Google DeepMindが2024年12月4日に気象予測AI「GenCast」を発表しました。アンサンブル予報を用いることで、最大15日先の天気を予測することが可能で、多くの国や地域が導入しているヨーロッパ中期予報センター(EMCWF)の予測システムよりも高い精度を示したことが報告されています。

Probabilistic weather forecasting with machine learning | Nature

https://www.nature.com/articles/s41586-024-08252-9

GenCast predicts weather and the risks of extreme conditions with state-of-the-art accuracy - Google DeepMind

https://deepmind.google/discover/blog/gencast-predicts-weather-and-the-risks-of-extreme-conditions-with-sota-accuracy/



Google’s DeepMind tackles weather forecasting, with great performance - Ars Technica

https://arstechnica.com/science/2024/12/googles-deepmind-tackles-weather-forecasting-with-great-performance/

天候は人間の意志決定や安全、生活様式を形作り、近年では気候変動に伴う極端な気象現象が発生する中で正確で信頼できる天気予報が重要視されています。しかし、天気を完全に予測することはできず、数日先の天気予報は不確実なものとなります。

そこで、多くの科学者や気象機関は「アンサンブル予報」と呼ばれる数値予報の手法を利用し、その気象現象が起こりうるさまざまな気象シナリオを予測します。そのため、アンサンブル予報では今後数日から数週間で起こりうる気象条件と各シナリオの可能性について完全な全体像を把握できるとのこと。

Google DeepMindが開発したGraphCastは欧州中期気象予報センター(ECMWF)が公開している気象観測データセット「ERA5」に含まれている過去40年間の気象観測データを学習しており、将来の気象状況を迅速かつ高精度に予測できます。



2019年の気象データでのテストの結果、GenCastはEMCWFのアンサンブル予報システムよりも高い精度で天気を予測することが可能でした。また、Google Cloud TPU v5内で15日間の予報の作成に要した時間はわずか8分で、アンサンブル内のすべての予報を同時並行で作成することも可能です。一方、従来の物理学ベースでのアンサンブル予報は、数万個ものプロセッサを搭載したスーパーコンピューターを用いて数時間稼働させて作成されていました。

以下は2019年10月に日本を襲った台風19号の進路をGenCastが予想した図です。台風19号が日本に上陸する7日前の時点では、九州の西側を通るルートなどさまざまな進路が予測されましたが、5日前、3日前と台風が日本の沿岸に接近するにつれて予測される進路の広がりは狭くなり、信頼性の高い正確な予報が可能になります。



こうした精度の高い天気予報は防災や安全に役立つほか、再生可能エネルギー計画など、社会の他の側面でも重要な役割を果たすとのこと。実際に、風力発電の予測精度の向上は、持続可能なエネルギー源としての風力発電の信頼性を直接的に向上させ、採用を加速させる可能性があります。また、世界中の風力発電所による総風力発電量の予測を分析した原理実証実験では、GenCastはEMCWFのアンサンブル予報システムよりも正確だったことが報告されています。

Google DeepMindは「まもなく、GenCastや以前のモデルからのリアルタイムおよび過去の予報をリリースする予定で、これにより誰でもこれらの結果を独自のAIモデルや研究ワークフローに統合できるようになります。私たちは、学術研究者や気象学者、データサイエンティスト、再生可能エネルギー企業、食糧安全保障と災害対応に焦点を当てた組織など、より広範な気象コミュニティと関わることを切望しています」と述べています。

なお、Google DeepMindはGenCastならびにGraphCastのソースコードをGitHub上で公開しています。

GitHub - google-deepmind/graphcast

https://github.com/google-deepmind/graphcast