美容は食べる時代へ。ピュアリー・エリザベスが Z世代 に仕掛けた「美容グラノーラ」戦略

記事のポイントピュアリー・エリザベスが美容戦略を取り入れ、Z世代向けに美容成分配合の限定グラノーラを発売した。販路を自社サイトとTikTok Shopに絞り、ポップアップなどでSNS上の話題性を高めている。発売直後から想定超えの売上を記録し、美容発想の新製品投入も視野に入れている。
2021年、オーガニックスーパーマーケットのエレウォン(Erewhon)はインフルエンサーのティンクス(Tinx)とのスムージーを発売し、高級食料品店として初の飲料コラボレーションを実現した。2022年にはインスタグラマーのマリアナ・ヒューイットとの提携、さらにヘイリー・ビーバーとのコラボレーションへと続き、いまや有名となったストロベリー・スキン・グレーズ・スムージーが誕生した。その後の展開は周知の通りだ。それ以来、美容を起点とした食品コラボレーションは定番となった。そしていま、食品ブランド側がお返しとばかりに美容業界のマーケティング手法を採用する準備を整えたようだ。限定版「ピュアリー・グロウ・グラノーラ」の狙い
17年間にわたり、ピュアリー・エリザベス(Purely Elizabeth)は主にグラノーラとオートミールに注力してきた。そして2月、美容に特化した限定版のグラノーラを発表した。塩バニラピスタチオ味の「ピュアリー・グロウ・グラノーラ(Purely Glow Granola)」である。このグラノーラにはコラーゲンペプチドに加え、体内のケラチン生成をサポートし、肌、髪、爪の健康に広く推奨されているビオチンが配合されている。消費財(CPG)分野において、飲料は歴史的に、美容、ウェルネス、食品ブランドがそれぞれの世界観を融合させるための参入しやすいカテゴリーであった。また、サプリメントとして摂取すると肌の弾力や水分量の向上が期待できるとされるコラーゲンは、ボトル飲料やバーなど、健康・ウェルネス業界の典型的なフォーマットで展開されてきた。「セルフケアの儀式」としての食体験がコンセプト
ピュアリー・エリザベスが健康や美容に配慮した成分を製品に取り入れるのは今回が初めてではない。2017年にはプロバイオティクス配合グラノーラを、2019年にはコラーゲン配合オートミールを発売した。「オートミールにコラーゲンを配合した当時、間違いなく時代を先取りしていた。我々は常に少し先、ときには先に行きすぎることもあったが、消費者の真のニーズよりも先を進んできた」と、創業者兼CEOのエリザベス・スタイン氏は語った。しかしピュアリー・グロウ・グラノーラでは、ビオチンを追加することで意図的にワンランク上の商品に仕上げている。そしてブランド初となる限定フレーバー、塩バニラピスタチオの発売は、まさに2026年型の美容マーケティング戦略を体現している。認定ホリスティック・ヘルスコーチでもあるスタイン氏は、グラノーラをより幅広いウェルネス習慣の一部と捉えている。「我々は美容をセルフケアの儀式と考えており、私は食も同じように捉えている。このグラノーラは、朝食であれ午後の軽食であれ、ゆっくり時間を取り、栄養価の高い食品を食べるルーティンを作る機会である。スマートフォンを見てマルチタスクをこなしながら食べるのではなく、美容ルーティンのように、本当にゆっくりと時間をかけることが大切である」と述べた。D2CとTikTok Shop戦略でZ世代に直販
少なくとも現時点では、ピュアリー・グロウ・グラノーラはホールフーズ(Whole Foods)、スプラウツ(Sprouts)、クローガー(Kroger)、ウェグマンズ(Wegmans)、ターゲット(Target)などのピュアリー・エリザベスの小売パートナーを通じで販売される予定がない。代わりに、直営ECサイトと、ブランド初となるTikTok Shopでのみ販売される。スタイン氏によれば、長年この方法で発売したいと考えていたが、従来のCPG小売の手法ではほとんど不可能だったようだ。ブランドは2月3日からティザーを開始し、5日に正式発表。5日から12日までは、インスタグラムの28万5000人、TikTokの14万人のフォロワーを含む既存コミュニティに向けたマーケティングを展開した。チャチャマッチャとのポップアップでZ世代向け体験型ローンチを展開
ピュアリー・エリザベスは12日から14日にかけて、ニューヨーク市フラットアイアン地区でチャチャマッチャ(Cha Cha Matcha)と提携したポップアップを開催。初日にはタワー28(Tower 28)によるメイクアップのタッチアップサービスを提供した。さらに各日先着50人に新作グラノーラを配布。ブランド特製クレーンゲームで賞品が当たるチャンスや、特製ピスタチオ抹茶ラテ、ヨーグルトボウルの購入機会も用意した。12日は本格的にマーケティングも開始した。TikTok Shopでの販売開始と、有料クリエイターとの提携投稿も同時にスタートした。「目的は文化的関連性を高めることであり、特にZ世代を意識している。そのためTikTokのトレンドから着想を得た製品開発を行った」とマーケティング担当バイスプレジデントのメーガン・シュックマン氏は語る。「Z世代は朝抹茶が大好きだからチャチャマッチャと組んだ。TikTok Shopで発売するのもZ世代を意識しているから。TikTok Shopは本当の意味での「発見の場」となっており、消費者が新しい美容製品をここで見つけている。我々のグラノーラも同じように発見してもらいたかった」。スタイン氏によれば、最近はコラーゲンへの「愛情の高まり」がみられると話す。「消費者はついにここに来て、このさらなるメリットを求めている」と述べた。インフルエンサーとニューヨーク・ファッション・ウィークの連動で文化的話題を拡張
今回のローンチを支えるインフルエンサーやクリエイターとの提携は幅広い。ブランドとスタイン氏の長年の友人であるボビイ・ブラウンやインフルエンサーのアシュリー・ペイジは、従来の美容レビューに着想を得たコンテンツを制作する予定である。さらにパーク(Parke)創業者のチェルシー・パーク・ゴールズ、インフルエンサーのブレット・チョディ、スタイリスト兼クリエイターのココ・シファーも参加している。シファーは12日のTWPランウェイショーでコンテンツを制作し、同ショーではピュアリー・エリザベスがフードスポンサーを務めた。インスタグラムフォロワー11万4000人を持つブルック・ヨーカムとの共同投稿では、本商品を「美容効果を加えた初のグラノーラ」と紹介しており、見出しには「美容とウェルネスがいかに交差しているか」となっている。ニューヨーク・ファッション・ウィークにおけるシファーおよびTWPとの提携について、シュックマン氏は次のように述べた。「当初はニューヨーク・ファッション・ウィークでの発売を予定していなかったが、ニューヨーク市全体で高まる話題性の一部となる方法を考えた結果、ファッション・ウィークは自然な統合先であると判断した」。
