小畑容疑者

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現役警察官が起訴された

 警視庁暴力団対策課が、国内最大級の風俗スカウトグループ「ナチュラル」トップの木山こと小畑寛昭容疑者(40)を東京都暴力団排除条例違反で逮捕したのは1月26日のこと。警察とこの匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ=匿流)との攻防は熾烈を極めており、ナチュラル側も防戦一方ではないようだ。すでに警視庁の現役警察官を取り込んでいたことも明らかになっている。情報漏えいの罪に問われているこの元警察官の公判から見えてきたのは、ナチュラル側のしたたかさだった――。

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 まず、警視庁暴力団対策課の現役警部補でナチュラルを捜査していた神保大輔被告(43)の公判についておさらいしておこう。

小畑容疑者

「神保被告はナチュラルの関係者に対して関係先に設置した捜査カメラの撮影画像や撮影場所の住所などを記したリストを提供するなど、捜査情報を漏えいした罪に問われています」

 と、社会部デスク。

札束に指紋

「被告人質問で神保被告は、情報漏えいの理由として上司からのパワハラや捜査を外されて自暴自棄となっていたことを挙げました。神保被告のスマホにはナチュラル独自開発のアプリが入っていたのですが、その経緯については明かしていません。“家族が報復される恐れがある”ため、としています」

 神保被告の自宅などから見つかった現金約950万円の一部からはナチュラル関係者の指紋が検出されているが、神保被告はナチュラルとの関係を否定。検察は神保被告に懲役1年6か月を求刑し、判決は今月25日に言い渡される。

「神保被告は被告人質問で、他にも同様に捜査情報を漏えいしている現役警察官が存在すると述べていました。もちろんそういった発言がなくても警察の監察部門は漏えいについて調べているはずですが、そこまで厳しく腐敗を追及しているという印象はありません。神保被告はナチュラル側を裏切らなかったように見えますが、その背景には950万円とは別の“特別金”が用意され、口止め料になっている可能性もあると見ています」(同)

 その通りならば、すでに被告が忠誠を誓う相手は、警察ではなくナチュラルになってしまっていることになるのだが、デスクの見立てでは、警察側にこの際一気に膿を出しておこうという力学は働いていないようだ。

ナチュラルの掟

 ここで改めて、ナチュラルの現役メンバーらを通じてその驚くべき実態をつまびらかにした『捕食 欲望をカネに変えるトクリュウ型犯罪集団「ナチュラル」の闇』(清水將裕、日本橋グループ*著)の内容から、組織のあらましを簡単に紹介しておこう。

・暴力団との共存共栄をうたいながら巨額の資金獲得活動(スカウトバック)を行っている。暴力団側には多額の現金を支払うなどの便宜を供与。法人登記はされていないが、総務課、プロ課などの部署や細則やマニュアルが多数存在し、会社組織のような体裁を取っている。小畑容疑者は会長と呼ばれている。“社員”になったメンバーには早慶MARCH出身者もおり、月に300万円ほど稼ぐ者もいる。

・徹底した警察対策を講じる秘密結社的側面を持ち、警察の取り締まりを回避すべく、数千万円かけて開発した秘匿性の高い闇アプリを用いてメンバーらは本名ではなく源氏名などでやり取りしている。

・風俗の店舗側もナチュラルなしには女性の獲得がままならない状況となっており、一説には、国内のその種の店の約20%がナチュラルと取引しているとされる。年間収益は少なくとも50億円。

・組織への裏切りや規約違反にはリンチなど厳しい罰則が科される。

10回の再逮捕を想定

 今後、注目されるのは、代表である小畑容疑者に対する捜査の行方だ。すでに逮捕は3度を数えた。警察が小畑容疑者を執拗にターゲットとするのは彼が2000人規模に膨れ上がったトクリュウのトップであることに加え、スカウト行為を認めてもらう見返りに暴力団側にみかじめ料を支払ってきたと見ているからだ。その資金源を断つべく、暴力団対策課が捜査を担っているわけだ。

「これまでの逮捕容疑はいずれも2〜3年前のものであり、加えて小畑容疑者が末端のスカウトの振る舞いにまで関与していたことを証明するには、間に入っている途方もない数の幹部やメンバーを逮捕して実態を解明しなければならず、やはり至難の業とも言われています。が、警察はあきらめず今後も様々な容疑で再逮捕を繰り返す可能性が高く、合わせて10回、つまりあと6回ほど繰り返されるのではとの声もあります。暴力団が絡んでいると見ている限り、捜査当局は絶対に諦めないでしょう」(同)

第二・第三のナチュラル

 そうこうしているうちにトップ不在となった組織は瓦解するとの見方も当然ある。警察の狙いの一つもここにあるのだろう。

 ナチュラルの先駆者にあたる風俗スカウトグループ「アクセス」の代表は職業安定法違反(有害業務紹介)や組織犯罪処罰法違反などの罪に問われ、懲役7年、罰金400万円、追徴金約8130万円を求刑された。判決は今月26日に予定される。

「アクセスは去年、事実上解散しました。代表の判決はどうなるかはわかりませんが、捜査当局としては判決がナチュラルへの圧力になる、あるいはそこまで行かなくても起訴されればある程度今後の取り締まり基準にできると見ています」(同)

 2000人規模ゆえに大企業とも評されるナチュラル。「ビジネスのノウハウ」を知る関係者は数多くいる。トップを排除しても、後継者には欠かないだろう。それゆえに第二・第三のナチュラルを生まれることのないようにというのが捜査当局の狙いでもあるようだ。

デイリー新潮編集部