赤外線で観測した最新の全天マップをNASAが公開 SPHEREx宇宙望遠鏡が半年間でデータを取得
こちらは、赤外線の波長で観測した全天マップ。
NASA=アメリカ航空宇宙局の「SPHEREx」宇宙望遠鏡が取得したデータを使って作成されました。
NASAによると、中央を左右に横切っている明るい部分は、天の川に相当する領域。その上下に散在する光点は、大半が遠方の銀河です。

赤外線は人間には見えないので、この画像では観測データをもとに、高温の水素ガスから放射された赤外線を青、宇宙塵から放射された赤外線を赤で着色しています。
また、星々を強調するために、星から放射された赤外線も青・緑・白で着色されています。
“102色”の全天スキャンを半年間で完了
SPHERExは2025年3月に打ち上げられたばかりの宇宙望遠鏡です。高度約650kmの太陽同期軌道を毎日およそ14周半しながら、帯状の範囲に望遠鏡を向けて観測を行っています。取得する画像は1日で3600枚に上ります。
太陽同期軌道は地球の公転にあわせて回転していくような軌道なので、半年間で全天をカバーすることができます。冒頭の画像を作成するのに使用されたのは、2025年5月から12月にかけて取得された、SPHERExによる最初の全天スキャンの結果です。

【▲ 地球の公転にあわせて変化するSPHEREx宇宙望遠鏡の観測範囲を説明した動画(Credit: NASA/JPL-Caltech/IPAC)】
SPHERExの最大の特徴は、波長が異なる102枚の赤外線全天マップを作成できるところにあります。0.75〜5.00μmの波長域を6つに分けてカバーする6台の検出器それぞれに、17色のフィルターを適用しながら観測を行うことで実現しています。
ざっくりと簡単に表現すれば、赤外線の「色」を102色も使った全天マップを作れるということ。NASAによれば、赤外線で全天を観測するミッションは過去にもありましたが、SPHERExほど多くの「色」を捉えるものはなかったといいます。
私たちが可視光線の色の違いを通じていろいろな情報を得ているのと同じように、赤外線の「色」を多く捉えることで、天体に関するさまざまな情報をより多く得られるようになります。


赤外線の「色」を多く捉えるSPHERExの観測データを使用して、研究者は何億もの銀河までの距離を測定し、宇宙の3次元マップを作成することができます。
銀河の集まり方や宇宙全体を見渡した時の微妙な分布の違いを知ることで、約138億年前とされるビッグバン直後のきわめて短い時間の出来事に関する知見が得られると期待されています。
冒頭の画像はNASAのJPL=ジェット推進研究所から2025年12月18日付で公開されています。SPHERExのミッション期間は2年間で、同様の全天スキャンをあと3回実施する予定だということです。
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
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