アルゼンチン戦で目に見える結果を出した佐藤(左)と松村(右)。22歳の2人、ここからさらに成長速度をグッと上げたい。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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 2024年夏のパリ五輪を目ざして、22年3月から本格始動している大岩剛監督率いるU-22日本代表。ここまではずっと海外遠征をこなしてきたが、11月18日にIAIスタジアム日本平で行なわれたU-22アルゼンチン代表戦(アイスタ)は初めてのホームゲーム。地元凱旋の大岩監督も「良い試合を見せたい」と意気込んでいた。
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 そこでアグレッシブさを前面に押し出したのが、佐藤恵允(ブレーメンU-23)と松村優太(鹿島)の左サイドの2人。スタート時は佐藤がスタメンに陣取り、18分に思い切った飛び出しと仕掛けから右足で先制弾をゲット。持ち前の積極性とスピードを前面に押し出した。

 その彼が42分に膝を痛めて負傷交代を余儀なくされると、出てきたのが松村。鹿島アントラーズでは「右サイド要員」のイメージが強いが、左でも果敢なドリブル突破やチャンスメイクを披露。81分には強烈ミドル弾でダメ押しとなる4点目を奪った。

 最終的に日本は5−2で南米の強豪を撃破したが、左サイドの2人が揃って結果を出し、生き残りを強烈にアピールしたのである。

「序盤から押し込まれるシーンが多かったけど、自分たちは前からプレスをかけてショートカウンターというのが狙いだったので、想定内でした。

 自分のゴールシーンは(バングーナガンデ)佳史扶(FC東京)が外を取って相手が引っ張られてるところを、(松木)玖生(FC東京)が見てくれて、パスを出してくれた。間接視野で相手があまりプレスをかけてきていないと感じたので、そこからシュートしか狙っていなかった」と、佐藤は目を輝かせた。
 
 ここ一番での勝負強さは、9〜10月のアジア競技大会でも目立っていた。加えて、強度や積極性もアルゼンチンに引けを取っていなかった。

「インテンシティの高さは売りにしているところなので、もうちょっと出せたら良かった」と反省点も口にしたが、ガツガツ感や泥臭さというパリ世代にやや薄い部分をもたらしたのは特筆すべき点だ。

 一方の松村も「恵允はパワーのあるドリブルやカットインからのシュートを持っている。同じドリブラーですけど、僕はどっちかと言うと緩急やスピードで抜いていくタイプ。前半は相手のサイドバックが結構剥がされていたんで、良いイメージを持ってプレーできた。『松村は左もできるんだ』と印象づけられたと思いますし、ユーティリティ性という意味でも良かったかな」と安堵感をにじませた。

 静岡学園高で10番をつけていた頃から大舞台で結果を出せる選手と言われてきたが、慣れ親しんだIAIスタジアム日本平で結果を出したことで、改めて本人も自信と手応えを掴んだはずだ。

「ポスト三笘薫(ブライトン)」の座を虎視眈々とうかがう左サイドの2人が好印象を残したことで、ポジション争いは一段と激化するだろう。目下、負傷離脱中の斉藤光毅(スパルタ)も控えているだけに、誰が抜け出すかは非常に混とんとしている。3人とも独特のリズムで仕掛けられる選手で伸びしろは大きい。

 ただ、現時点では、三笘のようにプレミアリーグでビッグクラブのSBをキリキリ舞いにさせられるレベルかと言えば、そこまでには至っていない。

 今夏、明治大からJリーグを経由せずにブレーメン入りした佐藤は「すぐにでもトップに上がりたい」と意気込んでいたが、基本的にはまだU-23で練習している模様。トップで活躍して初めて三笘に挑戦状を叩きつけられる状態になる。

 松村にしても、鳴り物入りで鹿島入りして3年が経過したが、まだレギュラーを掴み切れていない。「代表のサッカーはウイングがハッキリしているけど、鹿島ではより判断やつながりが求められている。『こう来たらこう行くよね』というのはだんだん身についている」とは言うものの、岩政大樹監督の求める高い基準に合わせ切れていないところもないとは言えない。
 
 三笘が川崎フロンターレでブレイクしたのが23歳。今の2人はほぼ同じ年齢だけに、成長速度をグッと引き上げるべきだろう。トップ・オブ・トップで活躍できるようになれば、A代表も見えてくるのではないか。

 離脱中の斉藤も「個で抜き切れる選手にならないといけない」とオランダで言っていたが、彼らの中で強烈な個に磨きをかけ、異彩を放つのは一体、誰なのか。

 来年4月のU-23アジアカップ、そして7〜8月の五輪本番に向けての時間は本当に重要になってくる。

「自チームでの活躍というのが、自分自身にもチームにとっても一番。それは全選手に言えること。ここからサバイバルになると思うし、今日点を取ったからといって、次に入るか分からない。チームでしっかり活躍して、ここに戻ってきて、また結果を出せるように頑張りたい」と松村も自らに言い聞かせるように語っていた。

 これを機に、彼らがギラギラ感を押し出し、グイグイ成長して、本当に三笘を蹴落とすくらいの存在感を示すようになってくれれば理想的。2026年北中米ワールドカップまでの2年半で、パリ世代には猛烈な追い上げを見せてほしいものである。

取材・文●元川悦子(フリーライター)