『おとなの週末Web』は、手料理の魅力も紹介しています。中でもお酒好きなら、お供になる肴にもこだわりたいところ。自宅で作った様々な料理で「おとなの週末」を楽しんでいる年金生活の元男性編集者が、二十四節気に合わせ、自慢の酒肴を紹介します。連載第8回の「清明」編「知る人ぞ知る鰻屋の逸品「キャベジン」とは一体なにか…?その正体を「おつまみレシピ」で再現」に続く「穀雨」編をお楽しみください。

「和風ピクルス」の作り方

春の桜を愛でて感じたことがあります。春は、案外雨が多いのだなぁ……ということです。

古くからの生活暦・二十四節気では4月20日からの2週間を「穀雨(こくう)」といいます。作物を育てるための種まきや、苗を育てるための雨のときとされています。季節も5月4日には「立夏」となります。穀雨は初夏を迎える前の大切な恵みの雨なのです。

69歳のオイラ。血圧もやや高めということで、日々、塩分の摂り過ぎには気をつけております。具体的には、しょうゆ、ソース、ラーメンなど、塩分の多い調味料やメニューを控えめにしつつ、さまざまな減塩法にもチャレンジしてきました。

だしをきかせる分、塩を軽くしてうまみを引き出す減塩法「かるしおレシピ」なるものにも挑戦しましたが、やはり薄味はパンチに欠けます。ちくわや、さつま揚げなど、塩分の多い練り物については「お湯かけ塩ぬき」も試みてみました。もちろん、長続きはしませんでした。

そんなオイラの減塩修業のなかで、比較的長続きしているものが酢を用いるものです。「酢のもの」「レモン」「すだち」などもそうですが、酸味があれば、塩分に頼らずとも食べ物のうまみを引き出してくれます。そんなことで、減塩修業ジジイとしては、特に春から夏にかけては、ピクルス作りに精を出しております。使う塩の量もごくわずかです。

新しょうがとみょうがの和風ピクルス

とはいえ、元来、和風のジジイですので、料理研究家の先生方が作るような「おとなオシャレ」(おとなっぽく、オシャレという意味)なピクルスはできません。

けれども、酒に合う和風のピクルスに関しては、けっこうな自信を持っております。はい。カッコつけました。「和風ピクルス」と言いましたが、要するに出回っている野菜を、甘酢漬けにするだけです。

実際、穀雨の頃には和風ピクルスに合う野菜がたくさん出回ります。オイラの好きな順で申し上げると、新たまねぎ、葉しょうが、新しょうが、みょうが、きゅうり……こいつらを甘酢漬け……じゃなかった和風ピクルスに仕立てると抜群においしいのです。

【仕込み編】

「和風ピクルス」の作り方は簡単です。「おとなオシャレ」なピクルスと違い、野菜をゆでたりもしなければ、粒こしょう、ローリエやグローブといった少々お高い香辛料も使いません。材料は、お好みの野菜と和風のピクルス液。つまりは、甘酢、赤唐辛子に昆布だけ。その甘酢も、スーパーには市販品がずらりと並んでいますので、市販品を買えば、調理なしで即漬けられます。

もっとも、市販品はやや甘めな味付けのものが多いのです。そこでオイラが手作りするのは、砂糖をまったく使わない甘酢です。甘さは、みりんだけでつけるのですが、赤唐辛子のスパイシーな味わいを引き立ててくれると感じています。オイラの作り方をご紹介いたします。

歯ごたえもここちよい新たまねぎときゅうりの和風ピクルス

1)和風ピクルスを漬けるガラス製密封びんを熱湯消毒し、乾燥させておく。※何種類かの野菜を漬ける場合は、容量1リットルほどの密封びんが漬けやすいと思います。

2)用意するピクルス用の野菜は、新たまねぎ、新しょうが、葉しょうが、みょうが、きゅうりなど。ピクルス液の材料は、酢、酒、みりん、だし汁、塩、赤唐辛子、昆布。※分量は、ピクルスを漬ける容器に応じてとなります。ここでは、容量1リットルのガラス製密封びんに入れる場合の分量で紹介していきます。

3)和風ピクルスに使う新たまねぎは、外側の皮をむき、くし形に切る。

4)葉しょうが、新しょうがはよく洗う。葉しょうがは密封びんに入る長さに葉の部分をカットする。

5)カットした葉しょうが、新しょうがは割りばしで表面の薄い皮をこそげとる。

6)新しょうがも表面の薄い皮を割りばしでこそげとり、密封びんに入れやすい大きさにカットする。

7)みょうが、きゅうりはよく洗い、ヘタを落とす。※切らずに丸のままで大丈夫です。

8)下ごしらえした野菜は、軽く塩をふり、ザルに上げて1時間ほど天日干しにする。

【調理編】

1)容量1リットルの密封びんに注ぐピクルス液を作る。鍋に酒50mlを入れ火にかけ、アルコール分をとばしてから、酢250 ml、だし汁150 ml、みりん150ml、塩小さじ1/4(1.25g)を加え、ひと煮立ちさせてから火を止める。※だし汁は市販のだしパックでとったものです。出来上がりの和風ピクルス液はおおよそ600ml弱となります。

2)鍋の和風ピクルス液をガラスボウルにあけ、赤唐辛子2本、5センチ角ほどの昆布を細長くカットして加える。完全にさめるまでおいておく。

3)天日干しした野菜を、密封びんにぎっしり詰め入れ、さましたピクルス液を注ぐ。これで、調理完了。※密封びんに詰め入れる野菜はお好みのもので。今回、和風ピクルスは、密封びん2つ分を作りました。ピクルス液の量は、容量1リットルの密封びんに対して、それぞれ600mlです。

4)密封瓶はフタををして冷暗所で2日間以上おいて、出来上がり。

※密封びんに入れる野菜は隙間なく詰め入れ、ピクルス液は野菜がすべて浸かるまで注ぎましょう。漬けた野菜は、経験上2週間ほどは日持ちすると思いますが、漬ける日数が長くなるほど歯ごたえがなくなるので、なるべく早めに食べきりましょう。ただし、密封びんを置く場所の気温により日持ちは異なりますので、ご自分で判断いただき、早めに食べましょう。

しょうがは収穫の段階や貯蔵で味わい方が違う

新たまねぎが店先に並ぶのは春先から初夏にかけてだけですが、きゅうりはもちろん、新しょうがも、みょうがもほぼ1年じゅう出回っています。本来は夏の野菜です。けれども、初夏から店先でよく見かけるようになるのが、葉しょうや、新しょうがです。ハウス栽培なので通年で出回るようになっているのでしょうが、酢の力でおいしくなるものは、やはり初夏から夏にかけての需要が大きいのでしょうね。

ちなみに、しょうがは、その収穫の段階や貯蔵により、「三つの味わい方」になっているのです。せっかくの機会なのでご説明いたします。「葉しょうが→新しょうが→ひねしょうが」の三段階です。

新しょうが。ほどよい辛味で和風ピクルスによく合う

「葉しょうが」は、成長途中のしょうがの根で、店先には緑も美しい葉付きで並んでいます。さわやかな味わいが身上で、かつての有名な産地から「谷中しょうが」と呼ばれたり、「筆しょうが」とも言われたりします。味噌をつけて食べるとおつな味わい。本来の季節は初夏から夏のものですね。

「新しょうが」は、葉しょうがの段階のしょうがの根がさらに成長したもので、葉が枯れてから収穫されるものです。辛味もより強くなり、甘酢漬けにはいちばん合うと思います。本来の季節は秋です。

「ひねしょうが」は、収穫した新しょうがの根を貯蔵したものです。貯蔵することで辛みが増し、薬味として用いるのにちょうどよい、いわゆる「普通のしょうが」となるわけです。普段の私たちが、冷ややっこや、ソーメンでお世話になるおろししょうがは、このひねしょうがをすりおろしたものです。

…つづく「「ゆで卵の殻」を一瞬できれいにむく「スゴ技」…たったひと手間で全然違う「煮卵」おつまみレシピ」では、煮卵のレシピとともに、圧倒的にゆで卵の殻がむきやすくなる、超簡単なひと手間を紹介しています。

文・写真/沢田浩

さわだ・ひろし。書籍編集者。1955年、福岡県に生まれる。学習院大学卒業後、1979年に主婦と生活社入社。「週刊女性」時代の十数年間は、皇室担当として従事し、皇太子妃候補としての小和田雅子さんの存在をスクープ。1999年より、セブン&アイ出版に転じ、生活情報誌「saita」編集長を経て、書籍編集者に。2018年2月、常務執行役員パブリッシング事業部長を最後に退社。

【写真】調理なしの「和風ピクルス」おつまみレシピの作り方工程(5枚)