プリンスリーグ開幕5戦で1勝…苦戦が続く横浜FMユースに何が起こっている? 浮上のヒントは“競争力アップ”と“ポジティブマインド”
昨季は2位でプレミアリーグ参入戦に挑んだが、惜しくも昇格決定戦で敗退。今年こそは3年ぶりのトップディヴィジョン復帰を目論んでいたが、現時点では1勝1分3敗の8位に低迷している。
迎えた5月3日の帝京戦(2−2)も34分に10番のMF内藤澄夢(3年)のゴールで先制しながら、3分後の37分に同点弾を献上。39分にも失点を喫し、わずか5分間で試合をひっくり返されてしまう。後半アディショナルタイムに1年生FW沢口栄太が決めてドローに持ち込んだとはいえ、課題が残るゲームだった。
夏のクラブユース選手権で優勝した経験もあり、多くの選手をプロに輩出している育成の名門クラブに一体何が起こっているのか。苦戦の理由は怪我人の多さだ。
昨年10月にU-16日本代表の一員としてU-17アジアカップ予選に出場したDF山中優輝(3年)や、昨季から主力を務めるサイドアタッカーのMF齊藤芭流(3年)を筆頭に。10名以上が怪我で離脱中。さらにプロ契約を結んでいるU-17日本代表のFW浅田大翔(3年)もトップチームや代表活動を優先しており、ピッチに立てていない。
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多くの選手が不在――。「相手に失礼にならないか不安だった」と冨樫剛一監督が振り返ったように、第4節の桐生一戦はBチームが参戦している神奈川県リーグ2部と日程が被っていた関係から15名でアウェーゲームに挑むことに。Bチームもメンバー構成に苦労しており、ジュニアユースの選手がスタートから起用される試合も珍しくなかった。
しかし、何を言っても状況は同じ。今いるメンバーで上を目ざすしかない。だからこそ、富樫監督はポジティブなマインドと競争力を今いる選手たちに求めたいと明かす。
「人がいない時に出場するチャンスを得る。そういう時こそ貪欲な選手がピッチに立っていく。この競争や試合に出たいという想いを表現できる選手たちが帝京戦でも良いプレーを見せてくれた」
その帝京戦では途中出場組が存在感を発揮。90+2分の同点ゴールは57分に投入されたMF加藤諒太(2年)がドリブルで左サイドを打開。そのクロスに合わせたのも、75分からプレーした沢口だった。
とりわけ、沢口は前節の桐生一戦で途中出場し、ビックチャンスを生かし切れずに悔しい想いをしている。「先週のゲームに出て、チームを救えなかったのですごく悔しかった」と本人も巻き返しを誓い、苦手のヘディングシュートでチームを救ったのは成長の証だろう。
主力組が戻ってくるまでにはしばらく時間がかかる。しかし、ほかのメンバーにとっては可能性を広げるうえでまたとない機会。帝京戦のように新たな選手が前向きな姿勢を持って活躍すれば、競争力が高まるのは間違いない。ピンチをチャンスと捉えられるか。新たな戦力が一人でも台頭すれば、自ずと順位も高まっていくはずだ。
取材・文●松尾祐希(サッカーライター)
