―採用コスト削減や潜在市場へのアプローチにも効果、つながり重視で人手不足解消へ―

 2月8日に投開票が行われた衆議院選挙は、自由民主党の圧勝に終わった。争点に乏しいといわれた今回の選挙戦では、経済政策ではほぼ全ての政党が消費税減税を公約に掲げたものの、特に中小・小規模事業者で深刻化する人手不足への対策を訴える政党は少なかったように思える。

 日本は常態化した人手不足を女性や高齢者の労働参加を拡大させることでしのぎ、それでも足りない分を外国人労働力で補ってきた。ただ、女性や高齢者の労働参加は限界に近づいてきており、人手不足は今後更に深刻化するとみられている。

 こうしたなか、企業の人材採用の現場では従来の新卒・中途採用とは異なる採用手法が注目を集めている。「リファラル採用」や「アルムナイ採用」といった採用手法で、今後注目度が高まりそうだ。

●「人手不足」は経営に影響を及ぼす重大課題

 帝国データバンク(東京都港区)が昨年11月に発表した「人手不足に対する企業の動向調査(2025年10月)」によると、25年10月時点で正社員の人手不足を感じている企業の割合は51.6%に及び、10月としては4年連続で半数を超える結果となった。また、昨年12月に発表した「2026年の景気見通しに対する企業の意識調査」では、26年の懸念材料として「人手不足」を挙げた企業が44.5%、今後の景気回復に必要な政策として「人手不足の解消」を挙げた企業が37.0%(それぞれ複数回答)と高く、多くの企業が人手不足を経営に影響を及ぼす重要課題として、認識していることが見て取れる。

 人手不足解消を図るため、企業はさまざまな手段を用いて人材を募集しているが、従来の採用手法だけでは立ち行かなくなりつつある企業のなかで、新たな採用のあり方を模索する動きが出てきている。そうした企業の間で増えているのが、「リファラル採用」や「アルムナイ採用」といった、社員とのつながりを活用する採用手法だ。

●「リファラル採用」「アルムナイ採用」とは

 リファラル採用とは、従業員が友人や知人を紹介・推薦し、選考を通じて採用する手法のことで、英語で「紹介」や「推薦」を表す「Referral(リファラル)」が語源。紹介する従業員が自社をよく理解しているため、ミスマッチが起きにくく、また辞退されるリスクが低いなどのメリットがあるとされる。

 似たような採用手法に「縁故採用」があるが、縁故採用がコネクション重視のイメージがあるのに対し、リファラル採用には従業員が候補者を企業に紹介するものの、企業側が候補者の資質を重視して採用を決定することが大きく異なるといわれている。そのため紹介されたものの採用されないといったケースもあり、人間関係の悪化が懸念されるというデメリットもあるとされる。

 一方、アルムナイ採用は、一度退職した社員を再び雇用する手法のことで、英語で「卒業生」を意味する「Alumni(アルムナイ)」が語源。自社の文化や業務を理解しているため、即戦力として期待できるうえ、教育コストを抑えられる、更に外部で得た経験やノウハウを社内に還元できるといったメリットがあるとされる。

 これまでにも「カムバック採用」という手法があったが、カムバック採用には結婚や出産、育児、介護といったライフイベントによる理由で退職した人が再雇用されるといったイメージが残る。それに対しアルムナイ採用は転職や起業など自発的な理由で退職した元社員も対象となるのが特徴だ。

●支援サービスの市場規模は年58%成長との予測も