広範なソーシャルネットワークを持つ人ほど認知症になりにくいとの研究結果

認知症は日常生活に支障を来すほどの認知機能低下を示す疾患であり、記憶だけでなく言語能力や問題解決能力、推論能力にも障害が現れるほか、性格や行動に変化が生じることもあります。合計2万人以上の被験者を対象とした17件の研究を分析した体系的レビューにより、「広範なソーシャルネットワークを持つ人ほど認知症になりにくい」ということが明らかになりました。
Association between social networking and dementia: A systematic review of observational studies - Neuroscience

Larger social networks associated with reduced dementia risk
https://www.psypost.org/larger-social-networks-associated-with-reduced-dementia-risk/
これまでの研究では、「有意義な社会的つながりを認識して維持すること」と定義されるソーシャルネットワーキングが、認知機能の低下を予防する可能性があると示唆されています。これらのネットワークの構成要素には、婚姻状況や接触する人の数、交流の頻度、関係への満足度、本人が認識している他者からのサポートなどが含まれます。
Global Brain Health Institute(GBHI)の神経科学者であるファヒーム・アルシャド氏らの研究チームは、ソーシャルネットワーキングと認知症の関係について調べるため、2000年〜2024年に発表された17件の研究結果を分析しました。

分析対象となった被験者の平均年齢は40〜90歳で、アメリカで行われた研究が6件、ドイツが3件、イギリスが2件で、残りは中国・フランス・スウェーデン・アイルランド・アイスランド・インドで行われた研究でした。うち13件の研究は1〜15年間の追跡期間を含んでおり、被験者の総数は合計2万678人に上ったとのこと。
分析の結果、一貫して「ソーシャルネットワークが乏しい人ほど追跡期間中に認知症を発症する可能性が高く、大規模でつながりの深いソーシャルネットワークを持つ人ほど追跡期間中に認知症を発症する可能性が低い」ことがわかりました。
また、4件の縦断研究を対象にした分析では、ベースライン時点におけるソーシャルネットワークが小規模だったりつながりが弱かったりする人ほど、認知機能が低下しやすいことが明らかになりました。
良好なソーシャルネットワークを持つ人は、時間が経過してもより健全な脳構造を維持する傾向がありました。これは特に、感情や社会的行動に関わる脳領域である扁桃体において顕著であり、より強固なソーシャルネットワークを持つ人ほど健康な扁桃体が保持されていたとのことです。

研究チームは、「私たちの体系的レビューは、ソーシャルネットワーキングの低さと、特にアルツハイマー病患者における認知症および認知機能低下のリスク増加との間に、強い関連性があることを示唆しています。従って、より大規模でつながりの深いソーシャルネットワークは、認知的回復力と認知症の重症度の軽減に寄与すると考えられます」と結論付けました。
なお、今回の体系的レビューで分析された研究のデザインは、明確な因果関係を示すものではない点に留意が必要とのこと。心理学系メディアのPsyPostは、「良好な社会的ネットワークが認知症を予防する可能性はありますが、認知能力が良好な人の方が社会的接触をより良く維持することができ、それが観察された関連性を生み出している可能性も否定できません」と述べています。
