山田じぇみ子氏らも「どんな理由でも体に負担をかける行為」と困惑を語り、頻回献血者の実績が血液不足の現状を支えていることを強調している。日本赤十字社はアニメコラボを公式戦略に若者を呼び込み、1日1万4000人分の血液が必要な中、動機不問で協力を求めている。

同センターは、「輸血に使用する血液は、まだ人工的に造ることができず、長期保存することもできません。本キャンペーンを通じてより多くの皆さまに献血へご興味を持っていただき、今まで以上にご協力をいただくことを目的に神奈川県内限定のキャンペーンを開催いたします」とし、同作品の描きおろしイラストを使用したクリアファイルを先着1500名に記念品として贈呈。同アニメ及び本キャンペーンをきっかけに、初めての献血に協力者が増えることを期待している。

日本における献血率は、令和7年度で全体6.2%(厚生労働省)と報告されており、決して高水準とはいえる状況ではない中で、赤十字血液センターの積極的な呼びかけや対策が話題を集めている。だが、そういった試みへの“いちゃもん”は付き物である。

過去のコラボでも物議

2019年10月、日本赤十字社による漫画「宇崎ちゃんは遊びたい!」とのコラボポスターがネット上で賛否両論を呼んだ。ポスターは、同漫画のヒロイン・宇崎花が、「センパイ!まだ献血未経験なんスか?ひょっとして……注射が怖いんスか~?」と呼びかけるものだったが、「ポスターに登場するキャラクターの描写が過度に性的」と問題視する声が上がった。

発端は、ある米国人男性が街中で見つけた同ポスターをX上に投稿したところ、瞬く間に拡散された。たしかに、ポスターに描かれた女の子の胸は過度に強調されており、今にも張り裂けそうな描写である。

そこで週刊誌「週刊文春」(文藝春秋)は、この外国人男性を取材。男性は、「公の場で性的なポスターが貼り出されているのにも違和感がありましたし、よくよく見ると日本赤十字社の公式ポスターだったので、さらに驚きました」と語り始め、「表現の自由と、公共の場を安心できる空間にすることの間に、バランスは必要だ」と訴えたという。

そして、「特に日本では今、多くの女性が日本社会の女性に対する扱いに疑問を感じています。たとえば、痴漢やセクハラの問題」との例を挙げ、「このような環境で、公の場で女性を過度に性的に描写することは、『女性はこのように扱われるべきものだ』というメッセージを発してしまう」との私見を述べた。そのうえで、「まさにTPOの問題」と指摘し、「今回の表現は、TPOにそぐわなかった」と一刀両断。この意見にネット上では賛否が渦巻いた。

同年12月のニュースサイト「ORICONニュース」では、この問題点を弁護士と運営に直撃。同サイトによれば、レイ法律事務所・舟橋和宏弁護士の見解を掲載し、「正直、そこまで激烈な意見を出すまでの問題と言えるのか疑問」と応じ、「結論から言えば、環境型セクハラということはできない」としている。

また、運営側は「赤十字によれば、関東における輸血の大半をコミケで集めた血液でまかなっている」と述べ、「今後もこうした活動を続けていきたい」と意欲的な考えを示したようだ。

まず、献血に協力すること自体、善意以外のなにものでもない。協力者は自らの身体に傷を負いリスクを生じながらも、その見返りは金銭ではなく、レアなクリアファイルである。批判する暇があるならば、ぜひとも献血会場に足を運び、価値のある経験を一度してみてはいかがだろうか。