高橋文哉インタビュー/足の先から吐息まで。「かわいい」を追求し、全身全霊で表現し続けた『ブルーピリオド』の撮影期間
本作が実写化されると聞いて、原作を知る人の多くが真っ先に「ユカちゃんは誰が演じるの?」と思っただろう。演じる高橋文哉も、オファーをもらい「どうしよう…」と感じたそうだが、結果的には観客を唸らせるほどの「かわいさ」を体現した。役との向き合い方から、俳優デビュー作である『仮面ライダーゼロワン』時代のことまで振り返ってもらったインタビューを前編・後編でお届けする。
撮影/須田卓馬 取材・文/阿部裕華
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頑張るしかないけれど「頑張りたくない」とも思った
――鮎川龍二という役を演じるにあたって、「不安も感じました。でも、同時にドキドキとワクワクが止まりませんでした」とコメントされていました。原作を読む中で「大丈夫だ。演じられる」という気持ちになれた瞬間はありましたか?
ないです……! コメントでは「ドキドキとワクワクが止まりませんでした」と言いましたが、それは演じきったあとだから言える言葉。お話をいただいたときは、もちろん迷わずにお引き受けしたいと思ったのですが、内心では「役づくりは何から始めたらいいんだろう」「どうしよう、わからない……」と思いました。
いつもなら役をいただいたら、どういう役柄・人なのかを知るために、まずは一つひとつのセリフを紐解いていく作業をするのですが、ユカちゃんに対しては「いやいや、その前に大事なことがあるだろう」と思ったんです。「まずはビジュアルだろう!」って。
それはもう頑張るしかないのですが、僕は「頑張りたくないな」とも思いました。
――「頑張りたくない」……?
ユカちゃんのビジュアルって、本人が「頑張ろう」と思ってなったものではなく、「好き」を追求した結果だと思っていて。なので、僕自身がビジュアルをつくり上げていくうえで、もっといいモチベーションづくりの方法があるのではないかと。その方法を探しました。原作を何度も読んで、TVアニメも観て、ユカちゃんを僕なりに何となく理解していきました。
そのうえで、鮎川龍二という人間がなぜこのビジュアルになっているのかを考えたとき、きっとユカちゃんの「好き」は“カワイイ”だったから、「じゃあ自分ごとかわいくなっちゃおう!」と思ったのだろうと解釈しました。
ユカちゃんのしていることって、「“カワイイ”ものが好きだから、ぬいぐるみを集めている人」と何も変わらないんですよ。ただ、その“カワイイ”を追求する規模が人よりちょっと大きい。そして、人よりちょっと行動力があるだけ。少しも人の目を気にしない力がある。
要するに、“自分を信じることができる人”だと理解しました。であれば、僕は僕自身が「かわいくなりたい」と思えばいいんだと思ったんです。

――高橋さんも、ユカちゃんと同じ「かわいくなっちゃおう」というマインドを持ったんですね。
はい。僕自身、小さい頃からぬいぐるみなどモコモコしている“カワイイ”ものが好きでした。振り返ってみると幼少期に「かわいくなってみたい」とお母さんの口紅を塗って怒られたことがありましたし、「ネイルをしてみたい」と思ったこともあります。
「頑張ってかわいくならないと」という“作品のため”のマインドではなく、「この機会にかわいくなれるぞ!」という“自分のため”のマインドに持っていきました。そのマインドに行き着くまでには時間がかかりました。
――自分のためにかわいくなる、というマインドを持ってからの役づくりは、スムーズに進んだのでしょうか。
マインドが固まってからは、かわいくなるためにやるべきことが明確になっていった感覚はあります。役づくりのために「痩せなきゃ」「肌をキレイにしなきゃ」と思うのではなく、かわいくなるために「どこからかわいくしようかな」と考えて。
「さすがにちょっと痩せないとかわいくないかも」「お尻を鍛えるためにヨガをやってみよう」「ネイルもやってみたい」「いいトリートメントを買ってみよう」とか。普段女性のみなさんがかわいくなるためにしていることを、調べられる限り調べて実践していました。

いちばんかわいく見える歩き方をとことん探した
――高橋さんが演じるユカちゃんを見て、とてもかわいいと感じたポイントがいくつかありまして……。そのうちのひとつが歩き方でした。歩きながらポニーテールを可愛く弾ませるのが、すごくお上手だなと。
あははは! ポニーテールを弾ませる意識をしていたわけではないのですが、歩くとき、上に跳ねるようにはしていました。意識しないときは、指の付け根部分を地面につけてから、蹴るように歩いているのですが、「それだとかわいい歩き方じゃない!」と思ったんです。
そこから、土踏まずに力を入れたまま歩くという歩き方を取り入れました。(自分の両手を足に見立ててジェスチャーをしながら)これ、文章で伝わりますかね…? 普段は外側に足が開くような歩き方をしているのですが、内側に足を入れていくような歩き方を意識しました。そうすると自然と骨盤が締まって、足がI字に見えるんですね。
その歩き方をすると足で地面を蹴るのではなく、弾むような歩き方になっていって。なので、意識していなくても髪の毛も自然と弾んでいたのではないかと思います。
――その歩き方は、どのように習得していったのでしょうか?
自分でかわいく見える歩き方を探しました。ユカちゃんを演じているときって、何にいちばん気分が上がるかというと、“かわいく見えること”だったんです。
だから、「とにかく今の歩き方はかわいくないから、私がいちばんかわいく見える歩き方は何だろう」と考えました。それが、足を内側に入れて、ちょっとだけ気を抜く、つまり弾むような歩き方でした。この歩き方を見つけたときは、「かわいいでしょ?」と思っていました(笑)。
しかも、この歩き方をしていると内腿が鍛えられるんです。そうすると足が細くなって、足のあいだに隙間が生まれて、キレイに見えるというメリットがありました。
――とてもストイックですよね。歩き方ってかなり意識していないと崩れてしまうけど、それが一切なかったので、すごく意識して練習していたのだろうなと感じました。
意識はすごくしていました。
でも、カワイイ歩き方を意識することより、ヒールを履いて歩くことのほうが大変でした。ヒールを履いて歩く練習はかなりしたのですが、さすがに、ヒールで跳ねて歩くことは難しかったです(笑)。
――ほかにも、喋り方に自然なかわいさを感じました。声や喋り方でかわいさを出すためにどんな工夫をしていましたか?
歩き方と同じで、もし自分が「カワイイ」と思われたいとき、どんな声を出すのかを考えました。声が高すぎると「あざとい」と思われてしまうけれど、低すぎても見た目とのギャップが大きくて「何か違う」と思われてしまうだろうなと。自分にとっても聞く人にとっても、どこがいちばん気持ちがいい喋り方なのかを探しました。
また、喋り方だけではなく、「悔しいと思うなら、まだ戦えるね」のセリフなどは、ブレスの切り方も意識しました。
ただ、今「出せ」と言われても、もう出せません(笑)。あの時の身体のライン、メイク、衣装だったから出せた声だと思っています。
――高橋さん演じるユカちゃん、本当にかわいかったので、努力のたまものだったのだなと再確認しました。
いやあ、嬉しいです……。そう言っていただけるとすごく安心します。現場でも、毎朝挨拶に行くたびに郷敦くんが「今日もかわいい」と言ってくれるので、その一言のために背筋を伸ばして頑張っていました(笑)。

原作内の“とある描写”で、ユカちゃんの内面を掴めた
――ユカちゃんの「内面のかわいさ」はどのように解釈されていますか?
掴めないところ、予測のできないところだと思っています。これは原作を読んでいて感じたのですが、八虎が「そんなことを言われるなんて想像もしていなかった」と思うような言葉をかけるんですよね。
普通の人が言うと少しクサく感じるような言葉なのに、ユカちゃんは人をしっかり見て寄り添ってくれるから、「真っ当なアドバイスをしてくれた」と思わせるところがあるなと。一見突拍子のないことをしていても、気づくとみんなが尊敬してしまうような人に見せられるよう意識しました。
言葉が真っ当すぎて、冷徹に感じてしまう可能性もあるので、声の出し方やちょっとした仕草で、そうならないようにしようと。
原作のなかにもヒントを得たシーンがあって。予備校の帰りに八虎と歩いていて、八虎のお尻をユカちゃんがげしっと蹴るシーンなんですけど、
――1巻の第4話、予備校初日の帰り道のシーンですね。
僕が実写でもやりたかったシーンなのですが(笑)、あのシーンって落ち込む八虎に言葉をかけたのに無反応だったから、「ムシするなよ」とユカちゃんが蹴るんですね。僕の中では「そういうこともできる人」と、よりユカちゃんを掴めた部分でした。すごく安定している人なんだと思った。その安定感は大切にしていきたいなと。
ほかにも、八虎に「正しい場所からしか話せないなら アタシがお前に話すことは何もない」と核心を突くような言葉を発していて。それは決して八虎を苦しめようと意地悪で言っているわけではないんです。「そんなふうに言われたらこう思うでしょ?」とただ自分の思う言葉を並べているだけ。その言葉に感化されて、八虎は海へ向かうわけですけど……。
そういう意味でユカちゃんは、言葉を選ばずに言うと、“手のひらの上で人を転がせる人”だと思っています。

セルフヌードはユカちゃんに何をもたらしたのか
――ユカちゃんを語るうえで欠かせないのが、小田原の海で八虎とセルフヌードを描くシーン。八虎はあの経験があったから自分を理解できて、藝大受験の課題をクリアする糸口にもなりました。ではユカちゃんのほうは、あのセルフヌードを描いたことでどのような心情になったと思いますか?
これはあくまでも僕の勝手な考えなのですが、ユカちゃんがその瞬間に得た特別な心情や感情はないと思っています。
というのも、たぶんユカちゃんは普段からセルフヌードをよく描いていたのではないかと思っていて。この人はセルフヌードを描くことで、何度も自分と向き合って、向き合うたびに「最近少し肩がゴツくなってきたな。ちょっと絞ろう」とか、いろんな発見をしてきたのだろう。そんなふうに感じました。
だから、藝大受験に追い込まれている八虎へ新たな気づきを示すために、「自分の裸、描いたことある?」と提案して、一緒にセルフヌードを描いたのだと思います。
ーーたしかに、普段からセルフヌードを描いているからこそ、あそこで提案したのかもしれない、という解釈ができます。
はい。なので、あの場面でユカちゃんは自分のセルフヌードを描いているけど、そこまで自分と向き合っていないかもしれない。八虎にとって何か新たな発見ができるように付き合っている感覚に近い。描いている八虎を鏡越しに見守っているようにも見えていました。
ただ一緒に描いていくうちに、自分の家族のことを振り返ったり、セルフヌードを描くことでの効果に気づいたりする。それが、あのときに発したユカちゃんのセリフに繋がっているだけだと思うんです。得たものが何もないとは言わないけど、八虎みたいに大きな気づきを得ていたかというとそうではないと考えています。
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高橋文哉インタビュー/『ゼロワン』の頃は、今の自分の姿を想像もしていなかった
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高橋文哉(たかはし・ふみや)
2001年3月12日生まれ。埼玉県出身。2019年、『仮面ライダーゼロワン』の飛電或人役で俳優デビュー。主な出演作に、ドラマ『最愛』(TBS)、『君の花になる』(TBS)、『フェルマーの料理』(TBS)、映画『からかい上手の高木さん』など。主演ドラマ『伝説の頭 翔』(テレビ朝日)が現在放送中。主演映画『あの人が消えた』は9月20日、『少年と犬』が来春公開予定。
・公式ファンクラブ:https://takahashifumiya.com/
・Instagram:https://www.instagram.com/fumiya_0_3_1_2/
・X:https://x.com/fumiya_0_3_1_2
2001年3月12日生まれ。埼玉県出身。2019年、『仮面ライダーゼロワン』の飛電或人役で俳優デビュー。主な出演作に、ドラマ『最愛』(TBS)、『君の花になる』(TBS)、『フェルマーの料理』(TBS)、映画『からかい上手の高木さん』など。主演ドラマ『伝説の頭 翔』(テレビ朝日)が現在放送中。主演映画『あの人が消えた』は9月20日、『少年と犬』が来春公開予定。
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■作品情報
映画『ブルーピリオド』
2024年8月9日(金)大ヒット上映中
https://wwws.warnerbros.co.jp/blueperiod-moviejp/

©山口つばさ/講談社 ©2024 映画「ブルーピリオド」製作委員会
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\映画『#ブルーピリオド』公開中/
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