クローン技術で一瞬復活して「2度も絶滅した」悲劇のヤギとは!?【眠れなくなるほど面白い 図解 絶滅動物の話】

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クローンで一瞬復活し「2度の絶滅」を経験したヤギ「ピレネーアイベックス」

【ピレネーアイベックス DATA】
分類:哺乳類
絶滅時期:2000年
生息地:イベリア半島北部、ピレネー山脈~カンタブリカ山脈東部ほか

絶滅種が一瞬だけよみがえった日

2003年、かつてスペインの山岳地帯に生息していたヤギの仲間ピレネーアイベックスが、クローン技術によってよみがえりました。2000年に絶滅した動物ですが、冷凍保存されていた皮膚からDNAを取り出し、家畜ヤギの卵に注入して胚を作製。208個の胚のうち、妊娠が確認されたのが7例、そのうち1頭が誕生に至りました。しかし、その命は生後わずか数分で途絶えてしまいました。

この成功は「絶滅した種の復活」として世界的に注目を集めました。絶滅が公式に確認された動物をクローンで再生させたのは史上初の事例だったからです。

一方で、ロンドン動物学会の研究者は、クローン技術だけでは真の再生には至らないと指摘します。仮に複数の個体が誕生しても、遺伝的な多様性が乏しく、病気や環境変化に弱い群れになる恐れがあるからです。生き延びるためには、多様な遺伝情報と自然環境の再構築が不可欠だといいます。

ピレネーアイベックスは狩猟によって減り、最後の1頭は2000年に事故で命を落としました。その個体から採取された皮膚が、わずか3年後に新たな命を生んだという事実は、科学の力の象徴ともいえますが、生命を人工的に取り戻すことの限界も浮き彫りにしたのです。

クローンで絶滅種が“復活”

①DNAの採取

「冷凍保存された皮膚」から細胞を取り出し、核を抽出

②卵細胞の準備

家畜ヤギの卵から元のDNAを除去

③核の移植

DNAを卵に注入して融合し、「遺伝情報を持つ胚」が完成

④代理母に移植

別のヤギやアイベックスの体内に移し、妊娠→出産

無事誕生しても、発達異常や免疫の弱さ、肺や内臓の異形成などが多発し、生存率が極めて低いことが課題です。

ピレネーの山に生きた幻のヤギ

【生息地】イベリア半島北部、ピレネー山脈~カンタブリア山脈東部、アンドラ・フランス国境付近 【主な絶滅原因】病気の流行や、他の野生動物との餌の奪い合い、ツノ目的の乱獲、人間による開発・生息地の縮小など 【暮らし】夏は岩場や崖の多い高地、冬は牧草地に移動。低木や小さな松が点在する山や野原に生息。群れで移動しながら、主にハーブや草を食べて過ごす

ピレネーアイベックスは、ヨーロッパの山岳地帯に生きたヤギの仲間です。季節ごとに高地を移動し、群れで穏やかに暮らしていましたが、乱獲や環境変化などが重なり、2000年に絶滅しました。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 絶滅動物の話』監修:今泉忠明