“J3の沼”から抜け出せず。二兎を追った山雅で選手の確かな成長は見られたが、勝ちを拾うしぶとさ、したたかさに欠けたのも事実だ
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7〜8月の4戦無敗の時期には霜田監督も「失点も減ってきたし、得点を取れる形も増えている。ここから良くなる」とポジティブに語っていたが、そこからも右肩上がりとはいかなかった。勝負どころの9〜10月に大宮アルディージャとガイナーレ鳥取に負け、さらに4引き分けと停滞感を払拭しきれなかったのは誤算だったに違いない。
「ここで負けたら終わり」という土俵際まで追い込まれた10月26日のY.S.C.C横浜戦。霜田監督は基本布陣を4−3−3から3−4−2−1にして守備的な戦い方にシフト。ここから5連勝して4位でプレーオフ参戦へとこぎつけたが、「もっと早いうちからこういう戦い方をしていたら自動昇格できた」という声もチーム内外から聞かれた。
「確実に選手は上達させてもらったし、ボールを丁寧に繋げることができるようになれた。技術的にも上達した部分は往々にしてあった」と橋内も認めるように、確かに霜田監督のアプローチは選手の成長につながった。だが、最後のキワのところで勝ちを拾うしぶとさ、したたかさに欠けたのも事実だろう。
「何が足りなかったか...。それが分かっていれば、去年も今年も上がれたと思います」とキャプテンの菊井は苦渋の表情を浮かべた。1つ言えるのは、2014・18年にJ1昇格を決めた頃の山雅が持っていた良さと、霜田監督が取り組んだスキルや組み立ての両方をブラッシュアップさせなければ、“J3の沼”から抜け出すことはできないということ。困難な課題ではあるが、それをやるしか先はないのだ。
「下位リーグのレベルが上がっているし、素晴らしい選手もいるので、接戦になるゲームが増えている。そこがJ3を難しくしている要因だと思います」と富山の小田切道治監督もしみじみと話したが、J2昇格への道は年々、ハードルが上がっている。
そういうなかで、来季はJ3で4年目となる山雅は、経営規模がJ1時代から約半減し、補強できる選手のレベルも下がるという負の連鎖を強いられる。強化部スタッフの交代もささやかれるなか、いかにして再起を図っていくのか。その方向性をいち早く明確にするところからスタートしなければならない。
「来シーズン、ここに残る選手、出ていく選手、分からないですけど、この悔しさを糧にして臨んでいくしかない」と山本も言葉を絞り出したが、その悔しさを来季につなげるしかない。富山も昨季3位という経験をバネに、今回の劇的昇格につなげた。彼らの姿から山雅が学ばなければいけないことは少なくない。
取材・文●元川悦子(フリーライター)
